悪役令息は犬猿の仲の騎士団長に溺愛される。

佐倉海斗

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第二話 『悪役令息の妹』の元婚約者に追われている

01-1.両想いの二人は戯れる

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 ……何やってんだ。俺。

 昨夜のことを思い出しつつ、目を覚ましたブラッドは反射的に頭を抱えた。

 腰が痛い。挿入した直後までの記憶しかないのは、その後、意識が飛ぶまで激しい行為に及んだのだろう。

 ……初日でそこまでするか? 野生動物か? こいつは。

 強請ったのは自分自身だったことを棚に上げながら、隣で眠っているアルバートを見つめる。

 ……かっこいいな。

 寝顔を見たのは初めてだ。

 学生時代から知り合ってはいるものの、友情を築き上げてきたとは言えない間柄だった。現在も職場の同僚であり、上司ではあるものの、何かと言い争いばかりをしている。

「キスはしないのか?」

「起きてたのかよ」

「穴が開きそうなほどに見られていれば起きるだろ」

 アルバートと目が合った。

 それに対し、ブラッドは心底嫌そうな顔を浮かべて顔を背ける。ベッドから起き上がらないのは腰が痛くて動きたくない為である。

「……昨日、聞き損ねたことがある」

 アルバートに背を向け、ブラッドは気まずそうな声をあげる。

「本当に婚約する気かよ」

 声が枯れているのは寝起きだからなのか。

 昨夜、喘ぎ声を上げすぎたのか。

 それを考えないようにする為の話題だった。

「婚約?」

 アルバートは上半身を起こしながら、首を傾げた。

 ……知らなかったのか?

 ありえない。

 もしも、婚約の話を知らないまま、ブラッドに手を出したのならば正気ではない。互いに好意を寄せていたとはいえ、家を訪ねる間柄ではないのにもかかわらず、当然のようにベッドにいたとでも思っていたのだろうか。

 ……いや。違うな。なにか行き違いがある。

 ブラッドはそこまで考えて、己の考えを否定した。

 そこまで理性を失っているような相手ではないと信じたかったのだろう。
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