悪役令息は犬猿の仲の騎士団長に溺愛される。

佐倉海斗

文字の大きさ
上 下
68 / 98
第二話 『悪役令息の妹』の元婚約者に追われている

04-12.

しおりを挟む
 ……気遣うなら、気絶するまでするんじゃねえよ。

 ブラッドの体調が悪くならないように、腹の中に出した精液を掻き出したりしたのだろう。それでも奥に出されたものは、動くたびに腹の外に出ようと下がってくるのを感じる。尻の穴から零れるほどではない。しかし、なんともいえない不快感があった。

 ……強引に休暇もとらせやがって。

 本来ならば、仕事に向かうはずだった。

 それが休暇になったのは、アルバートがウォルトの動きを警戒したからである。業務を妨害していることなど気にもすることなく、ウォルトはブラッドを訪ねてくるだろう。

 ウォルトは粘着質の男だ。

 思い込んだら、徹底的に感情のままに押し通そうとする。

 エーデルワイス王国に迫りくるかもしれない危機に対応する方法の候補策として、提案されただけの聖女召喚を自らの役目と信じ込み、独断で古代魔術書を解析し、実行した。

 実力はある。しかし、突拍子のない行動と思い込みの激しい言動により、王族の中でも異端児として扱われていることをウォルトだけが知らなかった。

「……どうするかな」

 ブラッドは対策を練ることしかできない。

 なにを企んでいるのかさえもわからないウォルトの手綱を握ることができるのは、ウォルトによって召喚された聖女のミレイだけだ。

 その事実は不安要素を煽るだけだった。

 ……このままだと監禁されそうだ。

 アルバートは心配性だ。その上、ブラッドに対して執着心が強い。愛しているからこその独占欲も他人と比べても強い方だろう。

 愛されていると自覚はしている。

 嫌というほどに体に愛を刻まれた。

 ……仕事を運んでもらおうかな。

 頭を過った方法をすぐに否定する。

 機密情報を外に出すわけにはいかなかった。

「アルバートといた方が安全な気がしてきたな」

 思わず、口にしてしまった言葉を取り消すことはできない。

 ブラッドは身を清めるだけのシャワーを止め、いつの間にか脱衣場に置かれていたバスローブに身を包む。

 ……あ、これ、兄上が作ったやつか。

 バスローブに身を包めば、自動で濡れた体を乾かす魔法が発動した。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

平民男子と騎士団長の行く末

きわ
BL
 平民のエリオットは貴族で騎士団長でもあるジェラルドと体だけの関係を持っていた。  ある日ジェラルドの見合い話を聞き、彼のためにも離れたほうがいいと決意する。  好きだという気持ちを隠したまま。  過去の出来事から貴族などの権力者が実は嫌いなエリオットと、エリオットのことが好きすぎて表からでは分からないように手を回す隠れ執着ジェラルドのお話です。  第十一回BL大賞参加作品です。

隣人、イケメン俳優につき

タタミ
BL
イラストレーターの清永一太はある日、隣部屋の怒鳴り合いに気付く。清永が隣部屋を訪ねると、そこでは人気俳優の杉崎久遠が男に暴行されていて──?

催眠術をかけたら幼馴染の愛が激重すぎる⁉

モト
BL
魔法が使えない主人公リュリュ。 ある日、幼馴染で庭師の息子のセスが自分をハメようと企てていることを知る。 自分の身の危険を回避する為に、魔法が使えなくても出来る術、催眠術をセスにかけた。 異常に効果が効きすぎてしまって、おぉお!? 俺のことをキレイだと褒めて褒めて好き好き言いまくって溺愛してくる。無口で無表情はどうした!? セスはそんな人間じゃないだろう!? と人格まで催眠術にかかって変わる話だけど、本当のところは……。 2023に『幼馴染に催眠術をかけたら溺愛されまくちゃった⁉』で掲載しておりましたが、全体を改稿し、あまりに内容変更が多いのでアップし直しました。 改稿前とストーリーがやや異なっています。ムーンライトノベルズでも掲載しております。

平凡な俺が双子美形御曹司に溺愛されてます

ふくやまぴーす
BL
旧題:平凡な俺が双子美形御曹司に溺愛されてます〜利害一致の契約結婚じゃなかったの?〜 名前も見た目もザ・平凡な19歳佐藤翔はある日突然初対面の美形双子御曹司に「自分たちを助けると思って結婚して欲しい」と頼まれる。 愛のない形だけの結婚だと高を括ってOKしたら思ってたのと違う展開に… 「二人は別に俺のこと好きじゃないですよねっ?なんでいきなりこんなこと……!」 美形双子御曹司×健気、お人好し、ちょっぴり貧乏な愛され主人公のラブコメBLです。 🐶2024.2.15 アンダルシュノベルズ様より書籍発売🐶 応援していただいたみなさまのおかげです。 本当にありがとうございました!

うるせぇ!僕はスライム牧場を作るんで邪魔すんな!!

かかし
BL
強い召喚士であることが求められる国、ディスコミニア。 その国のとある侯爵の次男として生まれたミルコは他に類を見ない優れた素質は持っていたものの、どうしようもない事情により落ちこぼれや恥だと思われる存在に。 両親や兄弟の愛情を三歳の頃に失い、やがて十歳になって三ヶ月経ったある日。 自分の誕生日はスルーして兄弟の誕生を幸せそうに祝う姿に、心の中にあった僅かな期待がぽっきりと折れてしまう。 自分の価値を再認識したミルコは、悲しい決意を胸に抱く。 相棒のスライムと共に、名も存在も家族も捨てて生きていこうと… のんびり新連載。 気まぐれ更新です。 BがLするまでかなり時間が掛かる予定ですので注意! 人外CPにはなりません ストックなくなるまでは07:10に公開 3/10 コピペミスで1話飛ばしていたことが判明しました!申し訳ございません!!

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

何も知らない人間兄は、竜弟の執愛に気付かない

てんつぶ
BL
 連峰の最も高い山の上、竜人ばかりの住む村。  その村の長である家で長男として育てられたノアだったが、肌の色や顔立ちも、体つきまで周囲とはまるで違い、華奢で儚げだ。自分はひょっとして拾われた子なのではないかと悩んでいたが、それを口に出すことすら躊躇っていた。  弟のコネハはノアを村の長にするべく奮闘しているが、ノアは竜体にもなれないし、人を癒す力しかもっていない。ひ弱な自分はその器ではないというのに、日々プレッシャーだけが重くのしかかる。  むしろ身体も大きく力も強く、雄々しく美しい弟ならば何の問題もなく長になれる。長男である自分さえいなければ……そんな感情が膨らみながらも、村から出たことのないノアは今日も一人山の麓を眺めていた。  だがある日、両親の会話を聞き、ノアは竜人ですらなく人間だった事を知ってしまう。人間の自分が長になれる訳もなく、またなって良いはずもない。周囲の竜人に人間だとバレてしまっては、家族の立場が悪くなる――そう自分に言い訳をして、ノアは村をこっそり飛び出して、人間の国へと旅立った。探さないでください、そう書置きをした、はずなのに。  人間嫌いの弟が、まさか自分を追って人間の国へ来てしまい――

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…

月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた… 転生したと気づいてそう思った。 今世は周りの人も優しく友達もできた。 それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。 前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。 前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。 しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。 俺はこの幸せをなくならせたくない。 そう思っていた…

処理中です...