18 / 20
最終章 えんどろーる
しおりを挟む馬車に乗ってゆらゆらと帰途に就く私たち。
隣に乗ってるナツの顔がなんだか浮かない。
頭に手を当ててるし。
なんだか顔も青い。
「ねえ、だいじょうぶなの?」
「ああ、気にするな。ただのお見合いの振り替えだ。」
ああ……という感じのうめき声。
「そんなことより、帰んなくていいのか?」
「?帰るって何が?」
「姉ちゃんがこれ落ちてたってさ?」
そういってナツは見覚えのある古びた本を渡してきた。
「お姉さん?」
「ああ、言ってなかったか。姉ちゃん、王族やめて宿やってるんだ。王都で。」
「えっ、ってことは?」
「忘れ物みたいだな、ちいさな勇者様。」
ぶおおおおん。
「ちょっと春っ。春ってば」
グラグラと揺れる体。
聞こえてくるエンジンの音、泉美の声。
「もうやっと起きた。ちょっと春ったらまだ寝たりないの?もうすぐ着くわよ。」
目の前には泉美の顔。
窓に映るのはいつもの景色。
あれ?
「えっ着くって?どこへ?」
「もう冗談はいいから。ほら次降りるよ。」
「次は…次は…。」
「お降りの方は停車ボタンを押してお知らせください。」
「We will soon be ariving at …。」
聞こえてくるバスのアナウンス。
「もうほら、いくよっ。」
「ちょっ、そんなひっぱったら。」
ふわっと体が浮いて体が床へと落ちていく。
しかし、その手がじめんにふれることはなかった。
なぜなら…。
「お客様、忘れ物ですよ。」
おわり
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
獣人の里の仕置き小屋
真木
恋愛
ある狼獣人の里には、仕置き小屋というところがある。
獣人は愛情深く、その執着ゆえに伴侶が逃げ出すとき、獣人の夫が伴侶に仕置きをするところだ。
今夜もまた一人、里から出ようとして仕置き小屋に連れられてきた少女がいた。
仕置き小屋にあるものを見て、彼女は……。
王太子の子を孕まされてました
杏仁豆腐
恋愛
遊び人の王太子に無理やり犯され『私の子を孕んでくれ』と言われ……。しかし王太子には既に婚約者が……侍女だった私がその後執拗な虐めを受けるので、仕返しをしたいと思っています。
※不定期更新予定です。一話完結型です。苛め、暴力表現、性描写の表現がありますのでR指定しました。宜しくお願い致します。ノリノリの場合は大量更新したいなと思っております。
私が美女??美醜逆転世界に転移した私
鍋
恋愛
私の名前は如月美夕。
27才入浴剤のメーカーの商品開発室に勤める会社員。
私は都内で独り暮らし。
風邪を拗らせ自宅で寝ていたら異世界転移したらしい。
転移した世界は美醜逆転??
こんな地味な丸顔が絶世の美女。
私の好みど真ん中のイケメンが、醜男らしい。
このお話は転生した女性が優秀な宰相補佐官(醜男/イケメン)に囲い込まれるお話です。
※ゆるゆるな設定です
※ご都合主義
※感想欄はほとんど公開してます。
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
あなたの嫉妬なんて知らない
abang
恋愛
「あなたが尻軽だとは知らなかったな」
「あ、そう。誰を信じるかは自由よ。じゃあ、終わりって事でいいのね」
「は……終わりだなんて、」
「こんな所にいらしたのね!お二人とも……皆探していましたよ……
"今日の主役が二人も抜けては"」
婚約パーティーの夜だった。
愛おしい恋人に「尻軽」だと身に覚えのない事で罵られたのは。
長年の恋人の言葉よりもあざとい秘書官の言葉を信頼する近頃の彼にどれほど傷ついただろう。
「はー、もういいわ」
皇帝という立場の恋人は、仕事仲間である優秀な秘書官を信頼していた。
彼女の言葉を信じて私に婚約パーティーの日に「尻軽」だと言った彼。
「公女様は、退屈な方ですね」そういって耳元で嘲笑った秘書官。
だから私は悪女になった。
「しつこいわね、見て分かんないの?貴方とは終わったの」
洗練された公女の所作に、恵まれた女性の魅力に、高貴な家門の名に、男女問わず皆が魅了される。
「貴女は、俺の婚約者だろう!」
「これを見ても?貴方の言ったとおり"尻軽"に振る舞ったのだけど、思いの他皆にモテているの。感謝するわ」
「ダリア!いい加減に……」
嫉妬に燃える皇帝はダリアの新しい恋を次々と邪魔して……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる