32 / 98
第二話 『悪役令息の妹』の元婚約者に追われている
02-7.
しおりを挟む
「はあ!?」
ブラッドは信じられないと言わんばかりの声をあげる。
それから先ほどまでは大人しく頭を撫ぜられていたとは思えない表情を浮かべ、アルバートの胸倉を掴む手に力が入る。
「部下に気を遣えって言ってんだよ!!」
第二騎士団は仲が良い。
王都の警備が主な仕事である為、命のやり取りを多くしないことも理由の一つだろうが、比較的に温厚な性格の騎士たちが集まっている。
その影響もあるのだろうか。
用事がなくとも執務室の出入りが激しい。
仕事中に堂々とキスをすることを容認してしまえば、部下たちに目撃される状況も増えることは簡単に想像できた。
「気を遣う?」
アルバートは眉間に皺を寄せながら、聞き返す。
「必要か?」
「必要だろ。お前。団長だろ? 部下のことを考えろよ。頭の中まで筋肉で埋まっているわけじゃねえんだから」
殴り掛かる気力もなくなったのだろうか。
ブラッドは呆れたようなため息を零し、手を離した。
「お前に言ってもわかんねえよな。この鈍感野郎」
……こいつのことだから、筋肉で埋まってそうだな。
言い争いをする気力もなくなるほどに身体が怠い。
昨夜、遅くまで盛り上がりすぎた影響もあるのだろう。
欠伸を堪えきれなかった。
「ブラッド。体調が悪いのか」
「お前のせいだよ。この童貞野郎。さっさと仕事に行け」
ブラッドは舌打ちをする。
それから腰辺りが重いのを隠すように立ち上がり、さっさと歩きだす。
「童貞ではないが」
「どうでも良い。さっさと仕事に行け!」
休憩室でならば、少しは疲れが取れるだろうか。
ブラッドはもう一度欠伸をする。
「ブラッドは?」
「俺は休憩してくる! コニー。仕事を進めておけよ」
ブラッドは気怠そうにコニーに視線を送った。
それに対し、コニーは顔を真っ赤にさせたまま、激しく頭を上下に振った。
ブラッドは信じられないと言わんばかりの声をあげる。
それから先ほどまでは大人しく頭を撫ぜられていたとは思えない表情を浮かべ、アルバートの胸倉を掴む手に力が入る。
「部下に気を遣えって言ってんだよ!!」
第二騎士団は仲が良い。
王都の警備が主な仕事である為、命のやり取りを多くしないことも理由の一つだろうが、比較的に温厚な性格の騎士たちが集まっている。
その影響もあるのだろうか。
用事がなくとも執務室の出入りが激しい。
仕事中に堂々とキスをすることを容認してしまえば、部下たちに目撃される状況も増えることは簡単に想像できた。
「気を遣う?」
アルバートは眉間に皺を寄せながら、聞き返す。
「必要か?」
「必要だろ。お前。団長だろ? 部下のことを考えろよ。頭の中まで筋肉で埋まっているわけじゃねえんだから」
殴り掛かる気力もなくなったのだろうか。
ブラッドは呆れたようなため息を零し、手を離した。
「お前に言ってもわかんねえよな。この鈍感野郎」
……こいつのことだから、筋肉で埋まってそうだな。
言い争いをする気力もなくなるほどに身体が怠い。
昨夜、遅くまで盛り上がりすぎた影響もあるのだろう。
欠伸を堪えきれなかった。
「ブラッド。体調が悪いのか」
「お前のせいだよ。この童貞野郎。さっさと仕事に行け」
ブラッドは舌打ちをする。
それから腰辺りが重いのを隠すように立ち上がり、さっさと歩きだす。
「童貞ではないが」
「どうでも良い。さっさと仕事に行け!」
休憩室でならば、少しは疲れが取れるだろうか。
ブラッドはもう一度欠伸をする。
「ブラッドは?」
「俺は休憩してくる! コニー。仕事を進めておけよ」
ブラッドは気怠そうにコニーに視線を送った。
それに対し、コニーは顔を真っ赤にさせたまま、激しく頭を上下に振った。
90
お気に入りに追加
751
あなたにおすすめの小説
精霊の港 飛ばされたリーマン、体格のいい男たちに囲まれる
風見鶏ーKazamidoriー
BL
秋津ミナトは、うだつのあがらないサラリーマン。これといった特徴もなく、体力の衰えを感じてスポーツジムへ通うお年ごろ。
ある日帰り道で奇妙な精霊と出会い、追いかけた先は見たこともない場所。湊(ミナト)の前へ現れたのは黄金色にかがやく瞳をした美しい男だった。ロマス帝国という古代ローマに似た巨大な国が支配する世界で妖精に出会い、帝国の片鱗に触れてさらにはドラゴンまで、サラリーマンだった湊の人生は激変し異なる世界の動乱へ巻きこまれてゆく物語。
※この物語に登場する人物、名、団体、場所はすべてフィクションです。

美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました
SEKISUI
BL
ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた
見た目は勝ち組
中身は社畜
斜めな思考の持ち主
なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う
そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される

【完結】婚約破棄された僕はギルドのドSリーダー様に溺愛されています
八神紫音
BL
魔道士はひ弱そうだからいらない。
そういう理由で国の姫から婚約破棄されて追放された僕は、隣国のギルドの町へとたどり着く。
そこでドSなギルドリーダー様に拾われて、
ギルドのみんなに可愛いとちやほやされることに……。

【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった
cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。
一途なシオンと、皇帝のお話。
※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。
転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい
翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。
それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん?
「え、俺何か、犬になってない?」
豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。
※どんどん年齢は上がっていきます。
※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。

シナリオ回避失敗して投獄された悪役令息は隊長様に抱かれました
無味無臭(不定期更新)
BL
悪役令嬢の道連れで従兄弟だった僕まで投獄されることになった。
前世持ちだが結局役に立たなかった。
そもそもシナリオに抗うなど無理なことだったのだ。
そんなことを思いながら収監された牢屋で眠りについた。
目を覚ますと僕は見知らぬ人に抱かれていた。
…あれ?
僕に風俗墜ちシナリオありましたっけ?
不憫王子に転生したら、獣人王太子の番になりました
織緒こん
BL
日本の大学生だった前世の記憶を持つクラフトクリフは異世界の王子に転生したものの、母親の身分が低く、同母の姉と共に継母である王妃に虐げられていた。そんなある日、父王が獣人族の国へ戦争を仕掛け、あっという間に負けてしまう。戦勝国の代表として乗り込んできたのは、なんと獅子獣人の王太子のリカルデロ! 彼は臣下にクラフトクリフを戦利品として側妃にしたらどうかとすすめられるが、王子があまりに痩せて見すぼらしいせいか、きっぱり「いらない」と断る。それでもクラフトクリフの処遇を決めかねた臣下たちは、彼をリカルデロの後宮に入れた。そこで、しばらく世話をされたクラフトクリフはやがて健康を取り戻し、再び、リカルデロと会う。すると、何故か、リカルデロは突然、クラフトクリフを溺愛し始めた。リカルデロの態度に心当たりのないクラフトクリフは情熱的な彼に戸惑うばかりで――!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる