6 / 98
第一話 ブラッド・カザニアは恋をしている
02-3.※
しおりを挟む
……良い顔をしやがって。
一目惚れだった。
数年前、学院の入学式で知り合ってから淡い恋心を抱いていた。
……俺だって好きだって言いたいけど。いまさら、言えるかよ。
その恋心を必死になって隠し続けてきたのだ。
急に素直になれるわけがなかった。
「……そうか」
アルバートは引かなかった。
「告白の返事はいつでも構わない。ブラッドが言いたくなったら言えばいい」
振られるという考えはないのだろう。
アルバートはブラッドの両腕を拘束していた縄を外す。それでも、ブラッドの上から退こうとしない為、ブラッドが自由になることはなかった。
「愛している」
アルバートはゆっくりと顔を近づける。
それに対し、ブラッドは抵抗をするように目を閉じた。
……直視できないような顔をしやがって!!
自由になった腕で押し返そうとするものの、上手く、力が入らない。
「愛しているんだ。ブラッド」
迷うことなく重ねられた唇を拒めなかった。
触れるだけの口付けだ。宝物に触れるかのように優しい口付けに対し、ブラッドはため息を零しそうになる。
……子どもかよ。
何回も触れては離れるだけの口付けに対し、ブラッドは薄っすらと目を開けた。
視界に入るのはアルバートの青色の眼だった。
瞳の中に移りこんでいるのは可愛げのない自分自身の顔だ。
「自信がねえなら、俺からしてやろうか?」
ブラッドは両腕をアルバートの首に回す。
「子どもじゃねえんだ。触れるだけで満足かよ」
煽るように舌を出して見せれば、アルバートの表情が変わった。
その変化を指摘する間もなく、唇が重なり合う。
口内を掻き回すかのような激しいものだ。
それに応えるようにブラッドも舌を絡める。唾液を混ぜるかのように激しく絡み合う口付けはすぐには終わらず、互いの息が乱れていることも気づいていないかのようだった。
ブラッドの口角から唾液が零れ落ちる。
一目惚れだった。
数年前、学院の入学式で知り合ってから淡い恋心を抱いていた。
……俺だって好きだって言いたいけど。いまさら、言えるかよ。
その恋心を必死になって隠し続けてきたのだ。
急に素直になれるわけがなかった。
「……そうか」
アルバートは引かなかった。
「告白の返事はいつでも構わない。ブラッドが言いたくなったら言えばいい」
振られるという考えはないのだろう。
アルバートはブラッドの両腕を拘束していた縄を外す。それでも、ブラッドの上から退こうとしない為、ブラッドが自由になることはなかった。
「愛している」
アルバートはゆっくりと顔を近づける。
それに対し、ブラッドは抵抗をするように目を閉じた。
……直視できないような顔をしやがって!!
自由になった腕で押し返そうとするものの、上手く、力が入らない。
「愛しているんだ。ブラッド」
迷うことなく重ねられた唇を拒めなかった。
触れるだけの口付けだ。宝物に触れるかのように優しい口付けに対し、ブラッドはため息を零しそうになる。
……子どもかよ。
何回も触れては離れるだけの口付けに対し、ブラッドは薄っすらと目を開けた。
視界に入るのはアルバートの青色の眼だった。
瞳の中に移りこんでいるのは可愛げのない自分自身の顔だ。
「自信がねえなら、俺からしてやろうか?」
ブラッドは両腕をアルバートの首に回す。
「子どもじゃねえんだ。触れるだけで満足かよ」
煽るように舌を出して見せれば、アルバートの表情が変わった。
その変化を指摘する間もなく、唇が重なり合う。
口内を掻き回すかのような激しいものだ。
それに応えるようにブラッドも舌を絡める。唾液を混ぜるかのように激しく絡み合う口付けはすぐには終わらず、互いの息が乱れていることも気づいていないかのようだった。
ブラッドの口角から唾液が零れ落ちる。
153
お気に入りに追加
755
あなたにおすすめの小説

平民男子と騎士団長の行く末
きわ
BL
平民のエリオットは貴族で騎士団長でもあるジェラルドと体だけの関係を持っていた。
ある日ジェラルドの見合い話を聞き、彼のためにも離れたほうがいいと決意する。
好きだという気持ちを隠したまま。
過去の出来事から貴族などの権力者が実は嫌いなエリオットと、エリオットのことが好きすぎて表からでは分からないように手を回す隠れ執着ジェラルドのお話です。
第十一回BL大賞参加作品です。

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…
月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた…
転生したと気づいてそう思った。
今世は周りの人も優しく友達もできた。
それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。
前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。
前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。
しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。
俺はこの幸せをなくならせたくない。
そう思っていた…

兄たちが弟を可愛がりすぎです
クロユキ
BL
俺が風邪で寝ていた目が覚めたら異世界!?
メイド、王子って、俺も王子!?
おっと、俺の自己紹介忘れてた!俺の、名前は坂田春人高校二年、別世界にウィル王子の身体に入っていたんだ!兄王子に振り回されて、俺大丈夫か?!
涙脆く可愛い系に弱い春人の兄王子達に振り回され護衛騎士に迫って慌てていっもハラハラドキドキたまにはバカな事を言ったりとしている主人公春人の話を楽しんでくれたら嬉しいです。
1日の話しが長い物語です。
誤字脱字には気をつけてはいますが、余り気にしないよ~と言う方がいましたら嬉しいです。

美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました
SEKISUI
BL
ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた
見た目は勝ち組
中身は社畜
斜めな思考の持ち主
なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う
そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される
何も知らない人間兄は、竜弟の執愛に気付かない
てんつぶ
BL
連峰の最も高い山の上、竜人ばかりの住む村。
その村の長である家で長男として育てられたノアだったが、肌の色や顔立ちも、体つきまで周囲とはまるで違い、華奢で儚げだ。自分はひょっとして拾われた子なのではないかと悩んでいたが、それを口に出すことすら躊躇っていた。
弟のコネハはノアを村の長にするべく奮闘しているが、ノアは竜体にもなれないし、人を癒す力しかもっていない。ひ弱な自分はその器ではないというのに、日々プレッシャーだけが重くのしかかる。
むしろ身体も大きく力も強く、雄々しく美しい弟ならば何の問題もなく長になれる。長男である自分さえいなければ……そんな感情が膨らみながらも、村から出たことのないノアは今日も一人山の麓を眺めていた。
だがある日、両親の会話を聞き、ノアは竜人ですらなく人間だった事を知ってしまう。人間の自分が長になれる訳もなく、またなって良いはずもない。周囲の竜人に人間だとバレてしまっては、家族の立場が悪くなる――そう自分に言い訳をして、ノアは村をこっそり飛び出して、人間の国へと旅立った。探さないでください、そう書置きをした、はずなのに。
人間嫌いの弟が、まさか自分を追って人間の国へ来てしまい――
平凡な俺が双子美形御曹司に溺愛されてます
ふくやまぴーす
BL
旧題:平凡な俺が双子美形御曹司に溺愛されてます〜利害一致の契約結婚じゃなかったの?〜
名前も見た目もザ・平凡な19歳佐藤翔はある日突然初対面の美形双子御曹司に「自分たちを助けると思って結婚して欲しい」と頼まれる。
愛のない形だけの結婚だと高を括ってOKしたら思ってたのと違う展開に…
「二人は別に俺のこと好きじゃないですよねっ?なんでいきなりこんなこと……!」
美形双子御曹司×健気、お人好し、ちょっぴり貧乏な愛され主人公のラブコメBLです。
🐶2024.2.15 アンダルシュノベルズ様より書籍発売🐶
応援していただいたみなさまのおかげです。
本当にありがとうございました!

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる