悪役令息は犬猿の仲の騎士団長に溺愛される。

佐倉海斗

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第二話 『悪役令息の妹』の元婚約者に追われている

04-9.

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 ……あんまりだ!

 ブラッドは未成年者の責任は親がとるべきだと考えている。もちろん、犯罪行為を犯した者に関しては違う。犯した罪の大きさを考えれば、未成年であったとしても許されないものもあると考えている。

 だからこそ、今回のアルバートの判断は重すぎると考えていた。

 事実として、リリィはアルバートたちの寝室の前に立っていた。それはブラッドが侯爵家の嫁として連れてこられる前から行われていたのだろう。

 しかし、寝室の前に立っていただけである。

 それ以上のことはなにもしていないのだ。

「そんな甘い考えをしているから、王子に付き纏われるんだ」

「ウォルト王子を甘やかしたことなんて一度もない。俺は、王子殿下や王女殿下に対して、平等に王族として適切な対応をしてきたつもりだ」

「そう思っているから問題なんだろうが」

 アルバートの言葉を聞き、ブラッドは眉を顰めた。

 ……あれは違う。

 心の中で否定する。

 ウォルトに対し、好意的に接していたのはキャロラインの婚約者だったからだ。それも王族として当然の扱いをしていただけであり、ウォルトが未だにブラッドのことを慕っているのは想定外だった。

 昨日のウォルトの様子を思い返す。

 あれは異常だった。アルバートがブラッドに向ける執着とも違う。得体のしれない感情を向けられている嫌悪感は、一生、ブラッドに付き纏うだろう。

「……この子に関しては、軟禁程度で許してやってくれないか」

 ブラッドも思うことがあったのだろう。

 なにもせずに開放するように説得することを諦め、妥協案を提示した。

 ……男爵家の悪い噂があったな。

 リリィは男爵家の為に動いていた可能性がある。

 偶然、社交界で耳にした男爵家の悪い噂を思い出したのだ。

「なぜだ?」

「そのくらい、わかってくれよ。男爵家の噂を聞いたことがあるだろ? その関連で調べれば、すぐに黒幕と目的がわかるはずだ」

 ブラッドの言葉を聞き、アルバートは考え込む。

 ……そういえば、社交界嫌いだったか。

 アルバートの社交界嫌いは有名だ。

 ……毎回、出くわすから、ただの噂だと思ってた。

 おそらく、ブラッドが出席をしている場所にだけ参加していたのだろう。
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