81 / 82
第二話 『悪役令息の妹』の元婚約者に追われている
04-25.
しおりを挟む
「なぜ、母上を?」
アルバートはなにも理解できなかった。
ブラッドがアルバートに対して好意を抱いていると見抜いていたのだろう。
だからこそ、社交界で見かけるたびに声をかけていた。
その都度、言い争いになってはいたものの、アルバートはブラッドが自分だけを見てくれているのならば汚い言葉で罵られても平気だった。
「はっ、そんなこともわかんないのかよ」
ブラッドは鼻で笑う。
それから、準備された料理に遠慮なくフォークを刺した。
「公爵夫人のお気に入りになれば、お前との婚約の話がでるかもしれないだろ。だから、わざと夫人の前では従順にしてたんだよ」
「なるほど。母上からかわいらしい子猫のようだと話は聞いている」
「子猫!? この俺を見てそう評価するのは、あの夫人くらいだろ」
ブラッドは野菜を口にした。
……俺の好みの味付けだ。
社交界の場で、餌付けと称して公爵夫人が料理を食べさせてくれたことを思い出す。あれはブラッドの味の好みを探っていたのかもしれない。
公爵も会うたびにブラッドを気にかけてくれた。
それこそ、公爵夫妻は実の両親よりも親らしかった。
「ブラッド」
アルバートはなにを思ったのか、デザートをスプーンですくい、ブラッドに向ける。
「……食べろと?」
ブラッドは嫌そうな顔をした。
料理の順番を気にしているわけではない。社交界の正式な場ならば、ともかく、二人だけの食事だ。多少、食事の決まりを破ったところで注意をする人はいない。
「母上の時は食べたのだろう?」
アルバートに言われるとブラッドは苦い顔をする。
……よけいなことを言ってしまったな。
めんどうなことになった。
……だが、そんな恥ずかしいことができるものか!
公爵夫人を相手にする時も羞恥心を耐えていたのだ。アルバートを相手にそれをするのは、かなり、恥ずかしい。
「ブラッド。食べないのか?」
アルバートはスプーンをブラッドの口元に近づける。
嫌いなものが乗っているわけではない。
アルバートはなにも理解できなかった。
ブラッドがアルバートに対して好意を抱いていると見抜いていたのだろう。
だからこそ、社交界で見かけるたびに声をかけていた。
その都度、言い争いになってはいたものの、アルバートはブラッドが自分だけを見てくれているのならば汚い言葉で罵られても平気だった。
「はっ、そんなこともわかんないのかよ」
ブラッドは鼻で笑う。
それから、準備された料理に遠慮なくフォークを刺した。
「公爵夫人のお気に入りになれば、お前との婚約の話がでるかもしれないだろ。だから、わざと夫人の前では従順にしてたんだよ」
「なるほど。母上からかわいらしい子猫のようだと話は聞いている」
「子猫!? この俺を見てそう評価するのは、あの夫人くらいだろ」
ブラッドは野菜を口にした。
……俺の好みの味付けだ。
社交界の場で、餌付けと称して公爵夫人が料理を食べさせてくれたことを思い出す。あれはブラッドの味の好みを探っていたのかもしれない。
公爵も会うたびにブラッドを気にかけてくれた。
それこそ、公爵夫妻は実の両親よりも親らしかった。
「ブラッド」
アルバートはなにを思ったのか、デザートをスプーンですくい、ブラッドに向ける。
「……食べろと?」
ブラッドは嫌そうな顔をした。
料理の順番を気にしているわけではない。社交界の正式な場ならば、ともかく、二人だけの食事だ。多少、食事の決まりを破ったところで注意をする人はいない。
「母上の時は食べたのだろう?」
アルバートに言われるとブラッドは苦い顔をする。
……よけいなことを言ってしまったな。
めんどうなことになった。
……だが、そんな恥ずかしいことができるものか!
公爵夫人を相手にする時も羞恥心を耐えていたのだ。アルバートを相手にそれをするのは、かなり、恥ずかしい。
「ブラッド。食べないのか?」
アルバートはスプーンをブラッドの口元に近づける。
嫌いなものが乗っているわけではない。
53
お気に入りに追加
722
あなたにおすすめの小説
目覚めたらヤバそうな男にキスされてたんですが!?
キトー
BL
傭兵として働いていたはずの青年サク。
目覚めるとなぜか廃墟のような城にいた。
そしてかたわらには、伸びっぱなしの黒髪と真っ赤な瞳をもつ男が自分の手を握りしめている。
どうして僕はこんな所に居るんだろう。
それに、どうして僕は、この男にキスをされているんだろうか……
コメディ、ほのぼの、時々シリアスのファンタジーBLです。
【執着が激しい魔王と呼ばれる男×気が弱い巻き込まれた一般人?】
反応いただけるととても喜びます!
匿名希望の方はX(元Twitter)のWaveboxやマシュマロからどうぞ(^^)
悪役令息物語~呪われた悪役令息は、追放先でスパダリたちに愛欲を注がれる~
トモモト ヨシユキ
BL
魔法を使い魔力が少なくなると発情しちゃう呪いをかけられた僕は、聖者を誘惑した罪で婚約破棄されたうえ辺境へ追放される。
しかし、もと婚約者である王女の企みによって山賊に襲われる。
貞操の危機を救ってくれたのは、若き辺境伯だった。
虚弱体質の呪われた深窓の令息をめぐり対立する聖者と辺境伯。
そこに呪いをかけた邪神も加わり恋の鞘当てが繰り広げられる?
エブリスタにも掲載しています。
変態村♂〜俺、やられます!〜
ゆきみまんじゅう
BL
地図から消えた村。
そこに肝試しに行った翔馬たち男3人。
暗闇から聞こえる不気味な足音、遠くから聞こえる笑い声。
必死に逃げる翔馬たちを救った村人に案内され、ある村へたどり着く。
その村は男しかおらず、翔馬たちが異変に気づく頃には、すでに囚われの身になってしまう。
果たして翔馬たちは、抱かれてしまう前に、村から脱出できるのだろうか?
兄2人からどうにかして処女を守りたいけどどうしたものか
たかし
BL
完璧イケメンの兄×2に処女を狙われてるんですけど、回避する方法を誰か知りませんかね?!
親同士の再婚で義兄弟になるとかいうありがちなストーリーのせいで、迫る変態完璧兄貴2人と男前で口の悪い弟のケツ穴攻防戦が今、始まる___________
まぁ、ざっくり言ってコメディです
多分エロも入ります。多分てか絶対。
題名からしてもう頭悪いよね。
ちょっとしてからエロが加速し始めるんじゃないかな(適当)
あ、リクエストかなんかあればどうぞ〜
採用するかはなんとも言えません(笑)
最後にカメ更新宣言しときます( ✌︎'ω')✌︎
*追記*
めちゃくちゃギャグテイストです。
キャラがふわふわしとるわ。
なんか…その……あの、じわじわ開発されてく感じ。うん。
悪役の俺だけど性的な目で見られています…(震)
彩ノ華
BL
悪役に転生した主人公が周りから性的な(エロい)目で見られる話
*ゆるゆる更新
*素人作品
*頭空っぽにして楽しんでください
⚠︎︎エロにもちょいエロでも→*をつけます!
【本編完結】断罪される度に強くなる男は、いい加減転生を仕舞いたい
雷尾
BL
目の前には金髪碧眼の美形王太子と、隣には桃色の髪に水色の目を持つ美少年が生まれたてのバンビのように震えている。
延々と繰り返される婚約破棄。主人公は何回ループさせられたら気が済むのだろうか。一応完結ですが気が向いたら番外編追加予定です。
婚約者は俺にだけ冷たい
円みやび
BL
藍沢奏多は王子様と噂されるほどのイケメン。
そんなイケメンの婚約者である古川優一は日々の奏多の行動に傷つきながらも文句を言えずにいた。
それでも過去の思い出から奏多との別れを決意できない優一。
しかし、奏多とΩの絡みを見てしまい全てを終わらせることを決める。
ザマァ系を期待している方にはご期待に沿えないかもしれません。
前半は受け君がだいぶ不憫です。
他との絡みが少しだけあります。
あまりキツイ言葉でコメントするのはやめて欲しいです。
ただの素人の小説です。
ご容赦ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる