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第二話 『悪役令息の妹』の元婚約者に追われている
04-13.
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時間に追われていることの多い貴族の為に、兄が開発した魔方陣が組み込まれたバスローブは侯爵家でも使われているようだ。
「俺も休暇を申請するべきだったか」
アルバートの声を聞き、ブラッドは反射的に飛び上がった。
妙な動きをしたことにアルバートは違和感を抱いたようではあるものの、それに対して触れることはなかった。
「……いたのかよ。変態野郎」
ブラッドは悪態を吐く。
身を清めている間、アルバートは傍にいたようだ。
いつの間にか用意されていた新しい服に手にしながら、ブラッドは考え事をする。
……仕事の穴は開けられねえよな。
繁忙期ではないものの、第二騎士団の仕事は多い。騎士団長と副団長が同時に休暇をとれるほどに暇をしているわけではない。
「アルバートは仕事に行け。俺の分まで働いてもらわねえと困るんだよ」
ブラッドはしばらく動けそうもない。
ウォルトを説得することができればいいのだが、それはかなり難しいだろう。その間、通常通りに仕事ができるとは思えなかった。
「そのまま退職をするか?」
アルバートの提案は間違いではない。
結婚を機に退職をする人も少なくはない。特に同性婚の場合、子どもを授かり、出産する負担は女性の数倍以上だ。可能な限り、負担を減らす努力が求められる為、仕事を退職し、家庭に専念する者がほとんどである。
だからこそ、アルバートの提案は一般的なものだった。
「しねえからな。絶対に。俺が辞めたら、コリーが使い潰されるだろうが」
ブラッドはそれを拒絶する。
それなりに大事にしている部下の身の安全を守るのも、副団長としての義務である。
「それに、お前の背中を守ってやれるのは俺だけだろ」
ブラッドは剣術に長けている。
第二騎士団の副団長に選ばれたのは実力だ。猪突猛進する傾向の強いアルバートを諫め、彼の背後を守りながら戦えるのはブラッドしかいないだろう。
「それはそうだが。アレがブラッドを諦めるまでは外に出したくない」
「ふざけんなよ。監禁でもするつもりか?」
「監禁したいくらいだが」
アルバートは真面目に考えながら、言い切った。
「俺も休暇を申請するべきだったか」
アルバートの声を聞き、ブラッドは反射的に飛び上がった。
妙な動きをしたことにアルバートは違和感を抱いたようではあるものの、それに対して触れることはなかった。
「……いたのかよ。変態野郎」
ブラッドは悪態を吐く。
身を清めている間、アルバートは傍にいたようだ。
いつの間にか用意されていた新しい服に手にしながら、ブラッドは考え事をする。
……仕事の穴は開けられねえよな。
繁忙期ではないものの、第二騎士団の仕事は多い。騎士団長と副団長が同時に休暇をとれるほどに暇をしているわけではない。
「アルバートは仕事に行け。俺の分まで働いてもらわねえと困るんだよ」
ブラッドはしばらく動けそうもない。
ウォルトを説得することができればいいのだが、それはかなり難しいだろう。その間、通常通りに仕事ができるとは思えなかった。
「そのまま退職をするか?」
アルバートの提案は間違いではない。
結婚を機に退職をする人も少なくはない。特に同性婚の場合、子どもを授かり、出産する負担は女性の数倍以上だ。可能な限り、負担を減らす努力が求められる為、仕事を退職し、家庭に専念する者がほとんどである。
だからこそ、アルバートの提案は一般的なものだった。
「しねえからな。絶対に。俺が辞めたら、コリーが使い潰されるだろうが」
ブラッドはそれを拒絶する。
それなりに大事にしている部下の身の安全を守るのも、副団長としての義務である。
「それに、お前の背中を守ってやれるのは俺だけだろ」
ブラッドは剣術に長けている。
第二騎士団の副団長に選ばれたのは実力だ。猪突猛進する傾向の強いアルバートを諫め、彼の背後を守りながら戦えるのはブラッドしかいないだろう。
「それはそうだが。アレがブラッドを諦めるまでは外に出したくない」
「ふざけんなよ。監禁でもするつもりか?」
「監禁したいくらいだが」
アルバートは真面目に考えながら、言い切った。
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