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第二話 『悪役令息の妹』の元婚約者に追われている
01-9.
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「大丈夫か?」
アルバートは心配そうにブラッドの背中を摩ろうとしたものの、振り払われた。
「おま、えの、せいだろうが」
息切れしながら言い返す。
ブラッドは涙目で睨みつけたものの、それは逆効果のようだった。
「かわいい」
アルバートは無意識だったのだろう。
涙目で顔を赤くしているブラッドに対し、思わず、本音を口にしていた。
……かわいい?
加虐趣味でもあるのだろうか。
泣き顔を見て興奮する趣味があるのだろうか。
思わず、頭の中を過ってしまった可能性を言葉にはしない。
アルバートの性欲の対象として、ブラッドが見られ続けていたことを嫌になるほど自覚させられたばかりである。
わざわざ、危険な性癖を持ち合わせていないか、確認にして墓穴を掘るような真似はしない。
「……うるさい」
ブラッドは口元に手を当てながら、ゆっくりと姿勢を正す。
「さっさと着替えろ。バカ」
倦怠感を堪えながら、ブラッドはベッドから足を降ろす。
「抱き上げようか?」
「うるせえわ。アルバートに持ち上げられるほど軽くねえから」
「いや。軽いだろ」
騎士団に所属をしている為、二人とも身体を鍛えている。
それでも、筋肉の付き方が違うのだろう。
背が高いアルバートは、細身のブラッドよりも体格が良く、力も強い。
「うるせえ。黙って着替えてろ」
それを知っているブラッドは舌打ちをした。
それからベッドから降りて、床に落ちたままになっているシャツを手にする。
「……新しいのを着てろよ」
拾ったのはアルバートのものだった。
昨夜、着ていた自分の服を探すものの、見当たらない。
いつまでも半裸でいるわけにはいかないと覚悟を決めたのだろう。
ブラッドはアルバートのシャツに腕を通し、さっさと寝室を出ていった。
アルバートは心配そうにブラッドの背中を摩ろうとしたものの、振り払われた。
「おま、えの、せいだろうが」
息切れしながら言い返す。
ブラッドは涙目で睨みつけたものの、それは逆効果のようだった。
「かわいい」
アルバートは無意識だったのだろう。
涙目で顔を赤くしているブラッドに対し、思わず、本音を口にしていた。
……かわいい?
加虐趣味でもあるのだろうか。
泣き顔を見て興奮する趣味があるのだろうか。
思わず、頭の中を過ってしまった可能性を言葉にはしない。
アルバートの性欲の対象として、ブラッドが見られ続けていたことを嫌になるほど自覚させられたばかりである。
わざわざ、危険な性癖を持ち合わせていないか、確認にして墓穴を掘るような真似はしない。
「……うるさい」
ブラッドは口元に手を当てながら、ゆっくりと姿勢を正す。
「さっさと着替えろ。バカ」
倦怠感を堪えながら、ブラッドはベッドから足を降ろす。
「抱き上げようか?」
「うるせえわ。アルバートに持ち上げられるほど軽くねえから」
「いや。軽いだろ」
騎士団に所属をしている為、二人とも身体を鍛えている。
それでも、筋肉の付き方が違うのだろう。
背が高いアルバートは、細身のブラッドよりも体格が良く、力も強い。
「うるせえ。黙って着替えてろ」
それを知っているブラッドは舌打ちをした。
それからベッドから降りて、床に落ちたままになっているシャツを手にする。
「……新しいのを着てろよ」
拾ったのはアルバートのものだった。
昨夜、着ていた自分の服を探すものの、見当たらない。
いつまでも半裸でいるわけにはいかないと覚悟を決めたのだろう。
ブラッドはアルバートのシャツに腕を通し、さっさと寝室を出ていった。
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