男装の悪役令嬢は、女嫌いで有名な騎士団長から執着されて逃げられない

第一話 転生悪役令嬢は男装の騎士となる

０６－３１．※

　……おかしくなりそうですわ。

　メルヴィンの熱意に押され、同意をしたものの、本音はすぐにでも逃げ出してしまいたかった。

　好きな人に触られたくないわけではなかった。しかし、相手に嫌われているだろうと思い続けていた日々がメルヴィンの行為を拒絶しようとする。

　一時的な好意ではないのか。

　欲を満たせば、また見向きもしなくなるのではないのか。

　アデラインの心を支配する不安を揉み解くように、メルヴィンはアデラインの胸を刺激していた。

「……焦らさないでくださいませ」

　アデラインは喘ぎ声を堪えながら、涙目で訴えた。

　布越しに乳首を刺激されているだけなのにもかかわらず、達してしまいそうな快感を与えられているとメルヴィンに気づかれたくはなかった。

「……アデライン」

　メルヴィンは困ったような声を出す。

「君は無意識に俺を煽るのを止めるべきだな」

　メルヴィンはアデラインの背中に腕を回した。

　下着を固定している留め具を器用に外し、胸の半分以上を隠していた下着を床に投げる。乱暴に下着を扱われているのにもかかわらず、アデラインは文句の一つも言わなかった。

「煽っていませんわ」

　アデラインは否定する。

　手で胸を隠そうとするのを邪魔され、少しだけ不服そうな顔をしてみせたものの、メルヴィンは動じることはなかった。

「ひゃぁっ」

　アデラインの喘ぎ声があがる。

　敏感になっている胸を直接触られているだけで達してしまいそうになる。絶頂してしまいそうになるのを堪えつつ、アデラインはメルヴィンから目を離せなかった。

「いつまでも触っていられるな」

「そ、んなに触らないでくださいませっ」

　アデラインは反射的に声をあげる。

　ずっと胸を触られていると絶頂を我慢できなくなる。それを悟らせるのは、淑女として、はしたない行為だと思っていた。

　だからこそ、アデラインは喘ぎ声を必死に堪えようとしていた。