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第二話 『悪役令息の妹』の元婚約者に追われている
02-2.
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「コリー」
ブラッドの隣で書類整理をしようとしているコリーに対し、呆れたような視線を向ける。
「寝ろ。倒れるぞ」
「え、へへへ。平気です。副団長。この山を一人でさせるわけには」
「介抱する奴がいない。さっさと休憩しろ」
ブラッドの言葉に対し、他の騎士たちも大きく頷いていた。
コリーはそれにも気づいていないのだろう。
定位置である椅子に座ったまま、目を閉じ、動かなくなった。僅か数秒で眠りに落ちるほどに疲れていたのだろうか。
「ブラッド」
「なんだよ」
「お前は平気か? 昨日、あれだけ動いて――」
アルバートの顔に書き損じたまま放置されていた書類を丸め、投げつける。
反射的に投げつけられたものを受け止めたアルバートの表情は何も変わっていない。それに対し、ブラッドは心底嫌そうな表情を浮かべた。
「出ていけ」
低い声が出た。
「書類を片付ける間は帰ってくるな。訓練でも警備でも好きな仕事をしてこい」
ブラッドは第二騎士団の副団長である。
しかし、頭の中身まで筋肉で出来ていると噂されるほどの実力と肉体美を誇り、書類仕事からは逃げ出す傾向の強い第二騎士団では絶大的な支持を得ている。
「無理はするなよ」
「させたくねえなら、さっさと仕事をしてこい」
アルバートの気遣うような言葉に対し、ブラッドは素っ気なく返す。
そのいつも通りの光景を懐かしむかのような顔をしていた騎士たちは、ブラッドの怒りが自分自身に向けられる前にそそくさと執務室から出ていった。
* * *
昼頃、ようやく重要な書類は片付いた。
……とりあえず、これでなんとなるだろう。
机の上にある書類のほとんどが適切な場所に片付けられ、ブラッドは安堵の息を零す。
……引退させられなくて助かったな。
侯爵家の援助がなければ、ブラッドはこの場所に戻ることは出来なかっただろう。
ブラッドの隣で書類整理をしようとしているコリーに対し、呆れたような視線を向ける。
「寝ろ。倒れるぞ」
「え、へへへ。平気です。副団長。この山を一人でさせるわけには」
「介抱する奴がいない。さっさと休憩しろ」
ブラッドの言葉に対し、他の騎士たちも大きく頷いていた。
コリーはそれにも気づいていないのだろう。
定位置である椅子に座ったまま、目を閉じ、動かなくなった。僅か数秒で眠りに落ちるほどに疲れていたのだろうか。
「ブラッド」
「なんだよ」
「お前は平気か? 昨日、あれだけ動いて――」
アルバートの顔に書き損じたまま放置されていた書類を丸め、投げつける。
反射的に投げつけられたものを受け止めたアルバートの表情は何も変わっていない。それに対し、ブラッドは心底嫌そうな表情を浮かべた。
「出ていけ」
低い声が出た。
「書類を片付ける間は帰ってくるな。訓練でも警備でも好きな仕事をしてこい」
ブラッドは第二騎士団の副団長である。
しかし、頭の中身まで筋肉で出来ていると噂されるほどの実力と肉体美を誇り、書類仕事からは逃げ出す傾向の強い第二騎士団では絶大的な支持を得ている。
「無理はするなよ」
「させたくねえなら、さっさと仕事をしてこい」
アルバートの気遣うような言葉に対し、ブラッドは素っ気なく返す。
そのいつも通りの光景を懐かしむかのような顔をしていた騎士たちは、ブラッドの怒りが自分自身に向けられる前にそそくさと執務室から出ていった。
* * *
昼頃、ようやく重要な書類は片付いた。
……とりあえず、これでなんとなるだろう。
机の上にある書類のほとんどが適切な場所に片付けられ、ブラッドは安堵の息を零す。
……引退させられなくて助かったな。
侯爵家の援助がなければ、ブラッドはこの場所に戻ることは出来なかっただろう。
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