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第二話 『悪役令息の妹』の元婚約者に追われている

04-27.

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「変態はブラッドも同じだと思うが」

「はぁ? お前と一緒にするな」

「一緒だ。煽ってくるのはブラッドだろ?」

 アルバートに言われ、ブラッドはそっぽを向いた。

 食べることに集中するのだと言わんばかりに食事を進めた。


* * *


「――いいから、さっさと仕事に行け!」

 ブラッドは玄関近くで大声をあげた。

 何度目のやり取りだろうか。

 食事を終え、玄関でもめている。ブラッドと離れたくないとアルバートが駄々をこねはじめ、しまいには仕事を休もうとしていたのだ。それを必死にブラッドは説得をしていたのだが、なかなか、上手くいかない。

「ブラッドがいない職場なんてつまらないだろ」

「仕事は仕事だ。俺がいけねえのはアルバートが決めたんだろ。仕事してこい」

「でも、寂しいだろ?」

 アルバートはブラッドを抱きしめたまま、離そうとしない。

 ……めんどくさいな。

 心のどこかでかわいいと思っていることに気づかないふりをしつつ、ブラッドはめんどうそうな顔をしていた。

「寂しくねえから」

 ブラッドは素っ気なく言う。

「俺が寂しい」

「あぁ、そうかよ。で? どうしたら、仕事に行くんだ?」

 ブラッドはアルバートの意思を尊重する気などなかった。

 第二騎士団の団長と副団長が同時に休むなどありえない。

「名残惜しいからキスしてくれ」

 アルバートには羞恥心はなかった。

 大勢の使用人が見守る中、アルバートはブラッドを抱きしめながら要求する。


「……この場で?」

 ブラッドは戸惑ってしまった。

 散々、煽るものの、人前でキスをするのには抵抗がある。とはいえ、喘ぎ声は漏れているだろう。新婚の二人が夜な夜なしていることは使用人たちも理解をしているはずである。
 それとこれとは別問題だった。

 ……触れるだけで終わるはずがない。

 腰を抜かすほどの深いキスをされるだろう。
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