6 / 20
第二章 それは不思議な世界への入口3
しおりを挟むパカッパカッパカッ
とある街の酒場の扉を大きく開け、甲冑姿の騎士が店に入る。
騎士は馬をいなすと器用に店の入口で回転させ、スピードを落とす。
「殿下を見かけなかったか?」
騎士は垂れ下がった髪を後ろでひとつにまとめるといった。
「殿下あ?見てねぇな。そんな高貴なご身分の方がこんなさびれた酒場に来るわけないだろうよっ。」
「そうだ。そうだ。」
ビールを片手に酒臭い男たちが叫びあう。
たまにビールの泡が飛んでばっちい。
「隊長っ!」
扉を開けて駆け込んだ騎士はごにょごにょごにょっと隊長と呼ばれた方の騎士に耳打ちする。
「何。すぐに城にもどる。お前たちは先にもどっていろ。」
「はっ。」
「私は殿下をもう少し探してみる。」
「まったく殿下は…。」
隊長と呼ばれた騎士は額に手を当て、ブンブンと頭をふるとたずなを引いた。
「う~んとこっちが上なのかな?それともこっちが上?」
私はさっき助けてくれた人に渡された地図をぐるぐると回す。
宿屋の場所を赤いペンで〇してくれてあるけど、目印になる町の建物がどこにあるのか?
う~ん。わかりません。
そうこうしてると、通りの奥の方に宿屋らしきものが見えてきた。
三角屋根の小さな宿屋。
多分地図の絵といっしょだから、多分あってる。
石と木で作られた建物に、ベランダにはきれいな花壇。
「すみませーん。」
「あの~。」
返事がないので、ノックしてからドアをそっと開ける私。
そっと中を進んでいくと階段の下に作られた小さなカウンターとこじんまりとしたキャビネット。
横には小さくてこじんまりとしたシックな扉もついている。
しばらくするとカチッと音がして、横の扉が開いて茶色いエプロン姿の女の人が出てきた。
オーナーさんかな。
オーナーさんは扉から出てくると、帳簿に目を通す。
「あっ、ごめんなさい、つい、うとうとしちゃって。今日は泊り?それともお食事?」
「はい、泊まりの方です。」
「宿ね。わかった。お部屋は一銀貨の部屋と一銅貨の部屋があるけどどうする?」
私は助けてくれた人が渡してくれたカードを見せる。
端っこにはとりあえずみせとけのメモ。
「依頼状じゃない。それなら御代はいらないわ。今回は特別に東の特別室使わせてあげる。」
そういうとオーナーさんはカウンターの引き出しをガサゴソすると鍵を取り出す。
「はいっこれ、鍵。二階の角部屋よ。あと朝食は7時きっかり。チェックアウトするときは私に行ってちょうだい。というか、わたししかいないんだけど。何か困ったことがあったら私に聞いてね~。」
古びた、趣のある階段を進み部屋へ向かう私。
「あの人、貴族か何かだったのかな。」
☆☆☆
「それにしても貴族の依頼状だなんて。何年ぶりかしら。」
旅人のいなくなったロビーでひとりつぶやく、女の人。
カードを見つめ、つぶやいた。
「あの子、元気にしているかしら。」
一瞬、目を下におろすと、パンパンと頬を叩き、袖をまくる。
「さ、仕事、仕事。」
ガチャ。
渡された鍵で扉を開けるとそこは大きな部屋だった。
ベッドはひとつなのになぜか木目調のシックな洗面所が二つに、猫の足のついたお風呂、猫足のバスタブってやつかな?まである。
部屋の雰囲気は宿と同じでちょっとおしゃれなヨーロッパ風ってかんじだね。
窓を開けるとベランダがあるし、外からも見えた花とかもあるし。
「そういえば、図書館案内するって言っていたけど、いつ行くんだろ?ふぁあ、でも今日は疲れちゃったし、ちょっと寝ちゃってからでもいいよね。」
私は大きくあくびをすると夢の世界へと落ちていった。
☆今日の投稿はこれで最後のはずっ(>_<)、あっ、ほかのサイトの更新もしなきゃ…。イラストも描かなきゃ…。( ̄ー ̄)
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
【ヤンデレ鬼ごっこ実況中】
階段
恋愛
ヤンデレ彼氏の鬼ごっこしながら、
屋敷(監禁場所)から脱出しようとする話
_________________________________
【登場人物】
・アオイ
昨日初彼氏ができた。
初デートの後、そのまま監禁される。
面食い。
・ヒナタ
アオイの彼氏。
お金持ちでイケメン。
アオイを自身の屋敷に監禁する。
・カイト
泥棒。
ヒナタの屋敷に盗みに入るが脱出できなくなる。
アオイに協力する。
_________________________________
【あらすじ】
彼氏との初デートを楽しんだアオイ。
彼氏に家まで送ってもらっていると急に眠気に襲われる。
目覚めると知らないベッドに横たわっており、手足を縛られていた。
色々あってヒタナに監禁された事を知り、隙を見て拘束を解いて部屋の外へ出ることに成功する。
だがそこは人里離れた大きな屋敷の最上階だった。
ヒタナから逃げ切るためには、まずこの屋敷から脱出しなければならない。
果たしてアオイはヤンデレから逃げ切ることができるのか!?
_________________________________
7話くらいで終わらせます。
短いです。
途中でR15くらいになるかもしれませんがわからないです。
どうやら断罪対象はわたくしのようです 〜わたくしを下級貴族と勘違いされているようですが、お覚悟はよろしくて?〜
水都 ミナト
恋愛
「ヴァネッサ・ユータカリア! お前をこの学園から追放する! そして数々の罪を償うため、牢に入ってもらう!」
わたくしが通うヒンスリー王国の王立学園の創立パーティにて、第一王子のオーマン様が高らかに宣言されました。
ヴァネッサとは、どうやらわたくしのことのようです。
なんということでしょう。
このおバカな王子様はわたくしが誰なのかご存知ないのですね。
せっかくなので何の証拠も確証もない彼のお話を聞いてみようと思います。
◇8000字程度の短編です
◇小説家になろうでも公開予定です
獣人の里の仕置き小屋
真木
恋愛
ある狼獣人の里には、仕置き小屋というところがある。
獣人は愛情深く、その執着ゆえに伴侶が逃げ出すとき、獣人の夫が伴侶に仕置きをするところだ。
今夜もまた一人、里から出ようとして仕置き小屋に連れられてきた少女がいた。
仕置き小屋にあるものを見て、彼女は……。
私が美女??美醜逆転世界に転移した私
鍋
恋愛
私の名前は如月美夕。
27才入浴剤のメーカーの商品開発室に勤める会社員。
私は都内で独り暮らし。
風邪を拗らせ自宅で寝ていたら異世界転移したらしい。
転移した世界は美醜逆転??
こんな地味な丸顔が絶世の美女。
私の好みど真ん中のイケメンが、醜男らしい。
このお話は転生した女性が優秀な宰相補佐官(醜男/イケメン)に囲い込まれるお話です。
※ゆるゆるな設定です
※ご都合主義
※感想欄はほとんど公開してます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる