42 / 121
第一話 転生悪役令嬢は男装の騎士となる
05-6.
しおりを挟む
「初めて見ましたわ」
アデラインは素直に感想を述べた。
……すぐに何着か、確保をしておくべきかしら。
デザイナーは侯爵家で依頼しているところだろうか。
しかし、メイドたちの様子がおかしい。まるで、エステルが手にしているドレスの存在を知らなかったかのようだ。
「そうでしょう! あたしがデザインをした最新のドレスです! お姉さまが着れば大流行間違いないですよ!」
エステルはドレスを傍にいたメイドに渡す。
渡されたメイドは大慌てで、そのドレスをアデラインの元に運んできた。
「まあ。多才な子ですわね」
アデラインはエステルの奇行に驚かない。
どうしようもなく、頭を抱えさせられる言動も多いのだが、エステルは才能の塊でもあった。想定外なところで活躍をしていたことが後々知れ渡り、両親が大慌てでエステルを取り押さえたことも少なくはない。
「えへへ。ドレスは作れないのでデザインだけ書いてお願いしたんです。あっ! 今回はお母さまに許可をとりましたよ!」
エステルの言葉を聞き、アデラインはわかっていると言わんばかりに頷いた。
……デザイナーを呼んでほしかっただけでしょうね。
専属のデザイナーをエステルが侯爵家に招くことはできない。
ただでさえ、好き勝手に動き回るのだ。なにかと制限をつけておかなければ、なにをされるのか、わかったものではない。
「本当はお姉さまの誕生日にプレゼントをしようと思っていたんですけど。お姉さま、誕生日はお仕事でしょう? だから、今日、渡しますね」
「ありがとう。エステル。とても素敵な贈り物だわ」
「喜んでくれてよかったです。……あたし、やることを思い出したので、もう行きますね!」
エステルはなにか思い出したのだろうか。
大慌てで衣装室を飛び出していった。
……ろくなことではないわね。
アデラインはエステルの奇行を知っている。
だからこそ、予定を思い出したというのは嘘であり、とんでもない企みを思いついたのだろうと察した。
「マリアに監視をさせなさい。なにをするか、わからないわ」
アデラインの指示を受け、メイドの一人が動いた。
エステルの専属メイドの一人であるマリアに伝えに行ったのだろう。
アデラインは素直に感想を述べた。
……すぐに何着か、確保をしておくべきかしら。
デザイナーは侯爵家で依頼しているところだろうか。
しかし、メイドたちの様子がおかしい。まるで、エステルが手にしているドレスの存在を知らなかったかのようだ。
「そうでしょう! あたしがデザインをした最新のドレスです! お姉さまが着れば大流行間違いないですよ!」
エステルはドレスを傍にいたメイドに渡す。
渡されたメイドは大慌てで、そのドレスをアデラインの元に運んできた。
「まあ。多才な子ですわね」
アデラインはエステルの奇行に驚かない。
どうしようもなく、頭を抱えさせられる言動も多いのだが、エステルは才能の塊でもあった。想定外なところで活躍をしていたことが後々知れ渡り、両親が大慌てでエステルを取り押さえたことも少なくはない。
「えへへ。ドレスは作れないのでデザインだけ書いてお願いしたんです。あっ! 今回はお母さまに許可をとりましたよ!」
エステルの言葉を聞き、アデラインはわかっていると言わんばかりに頷いた。
……デザイナーを呼んでほしかっただけでしょうね。
専属のデザイナーをエステルが侯爵家に招くことはできない。
ただでさえ、好き勝手に動き回るのだ。なにかと制限をつけておかなければ、なにをされるのか、わかったものではない。
「本当はお姉さまの誕生日にプレゼントをしようと思っていたんですけど。お姉さま、誕生日はお仕事でしょう? だから、今日、渡しますね」
「ありがとう。エステル。とても素敵な贈り物だわ」
「喜んでくれてよかったです。……あたし、やることを思い出したので、もう行きますね!」
エステルはなにか思い出したのだろうか。
大慌てで衣装室を飛び出していった。
……ろくなことではないわね。
アデラインはエステルの奇行を知っている。
だからこそ、予定を思い出したというのは嘘であり、とんでもない企みを思いついたのだろうと察した。
「マリアに監視をさせなさい。なにをするか、わからないわ」
アデラインの指示を受け、メイドの一人が動いた。
エステルの専属メイドの一人であるマリアに伝えに行ったのだろう。
1
お気に入りに追加
144
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

次期騎士団長の秘密を知ってしまったら、迫られ捕まってしまいました
Karamimi
恋愛
侯爵令嬢で貴族学院2年のルミナスは、元騎士団長だった父親を8歳の時に魔物討伐で亡くした。一家の大黒柱だった父を亡くしたことで、次期騎士団長と期待されていた兄は騎士団を辞め、12歳という若さで侯爵を継いだ。
そんな兄を支えていたルミナスは、ある日貴族学院3年、公爵令息カルロスの意外な姿を見てしまった。学院卒院後は騎士団長になる事も決まっているうえ、容姿端麗で勉学、武術も優れているまさに完璧公爵令息の彼とはあまりにも違う姿に、笑いが止まらない。
お兄様の夢だった騎士団長の座を奪ったと、一方的にカルロスを嫌っていたルミナスだが、さすがにこの秘密は墓場まで持って行こう。そう決めていたのだが、翌日カルロスに捕まり、鼻息荒く迫って来る姿にドン引きのルミナス。
挙句の果てに“ルミタン”だなんて呼ぶ始末。もうあの男に関わるのはやめよう、そう思っていたのに…
意地っ張りで素直になれない令嬢、ルミナスと、ちょっと気持ち悪いがルミナスを誰よりも愛している次期騎士団長、カルロスが幸せになるまでのお話しです。
よろしくお願いしますm(__)m

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる