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第0話 初恋の思い出
01−2
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「はじめまして、大公子。俺はアストラ・ブラッドランスです。これから、よろしくお願いします」
アストラは当然のように手を差し出した。
握手を求めるのは挨拶の一環だ。友好的な関係を築きたいと示すのには、もっとも効率的な方法であり、それを拒む相手はあまりいない。
侯爵家を敵に回せば厄介なことになると、誰もが知っている。
しかし、それ以上に貴族は欲深い生き物であるからこそ、ブラッドランス侯爵家を味方につけようとする。誰もが自分のコレクションとして所有をしたがるのだ。
ブラッドランス侯爵家は建国当初から皇族や貴族の欲に漬け込み、栄えてきた名門の一族だ。
「……ロイ・ファントムだ」
ロイはアストラの手を取った。
……かっこいい。
優しく手に触れられただけなのにもかかわらず、胸が高鳴る。憧れの人を見るかのような輝いた視線をロイに向けていることに、ロイも気づいたのだろう。
……剣を使う人の手だ。
握手をした手が硬い。剣術の訓練が日課なのだろう。
皮膚が厚くなっており、力の入りやすい部分は特に硬くなっていた。握手をしただけでロイが剣術に精通していることがよくわかる。
……憧れるなぁ。
アストラはかっこいい人が好きだ。
それは恋愛感情にかかわらず、老若男女問わず、なにかに熱中していて成果を残している人たちのことを好意的に見てしまう。
……かっこいいなぁ。
しばらく、握手をしたまま、見つめ合っていた。
ずっと見ていられる。
それは初めての感情だった。
おそらく、アストラが皇族や貴族たちから向けられる感情に似たものだろう。ブラッドランス侯爵家の直系は、優れた見た目で有名だ。
その姿を目にすると、誰もが自分だけのものにしたいと欲を抱いてしまう。魔性の一族だと頭では理解しつつ、アストラはロイから目を離せなかった。
アストラは当然のように手を差し出した。
握手を求めるのは挨拶の一環だ。友好的な関係を築きたいと示すのには、もっとも効率的な方法であり、それを拒む相手はあまりいない。
侯爵家を敵に回せば厄介なことになると、誰もが知っている。
しかし、それ以上に貴族は欲深い生き物であるからこそ、ブラッドランス侯爵家を味方につけようとする。誰もが自分のコレクションとして所有をしたがるのだ。
ブラッドランス侯爵家は建国当初から皇族や貴族の欲に漬け込み、栄えてきた名門の一族だ。
「……ロイ・ファントムだ」
ロイはアストラの手を取った。
……かっこいい。
優しく手に触れられただけなのにもかかわらず、胸が高鳴る。憧れの人を見るかのような輝いた視線をロイに向けていることに、ロイも気づいたのだろう。
……剣を使う人の手だ。
握手をした手が硬い。剣術の訓練が日課なのだろう。
皮膚が厚くなっており、力の入りやすい部分は特に硬くなっていた。握手をしただけでロイが剣術に精通していることがよくわかる。
……憧れるなぁ。
アストラはかっこいい人が好きだ。
それは恋愛感情にかかわらず、老若男女問わず、なにかに熱中していて成果を残している人たちのことを好意的に見てしまう。
……かっこいいなぁ。
しばらく、握手をしたまま、見つめ合っていた。
ずっと見ていられる。
それは初めての感情だった。
おそらく、アストラが皇族や貴族たちから向けられる感情に似たものだろう。ブラッドランス侯爵家の直系は、優れた見た目で有名だ。
その姿を目にすると、誰もが自分だけのものにしたいと欲を抱いてしまう。魔性の一族だと頭では理解しつつ、アストラはロイから目を離せなかった。
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