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第二話 『悪役令息の妹』の元婚約者に追われている

04-15.

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 自動で濡れた体を乾かす魔方陣が発動したとはいえ、バスローブだけでは体調を崩してもおかしくはない。なにより、下着を身に付けていない状態のまま、アルバートと話をしているのは恥ずかしくて仕方がなかった。

「着替えならそこにあるが」

 アルバートは着替えないのかと当然のように聞いてくる。

 目の前で着替えが行われるのが当然だと思っているのだろうか。

「アルバート」

 ブラッドは呆れたように名を呼んだ。

「お前さ。俺の生着替えを目にして手を出さない童貞野郎じゃねえだろ?」

 ブラッドは挑発をしたいわけではない。

 事実を適切に述べたつもりである。

 発情期の獣のようにブラッドの体を執拗に快楽漬けにしようとしたことをアルバートが忘れているはずがない。もしかしたら、その傾向があると自覚さえもしていないかもしれない。

「それはそうだな」

 アルバートは肯定した。

 しかし、脱衣場から追い出される理由になっていないと言わんばかりの顔をしていた。

「自覚あるならさっさと出ろ。遅刻するような真似は許さねえからな」

「……重役出勤をしても問題はないと思うが」

「うるせえ。黙れ。それを許すわけねえだろうが」

 ブラッドは強硬手段に出る。

 言葉では文句を言いつつも抵抗をしないアルバートの背中を押し、脱衣場の扉の前まで強引に移動させた。

 ……朝から疲れさせやがって。

 倦怠感が強い。それは昨夜の性行為が原因だ。

 しかし、それ以上にアルバートを仕事に行かせる為に体力を消費するのが、体の疲労を大きくしている原因だろう。

「着替えをしたら見てもいいか?」

「は? 服なんて見たっておもしろくもねえだろ。俺は女性と違ってそんなに着飾ったりしねえからな」

「知っている。サイズが合っているか、確認したいだけだ」

 アルバートの言葉を聞き、ブラッドは眉をひそめた。

 ……当然のように用意されてたな。

 ブラッドは勘違いをしていた。用意されているブラッドの服はすべて実家から持ってきたものであると思い込んでいたのだ。

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