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第二話 『悪役令息の妹』の元婚約者に追われている
03ー1.負けず嫌いの悪役令息は快楽に溺れる
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* * *
……最悪だった。
休憩から戻ると積み直されていた書類の山を思い出し、頭が痛くなる。
二週間の休暇の間、滞っていた書類仕事を終わらせたブラッドは帰宅をすることにした。
帰宅先は侯爵邸だ。
当然のように侯爵家の馬車に乗せられたブラッドは、隣に座るアルバートを横目で見る。
……余裕そうなのがむかつく。
馬車の中で悪戯をされることを望んでいたわけではないが、なにもされないとそれはそれで気にかかる。
「……アルバート」
ブラッドは隣で本を読んでいるアルバートの腕を指で突く。
本に集中していたわけではないのだろう。
アルバートの視線はブラッドに向けられた。
「どうかしたか?」
当然のように問いかけられた。
……構ってほしいとは言えないな。
やれることがなかったわけではない。
暇ならば窓の外を眺めていても時間をつぶすことはできただろう。
……どうしよう。
二人だけの空間になると意識をしてしまう。
頭の中をよぎるのは昨夜の激しい行為や、休憩中にされた頭の中が空になるほどの口付けだ。
「ブラッド」
本が閉じられた。
雑に置かれた本に目を向けることもせず、アルバートはブラッドの腰に腕を回し、慣れた手つきで腰を撫ぜる。
まるでそういうことを求めていたかのような仕草をするアルバートに対し、ブラッドは制止することができなかった。
「我慢できないのか?」
問いかけられた言葉に対し、ブラッドは小さく頷いた。
馬車の行者が外にいるとはいえ、二人だけの空間だ。
侯爵邸に到着をするまでは邪魔されることはない。
その状況下で我慢をすることはできなかった。
……最悪だった。
休憩から戻ると積み直されていた書類の山を思い出し、頭が痛くなる。
二週間の休暇の間、滞っていた書類仕事を終わらせたブラッドは帰宅をすることにした。
帰宅先は侯爵邸だ。
当然のように侯爵家の馬車に乗せられたブラッドは、隣に座るアルバートを横目で見る。
……余裕そうなのがむかつく。
馬車の中で悪戯をされることを望んでいたわけではないが、なにもされないとそれはそれで気にかかる。
「……アルバート」
ブラッドは隣で本を読んでいるアルバートの腕を指で突く。
本に集中していたわけではないのだろう。
アルバートの視線はブラッドに向けられた。
「どうかしたか?」
当然のように問いかけられた。
……構ってほしいとは言えないな。
やれることがなかったわけではない。
暇ならば窓の外を眺めていても時間をつぶすことはできただろう。
……どうしよう。
二人だけの空間になると意識をしてしまう。
頭の中をよぎるのは昨夜の激しい行為や、休憩中にされた頭の中が空になるほどの口付けだ。
「ブラッド」
本が閉じられた。
雑に置かれた本に目を向けることもせず、アルバートはブラッドの腰に腕を回し、慣れた手つきで腰を撫ぜる。
まるでそういうことを求めていたかのような仕草をするアルバートに対し、ブラッドは制止することができなかった。
「我慢できないのか?」
問いかけられた言葉に対し、ブラッドは小さく頷いた。
馬車の行者が外にいるとはいえ、二人だけの空間だ。
侯爵邸に到着をするまでは邪魔されることはない。
その状況下で我慢をすることはできなかった。
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