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第二話 『悪役令息の妹』の元婚約者に追われている

02-13.※

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「んんっ」

 苦しそうな声をあげる。

 口に中に入れられた指を甘噛みするのは止め、舌で追い返そうとするものの、舌を掴まれて抵抗できない。

「エロい」

「ふじゃけっ!!」

 アルバートの思わず口から零れてしまった本音に対し、ブラッドは否定の声を上げたつもりだった。実際には変な声が出ただけであり、アルバートはそれを聞いても笑っていた。

「大きな声を出すなよ」

 アルバートは悪戯をする子どもに言い聞かせるような声で囁いた。

「いいな?」

 それに対し、ブラッドは頷いてしまう。

 ゆっくりと口の中を翻弄していた指が抜かれる。

 ブラッドの唾液で濡れてしまった指から目が離れない。

「ひっ」

 思わず零れてしまった声を塞ぐようにブラッドは、自身の手で口を塞ぐ。

 アルバートの指がブラッドの股間を撫ぜた。

 それだけなのに与えられた刺激に敏感に反応してしまう。

「変態」

 耳元でアルバートに言われ、ブラッドは顔を赤くする。

「ちがっ」

 否定をしようとしたものの、口内を弄られただけで主張をしている陰茎をズボン越しに撫ぜられ、言葉が続かない。

「っ」

 文句を口にすれば喘ぎ声も漏れることになる。

 それを拒むかのように我慢する。

「ブラッド」

 アルバートはブラッドの頬に触れるだけの口付けをする。

 数秒しか触れていないのにもかかわらず、それさえも敏感に感じ取ってしまうブラッドを揶揄することもなく、アルバートは笑ってみせた。

 ……やばい。

 危険を察知する。

 表情がわかりにくいアルバートが笑う時はろくでもない時だ。

 ……目が笑ってねえっ。

 勘違いしているとわかっていたが、目を反らすことしかできなかった。
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