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第二話 『悪役令息の妹』の元婚約者に追われている
04-22.
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「本当に?」
アルバートは聞き返す。
それはブラッドの言葉が信用できなかったわけではなく、監禁状態になったとしても怒らないのかという意味での確認だ。
「当たり前だろ。どうせ、お前が爵位を継げば、俺は公爵夫人だからな。アルバートの貯めた書類の処理とか領地の管理とか、俺がやってやるよ」
ブラッドは第二騎士団の愛着を持っている。
しかし、結婚をさせられた時から覚悟はしていた。公爵家に嫁いだからには、第二騎士団の副団長を辞職する日も遠くはない。それならば、公爵家の中で居場所と役割を手に入れることを優先するべきである。
ブラッドはアルバートから愛されている自覚がある。
だからこそ、監禁されてもかまわないと思っていた。
……今もそんなに変わらないしな。
今回の件はアルバートにとって、苦痛の決断だっただろう。
「それもそうだな」
「だろう? 俺が公爵夫人になった時には書類仕事とは無縁だぜ。よかったな」
「……それは今からでも有効だろうか?」
アルバートの言葉を聞き、ブラッドは足を止める。
……もう貯めてるのか?
アルバートの書類嫌いを考えればおかしくはない。しかし、公爵領に在住している公爵夫妻が領地に関係する書類を処理しているはずだ。
アルバートがするのは、今後、困らないように予習を兼ねて回される少量の書類のはずである。中にはブラッドの実家のように、子どもに丸投げをする家もあるが、真面目な公爵夫妻がそれをするとは思えない。
「強制的な引きこもりでやることがねえからな。腰の痛くならない椅子があるなら、やってやるよ。ただし、俺のやり方だから最終確認ができるような執事を用意しとけよ」
ブラッドは言い切った。
ウォルトの大暴走により、第二騎士団に出勤することができなくなった。仕事にならないからだ。
「早く諦めてくれればいいんだが。あの人も困ったものだな」
ブラッドはため息を零した。
ウォルトはなにを考えているのだろうか、まったく、わからなかった。
その為、安全を確保するという理由でブラッドは、しばらくの間、休暇をとるしかなかった。有給だけは山のようにたまっていたので問題はなかったものの、その間、第二騎士団の書類はすべてコリーに任せられることになる。
アルバートは聞き返す。
それはブラッドの言葉が信用できなかったわけではなく、監禁状態になったとしても怒らないのかという意味での確認だ。
「当たり前だろ。どうせ、お前が爵位を継げば、俺は公爵夫人だからな。アルバートの貯めた書類の処理とか領地の管理とか、俺がやってやるよ」
ブラッドは第二騎士団の愛着を持っている。
しかし、結婚をさせられた時から覚悟はしていた。公爵家に嫁いだからには、第二騎士団の副団長を辞職する日も遠くはない。それならば、公爵家の中で居場所と役割を手に入れることを優先するべきである。
ブラッドはアルバートから愛されている自覚がある。
だからこそ、監禁されてもかまわないと思っていた。
……今もそんなに変わらないしな。
今回の件はアルバートにとって、苦痛の決断だっただろう。
「それもそうだな」
「だろう? 俺が公爵夫人になった時には書類仕事とは無縁だぜ。よかったな」
「……それは今からでも有効だろうか?」
アルバートの言葉を聞き、ブラッドは足を止める。
……もう貯めてるのか?
アルバートの書類嫌いを考えればおかしくはない。しかし、公爵領に在住している公爵夫妻が領地に関係する書類を処理しているはずだ。
アルバートがするのは、今後、困らないように予習を兼ねて回される少量の書類のはずである。中にはブラッドの実家のように、子どもに丸投げをする家もあるが、真面目な公爵夫妻がそれをするとは思えない。
「強制的な引きこもりでやることがねえからな。腰の痛くならない椅子があるなら、やってやるよ。ただし、俺のやり方だから最終確認ができるような執事を用意しとけよ」
ブラッドは言い切った。
ウォルトの大暴走により、第二騎士団に出勤することができなくなった。仕事にならないからだ。
「早く諦めてくれればいいんだが。あの人も困ったものだな」
ブラッドはため息を零した。
ウォルトはなにを考えているのだろうか、まったく、わからなかった。
その為、安全を確保するという理由でブラッドは、しばらくの間、休暇をとるしかなかった。有給だけは山のようにたまっていたので問題はなかったものの、その間、第二騎士団の書類はすべてコリーに任せられることになる。
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