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女体化編

第38話 自由な世界

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 退屈な授業でぼんやり窓の外を見ていた泰子はドローンが飛んでくるのを目撃した。
 この学園に届く物資は朝の無人運転トラックがメインで、ドローンは個人が通販を利用したときなどによく来る。
 誰かが何かを買ったのだろう。
 ネット通販が発達した現代では、女体化ウイルスのせいで隔離されたからと言っても欲しいものは簡単に手に入るのでそんなに困ることはなかった。

 休憩時間にスマホを見ていた泰子が声を上げた。

「あー、的矢まとや泥春でいしゅん先生のサイン会がある! しかも、ここから比較的近いところ」
「誰だい? 的矢泥春って?」
「知らないのか! 有名な小説家だよ。いーなー、サイン欲しいなぁ」
「そんなに欲しいなら学園を抜け出しちゃおうぜ! 俺も付き合うぜ」
「だめだよ、そんなの。女体化ウイルスをばら撒いちゃうことになっちゃうよ」
「硬い奴だなぁ」
「あー、いーなー、欲しいなー」

 いくらネット通販が発達したからといっても、実際に外に行かなければ手に入らないものもある。
 泰子は学園に隔離されているということを痛感させられた。

 やりたいことがあるのに閉じ込められて思うようにできない。
 そんな悶々とした気持ちのまま授業を受けたが、全然気持ちが収まらない。
 気分を晴らすために、休憩時間にトイレに行ったときにコッソリとオナニーをした。
 声を漏らさないように中指でクリトリスを刺激する。

「……っ!」

 頭の中が真っ白になるほどの快楽で、嫌な気分が吹き飛んだ。
 トロトロに溢れたおつゆをトイレットペーパーで拭き取り気分一新。
 個室から出ると先に済ませた和子が待っていた。

「いつもより時間が掛かってたぞ」
「えと……ちょっとお腹の調子が悪くて」
「ふーん。……そういうことにしとこうか」

 その晩、和子が泰子の部屋へ遊びにきた。
 話をしたりゲームをしたりして過ごしたあと、和子が切り出した。

「私生活指導で女の子同士のエッチの仕方って習った?」
「ちょ、ちょっと待ってよ。それって……」
「いいじゃんかよー、俺たち一度はエッチした仲だぜ」
「えっ、ちょっと心の準備が……」

 言い終わる前に唇を奪われた泰子。
 和子の舌が口を割って入ってくる。
 舌と舌が触れ合うとカッーっと頭が熱くなってきた。
 ネチネチと絡み合う粘膜。
 ジュクッ……。
 股間が濡れたことを自覚した泰子。
 泰子の体もまた和子を求めていたのだ。
 ベッドへ行き服を脱がされる。
 ふくよかな胸の女の子と、小ぶりな胸の女の子。
 二人の女の子が体を重ねてキスをする。
 泰子の唇に触れていた和子の唇は、泰子の大きな胸の乳首へと活動の場を移した。
 舌先でコロコロと弄ばされる乳首。
 唇が離れたオッパイには今度は和子の両手が触れた。
 柔らかく揉みあげられる二つの山。
 男のときは揉まれても気持ちよさは感じなかったであろう胸が、女の場合は気持ちいい。
 揉みくちゃにされるたびに股間が一層濡れるのを感じた。
 和子が泰子の股間に手を伸ばし、大陰唇の間に中指を沿わせて陰核の方へと引き上げた。

「ひゃうっ!」

 ヌルヌルとした刺激が泰子を襲う。

「もう準備OKかな」

 和子は泰子をベッドに寝かせたまま持ってきたカバンから何かの道具を取り出し、腰に巻き始めた。
 再びベッドに戻ってきた和子は股間がビンビンになっていた。
 女体化してオチンチンがなくなったはずの和子に男性自身が存在する。
 そのオチンチンに泰子は見覚えがあった。
 少し左に曲がった陰茎。
 三角形の亀頭。
 剥けてはいるが、余り気味にカリの後ろに溜まった皮。
 陰茎の血管の浮き出し具合。

「どう? 見覚えあるでしょ?」
「そ、それは僕のチンコ……」
「保健の授業で見てピンと来たんだ。矢本先生に聞いたらやっぱりヤスのチンコから作ったものだって。
 で、矢本先生にお願いして一本貰ったんだ。
 ネットでペニスバンドを注文して改造したんだぜ」
「ま、まさかそれを僕に……」
「初めてが自分のチンコってなかなかない体験だぜ」
「や、やめろー」

 泰彦のディルドにより強化されたペニスバンドを装備したことにより和子の攻撃力が上がった。
 抵抗むなしく、両脚を抱えられ泰子は身動きが取れない。
 研ぎ澄まされたペニスが向かう先を狙っている。
 自分のモノながら自分に向けられると思ったよりも大きく見える。

(あんなモノが自分の体の中に入ってくるのか……)

 恐怖を感じる泰子。

「無理だ! そんなの入らない!」

 照準を定められた亀頭が泰子の大事なところを捕らえ、そっと頭を付ける。
 小指の先ほどの大きさもない穴。
 伸縮性に富んだ粘膜だが、広がっても親指ほどの穴にしかならない。
 ニセモノの亀頭の先っちょだけが膣口に入るが、最大にまで伸びきった処女膜によって侵入を拒まれた。

「いくぜ!」

 和子がグッと腰を入れた。
 ズボッ!

「痛い!」

 ニセモノの亀頭の侵入を許した膣はそのままニセモノの陰茎を奥深くまで咥えこむ。

「入った!」

 伸びの限界を超えた処女膜は何ヶ所かブチブチと裂けて血を流す。
 もはや元の形には戻らない。

「動くぜ!」

 返事を聞かずに和子は腰を動かし始めた。

「痛い! 痛い!」

 裂けた処女膜はそのまま傷となって泰子に痛みを与える。
 もやは泰子は傷物になってしまったのだ。
 やがて膣口の痛みにも慣れ始めると、膣内全体の感覚が泰子を襲った。
 それは指で刺激するよりも強く大きな快楽を生み出した。

「あんっ……、なにこれ……」
「俺もヤスとエッチしたとき同じことを感じたぜ」
「あんっ……、内臓が……、圧迫され……る……」

 膣内を埋めるニセモノのペニスは、女体化してできた心の空白を埋めるものでもある。
 お腹の圧迫感は、物足りなさを満たしてくれる証しである。
 女体化したことで失ったものを、今股間が受け止める。
 一突き一突きに恍惚感に満たされ喋る声もなくなり喘ぎ声だけになる。
 アンアンと喘ぐ泰子を見ることで、和子もまた恍惚感を抱いていた。
 肉体的な刺激がなくても精神的に二人は繋がっており、泰子の恍惚感が和子にも伝播したのだ。
 やがて恍惚感が檻の中に閉ざされていた魂を至高の領域へと導く。
 泰子はイッた。
 そこは何物にも縛られない完全なる自由な世界。
 我執を捨て、まったき存在となった泰子。
 和子もまた同じ場所にいた。
 閉ざされた学園のなかにあっても、二人は魂の解放を果たしたのである。

 呼吸が整いだし、現実世界へと意識が戻ってきた。
 ぐったりとしている二人。
 二人の呼吸は揃っている。
 シーツには赤い印が点々と付いていた。

 初めてを奪われたことで泰子は思った。
 この人が運命の人だと。
 それはひょっとしたら動物の本能に依るものかもしれない。
 しかしそれでも構わないと泰子は思った。
 さっき感じた至高の体験は本物だったと。

「ねぇ、カズ。僕たちこれからも一緒だよね?」
「俺は昔からそうしたいと思ってたぜ」
「またエッチしてくれる?」
「今度はヤスの方がしてくれないかな」
「考えておく」

 こうして友達だった二人は、恋人同士になった。
 女学園を出てもそれは変わらないだろう。

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