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プラネタリウムは密室(仮)ですか?
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両手に花でプラネタリウムへと入ると、すかさず尼寺は家名を連れだって内側から三ヵ所の出入り口を確認する。右手側の入口、操作卓後ろの裏口、左手側の出口。その他抜け穴がないか念入りに調べているようだ。
俺は投映の準備を始める。この館のプラネタリウムは前半に今夜の星空案内、後半に全天周映像番組というスタイルである。投影機も二種類あり前半はプラネタリウムの本体である光学式投影機を使用し、後半は全天周対応のデジタル式投映機を用いる。
準備でまず最初にするのはデジタル投映機への番組のロード。番組投映は全てコンピューターが行ってくれるので一度ロードしておけば開始はボタン一つですることができる。あとは星空解説で使用するプログラムも確認しておく。
そして光学式投影機の、今夜の星空の確認を行う。しっかり星像が映っているか、日付時間は間違っていないか等を確認する。そして星空を見ながら解説の内容を考える。午前中に一度解説はしたので基本的な内容は同じでいいだろう。ただ前回の番組『惑星が奏でる交響曲』に比べ『星空探偵の大冒険』は投映時間が短いので解説を長くする必要がある。あとは観覧する客層を見てからアレンジすればいい。
ヘッドマイクを装着ししばし熟考する。
頭がよく回っているのを感じる。
星空を自由に操作できる全能感も。
この星空の下では全てがの思うがまま。なんて。
ここまで準備したところで次はアテンダントと発声練習。アテンダントは投映前に注意事項と説明する仕事がある。新人アテンダントなので少し長めに時間を取ろう。滑舌、喉の調子を整える。二人とも声がよく出ている。流石の家名も仕事中は本性を引っ込めているようだ。
「先輩方、どちらも仕事中は真面目なのですね」
と尼寺談。ってどういう意味だコラ。
「ああ、そうだ。一応前回の再現をしてみよう。観覧券の回収とMCを尼寺、君に頼みたい。アーユーオーケー?」
「私は大丈夫です。お任せください。でも家名先輩のお仕事が――」
ちらりと家名を見る。
「任せたぜ後輩!俺っちはサポートに回るとするぜ」
何キャラだよ。だが緩んだのは束の間。仕事モードに切り替わる。
「じゃあ尼寺はできるだけ前回の行動をなぞっていってくれ。家名はお目付け役だ」
現場検証――もとい投映の準備はオッケー。投映開始10分前。俺は操作卓の内側から尼寺と家名に目配せし入口の前に待機させる。
「さあ開けよう夜の帷を。招き入れよう今宵の客を」
いつもとキャラ違くないですか、と家名の声を無視して私は扉を開けた。
俺は投映の準備を始める。この館のプラネタリウムは前半に今夜の星空案内、後半に全天周映像番組というスタイルである。投影機も二種類あり前半はプラネタリウムの本体である光学式投影機を使用し、後半は全天周対応のデジタル式投映機を用いる。
準備でまず最初にするのはデジタル投映機への番組のロード。番組投映は全てコンピューターが行ってくれるので一度ロードしておけば開始はボタン一つですることができる。あとは星空解説で使用するプログラムも確認しておく。
そして光学式投影機の、今夜の星空の確認を行う。しっかり星像が映っているか、日付時間は間違っていないか等を確認する。そして星空を見ながら解説の内容を考える。午前中に一度解説はしたので基本的な内容は同じでいいだろう。ただ前回の番組『惑星が奏でる交響曲』に比べ『星空探偵の大冒険』は投映時間が短いので解説を長くする必要がある。あとは観覧する客層を見てからアレンジすればいい。
ヘッドマイクを装着ししばし熟考する。
頭がよく回っているのを感じる。
星空を自由に操作できる全能感も。
この星空の下では全てがの思うがまま。なんて。
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「先輩方、どちらも仕事中は真面目なのですね」
と尼寺談。ってどういう意味だコラ。
「ああ、そうだ。一応前回の再現をしてみよう。観覧券の回収とMCを尼寺、君に頼みたい。アーユーオーケー?」
「私は大丈夫です。お任せください。でも家名先輩のお仕事が――」
ちらりと家名を見る。
「任せたぜ後輩!俺っちはサポートに回るとするぜ」
何キャラだよ。だが緩んだのは束の間。仕事モードに切り替わる。
「じゃあ尼寺はできるだけ前回の行動をなぞっていってくれ。家名はお目付け役だ」
現場検証――もとい投映の準備はオッケー。投映開始10分前。俺は操作卓の内側から尼寺と家名に目配せし入口の前に待機させる。
「さあ開けよう夜の帷を。招き入れよう今宵の客を」
いつもとキャラ違くないですか、と家名の声を無視して私は扉を開けた。
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