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第1話 犬猿の仲の婚約者
01-3.
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姉は王太子妃の座を約束し、将来の王妃になることを神に誓うのならば、側室を何人持ってもかまわないと言い切ったのだ。
常に自分が一番に愛されているという自信があったとはいえ、その言葉にはアストラは目を見開いて驚いたものである。
「噂の件はいかがなさるおつもりですか?」
「当然、噂の女どもと縁を切らせる」
「それが最善かと思いますが、うまく話が進むでしょうか。坊っちゃま。ローザも同席いたしましょうか?」
ローザは心配性だ。
なによりも大切にしているアストラが傷つけられることが許せない。
「大丈夫だ。俺は子どもじゃねえからな。婚約者相手に遅れをとらねえよ」
アストラは、ローザの心配性をわかっているからこそ、豪快に笑ってみせた。
「それにな。俺より女がいいなら、男の俺を婚約者に選ぶなって話だろ」
アストラの言い分は間違っていない。
しかし、ロイは噂を否定せず、気にもしないようだった。
社交界でロイが女性に口説かれるたびに、アストラは女性を威嚇するように牽制し、アストラ以外の人と必要以上にダンスをしようとするものならば、憤慨した。
そうしているうちに、いつのまにか、アストラは嫉妬深い悪役令息という不名誉なあだ名が付けられてしまった。
もっとも、そうやって囃し立てるのは、皇族や貴族たちに対する悪質な噂や作り話を流している新聞社や、その記事を真に受けた人々だけだ。
大勢の人々はロイやアストラの悪い噂を、自分にとって都合のよい絶好の機会であると睨み、虎視眈々と狙っている。
……俺はお姉様とは違うからな。
王太子妃並びに将来の王妃の座に執着を示す姉とは違い、アストラが欲しいのはロイの唯一無二の存在である。
その為ならば、女性よりも男性が出産する方が体に負荷がかかることになると理解をしていながらも、子どもを産む覚悟もある。
「俺はお姉様とは違う。愛人なんて一人も許さねえ」
アストラは嫉妬深い。
他人とロイを共有するなど考えただけでも殺意を抱いてしまう。
「決着をつけると決めたんだ。俺の為にな!」
アストラは自分を中心に生きている。
しかし、ロイの意見があるのならば、それを尊重しようという考えもある。好きな人の意見は優先したくなるものだと、恋をしてから知ってしまった。
常に自分が一番に愛されているという自信があったとはいえ、その言葉にはアストラは目を見開いて驚いたものである。
「噂の件はいかがなさるおつもりですか?」
「当然、噂の女どもと縁を切らせる」
「それが最善かと思いますが、うまく話が進むでしょうか。坊っちゃま。ローザも同席いたしましょうか?」
ローザは心配性だ。
なによりも大切にしているアストラが傷つけられることが許せない。
「大丈夫だ。俺は子どもじゃねえからな。婚約者相手に遅れをとらねえよ」
アストラは、ローザの心配性をわかっているからこそ、豪快に笑ってみせた。
「それにな。俺より女がいいなら、男の俺を婚約者に選ぶなって話だろ」
アストラの言い分は間違っていない。
しかし、ロイは噂を否定せず、気にもしないようだった。
社交界でロイが女性に口説かれるたびに、アストラは女性を威嚇するように牽制し、アストラ以外の人と必要以上にダンスをしようとするものならば、憤慨した。
そうしているうちに、いつのまにか、アストラは嫉妬深い悪役令息という不名誉なあだ名が付けられてしまった。
もっとも、そうやって囃し立てるのは、皇族や貴族たちに対する悪質な噂や作り話を流している新聞社や、その記事を真に受けた人々だけだ。
大勢の人々はロイやアストラの悪い噂を、自分にとって都合のよい絶好の機会であると睨み、虎視眈々と狙っている。
……俺はお姉様とは違うからな。
王太子妃並びに将来の王妃の座に執着を示す姉とは違い、アストラが欲しいのはロイの唯一無二の存在である。
その為ならば、女性よりも男性が出産する方が体に負荷がかかることになると理解をしていながらも、子どもを産む覚悟もある。
「俺はお姉様とは違う。愛人なんて一人も許さねえ」
アストラは嫉妬深い。
他人とロイを共有するなど考えただけでも殺意を抱いてしまう。
「決着をつけると決めたんだ。俺の為にな!」
アストラは自分を中心に生きている。
しかし、ロイの意見があるのならば、それを尊重しようという考えもある。好きな人の意見は優先したくなるものだと、恋をしてから知ってしまった。
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