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第一話 転生悪役令嬢は男装の騎士となる
08-4.
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「ですが、困りましたわね」
アデラインは自身の頬に手を当てる。
目撃情報が出回ってしまったのはしかたがない。隠そうともしなかったのだから、なにかしらの噂は広まるものである。
「困るのか?」
「ええ。セシリアからお茶会のお誘いが止まらなくなりますわ。ディーンのことですから、セシリアには討伐任務のことを伝えてしまうでしょう? そうすれば、社交界でも一気に広まりますわよ」
「……オルコット夫妻とは仲が良いのだったか」
メルヴィンは盲点だったと言わんばかりの顔をした。
ディーン・オルコットは第二騎士団に所属をしているアデラインの同期である。同じ侯爵家という立場から幼い頃から親しくしており、アデラインの男装がばれないように内密に協力をしている人物でもある。
ディーンの助けがなければ、アデラインの正体はすぐにばれていただろう。
「ええ。幼い頃から一緒ですもの」
アデラインの交友関係は広い。
しかし、幼少期まで遡れば友人の数はたかが知れている。
侯爵家の令嬢という身分に釣り合う同年代の子どもは少なかった。その幼少時代を共にした数少ない友人たちが、ディーンとその妻、セシリアだった。
「次代の侯爵家は仲が良いとは聞いたことがあったが。他の連中とも付き合いがあるのか?」
メルヴィンは噂話程度に聞いていた内容を思い出す。
王都を中心として東西南北に領地を与えられている侯爵家たちは仲が悪い。同じ立場だからこそ、互いを牽制し合っていた。
それは先代までの話だ。
互いに歩み寄る為、今代の侯爵たちは子息子女たちを幼少期から交流させ、全員を王立魔法学院に通わせた。その結果、アデラインたちは過去のしがらみにとらわれることもなく、良好な友人関係を保っている。
「もちろんですわ。団結力では私たちの代が一番でしょうね」
アデラインはメルヴィンの言葉の意図を理解しつつ、当然のように返事をした。
……嫉妬かしら。
メルヴィンが同年代の男性の友人に対する嫉妬心を抱いていることを見抜いていた。大公家は独立性を保つ為、最低限の交流しかしないことが多かった。社交界を好む大公夫人が嫁いでくるまでは閉鎖的な環境だったのは有名な話だ。
アデラインは自身の頬に手を当てる。
目撃情報が出回ってしまったのはしかたがない。隠そうともしなかったのだから、なにかしらの噂は広まるものである。
「困るのか?」
「ええ。セシリアからお茶会のお誘いが止まらなくなりますわ。ディーンのことですから、セシリアには討伐任務のことを伝えてしまうでしょう? そうすれば、社交界でも一気に広まりますわよ」
「……オルコット夫妻とは仲が良いのだったか」
メルヴィンは盲点だったと言わんばかりの顔をした。
ディーン・オルコットは第二騎士団に所属をしているアデラインの同期である。同じ侯爵家という立場から幼い頃から親しくしており、アデラインの男装がばれないように内密に協力をしている人物でもある。
ディーンの助けがなければ、アデラインの正体はすぐにばれていただろう。
「ええ。幼い頃から一緒ですもの」
アデラインの交友関係は広い。
しかし、幼少期まで遡れば友人の数はたかが知れている。
侯爵家の令嬢という身分に釣り合う同年代の子どもは少なかった。その幼少時代を共にした数少ない友人たちが、ディーンとその妻、セシリアだった。
「次代の侯爵家は仲が良いとは聞いたことがあったが。他の連中とも付き合いがあるのか?」
メルヴィンは噂話程度に聞いていた内容を思い出す。
王都を中心として東西南北に領地を与えられている侯爵家たちは仲が悪い。同じ立場だからこそ、互いを牽制し合っていた。
それは先代までの話だ。
互いに歩み寄る為、今代の侯爵たちは子息子女たちを幼少期から交流させ、全員を王立魔法学院に通わせた。その結果、アデラインたちは過去のしがらみにとらわれることもなく、良好な友人関係を保っている。
「もちろんですわ。団結力では私たちの代が一番でしょうね」
アデラインはメルヴィンの言葉の意図を理解しつつ、当然のように返事をした。
……嫉妬かしら。
メルヴィンが同年代の男性の友人に対する嫉妬心を抱いていることを見抜いていた。大公家は独立性を保つ為、最低限の交流しかしないことが多かった。社交界を好む大公夫人が嫁いでくるまでは閉鎖的な環境だったのは有名な話だ。
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