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じぇねしす!
第15話 ボランティア・ミッション
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土曜日は休みの日。
自分の身体、細石巌央のところへ行きたいところだけど、今日は用事がある。池田杏奈さんの手伝いでボランティアに行くのだ。
本来はボランティア部の活動の一環だが、人手を借りたいということで奉仕部という名の帰宅部の面々に白羽の矢がたったということだ。
普段着でいいということなので、ありがたかった。
身体は後藤伊吹さんのものとはいえ、中身が男の僕がスカートを穿いて街中を歩くのは抵抗がある。
ズボンは無いかなとタンスを探る。
が、無い。スカートしかない。困った。
「あら、着ていくもので悩んでるの?
選んであげましょうか」
確かに、服装のセンスがない男の僕が、女の子の服を選ぶことには無理がある。
ここはひとつヨシアさんに任せてみるか。
「これなんかいいんじゃない?」
出されたのはミニスカート。
「いやいやいや、穿けないよこんな短いの」
「記憶を失う前はよく穿いていたのに……」
「もうちょっと長めの方がいいです」
「じゃあ、これ」
さっきのよりは長めだけど、膝上ほどの丈。まあこれで我慢するしかないか。
こうして僕らはボランティア部について寮を出た。
僕らが向かった先は、ろうあ児施設だった。
耳が不自由な子たちがいる施設だ。
ここでボランティア部が人形劇をやるのだという。
題目は『ダビデとゴリアテ』。
劇自体はボランティア部がやるので、僕らの仕事は荷物運びや裏方のサポート、それに子供たちの相手だ。
アンナさんは施設の子たちに向かって手を動かしている。手話だ。
すごく速く動かせるみたいだ。
「凄いでしょ彼女。手話を使いこなしてる」
「本当だ。普段の感じだと一歩下がっている感じがするけど、手話だと物怖じしていないね」
「だから、『口より先に手が出る』の」
「あー、確かにそういう肩書きがあったね」
劇の準備をしていると、子供たちが寄ってくる。
準備の邪魔をしないように僕らが子供たちの興味を引き付けて相手をする。
一人の子と遊んでいたら、突然お尻を触られた。
「ひゃん!?」
小学校低学年くらいの男の子。
構ってほしいのかな?
しゃがんで話しかける。
むにゅっ!
胸を揉まれた。
何しやがるんだこのエロガキ。
「女の人にそんなことしちゃダメだよー」と言っても知らん顔。
他の子のお尻を触って歩いていた。
他の子たちは触られてもチラッと見るだけであとは完全無視。大人だ。
そうして、また僕のところへ来てお尻を触っていく。
一度懲らしめたほうがよさそうだな。
「コラッ!」
男の子を捕まえようとするけど逃げられる。
男の子と二人で追いかけっこをするはめに。
男の子は興奮してきたのか笑っている。
そうこうするうちに、劇の準備ができて子供たちが集められて座らされた。
ボランティア部組は人形劇を行い、奉仕部組は舞台の後ろと脇に配置。
僕は脇の方で人形劇を見ていた。
劇の舞台はペリシテ軍と戦っているイスラエル王国。
話の主人公は、神様に選ばれた羊飼いの少年ダビデ。
ペリシテ軍には三メートルもの大男ゴリアテという強い男がいた。
ゴリアテは一対一の勝負をしようとイスラエル軍に言ったけど、誰も怖がって一騎打ちをしようとしない。
そこへ、お兄さんたちに食料を持ってきたダビデが登場。自分が一騎打ちをやるという。
ダビデは防具を身につけず、羊飼いの杖と石投げだけで闘うという。
グルグルと回した石投げから放たれた石がゴリアテの頭に命中。
ゴリアテは倒れて、ダビデに首を取られることに。
人形のセリフ自体は喋っているが、同時に高橋さんが手話で子供たちに伝えている。
手が一所懸命に動く姿を見て、僕は昔見たチャップリンの無声映画を思い出した。
聖書由来の話とはいえ、教訓めいたものでなく冒険活劇っぽいので子供たちの受けもよかったようだ。
背の低い子が大男を倒す話なので、牛若丸と弁慶を思い浮かべる。
弁慶はその後牛若丸の家来になるけど、ゴリアテは首を切られちゃうという違いはあるけど。
片付けをするあいだも子供たちが寄ってきて脚にまとまりつく。
特にエロガキがよくお尻を触りにきた。
そしていよいよ帰る時間。
エロガキが脚に抱きついて離れない。
帰っちゃイヤだと言っているのだろうか。
引き剥がして右手を振った。
エロガキも右手を振った。
手話でも別れの挨拶は一緒なのだろうか?
エロガキは泣きそうになっている。
僕はしゃがみ込み、エロガキの頭をポンポンと叩き「また来るからね」と言った。
エロガキは右手でピースサインを作ったあと、左右の手の人差し指を立てて胸の前まで寄せてきた。
人差し指が僕とエロガキを表していて、それがまた会うということなのかな?
言葉は通じなくても何となく心が通じた気がした。
その後、エロガキは両手をパンと叩き、右手でピースサインを作ったあと、右手でOKサインを作り、最後に右手を敬礼するように目の上に当てた。
言葉は通じなくても、僕にはそれが意味することがハッキリ分かった。
パン・ツー・丸・見え!
エロガキの視線はしゃがんだ股間の中心に向かっていた。
スカートの間から覗くパンツ。
立ち上がってスカートの前面を手で押さえる。
「このエロガキ!」
右の拳を振り上げたけど、エロガキは走り去ってしまった。
ふぅ、まあいいや。
たぶんあの状況だったら僕もイブキさんのパンツを見てしまっていただろう。
僕も石を投げられない。
解散するとき、アンナさんは左手の甲を右手でチョップした。
「……ありがとう」
やっぱり、口より先に手が出るみたい。
そんなこんなで一日が過ぎた。
楽しかったな。また来たいな。
でも、次があるんだろうか?
明日は約束の七日目。
いよいよ元の身体に戻る日だ。
自分の身体、細石巌央のところへ行きたいところだけど、今日は用事がある。池田杏奈さんの手伝いでボランティアに行くのだ。
本来はボランティア部の活動の一環だが、人手を借りたいということで奉仕部という名の帰宅部の面々に白羽の矢がたったということだ。
普段着でいいということなので、ありがたかった。
身体は後藤伊吹さんのものとはいえ、中身が男の僕がスカートを穿いて街中を歩くのは抵抗がある。
ズボンは無いかなとタンスを探る。
が、無い。スカートしかない。困った。
「あら、着ていくもので悩んでるの?
選んであげましょうか」
確かに、服装のセンスがない男の僕が、女の子の服を選ぶことには無理がある。
ここはひとつヨシアさんに任せてみるか。
「これなんかいいんじゃない?」
出されたのはミニスカート。
「いやいやいや、穿けないよこんな短いの」
「記憶を失う前はよく穿いていたのに……」
「もうちょっと長めの方がいいです」
「じゃあ、これ」
さっきのよりは長めだけど、膝上ほどの丈。まあこれで我慢するしかないか。
こうして僕らはボランティア部について寮を出た。
僕らが向かった先は、ろうあ児施設だった。
耳が不自由な子たちがいる施設だ。
ここでボランティア部が人形劇をやるのだという。
題目は『ダビデとゴリアテ』。
劇自体はボランティア部がやるので、僕らの仕事は荷物運びや裏方のサポート、それに子供たちの相手だ。
アンナさんは施設の子たちに向かって手を動かしている。手話だ。
すごく速く動かせるみたいだ。
「凄いでしょ彼女。手話を使いこなしてる」
「本当だ。普段の感じだと一歩下がっている感じがするけど、手話だと物怖じしていないね」
「だから、『口より先に手が出る』の」
「あー、確かにそういう肩書きがあったね」
劇の準備をしていると、子供たちが寄ってくる。
準備の邪魔をしないように僕らが子供たちの興味を引き付けて相手をする。
一人の子と遊んでいたら、突然お尻を触られた。
「ひゃん!?」
小学校低学年くらいの男の子。
構ってほしいのかな?
しゃがんで話しかける。
むにゅっ!
胸を揉まれた。
何しやがるんだこのエロガキ。
「女の人にそんなことしちゃダメだよー」と言っても知らん顔。
他の子のお尻を触って歩いていた。
他の子たちは触られてもチラッと見るだけであとは完全無視。大人だ。
そうして、また僕のところへ来てお尻を触っていく。
一度懲らしめたほうがよさそうだな。
「コラッ!」
男の子を捕まえようとするけど逃げられる。
男の子と二人で追いかけっこをするはめに。
男の子は興奮してきたのか笑っている。
そうこうするうちに、劇の準備ができて子供たちが集められて座らされた。
ボランティア部組は人形劇を行い、奉仕部組は舞台の後ろと脇に配置。
僕は脇の方で人形劇を見ていた。
劇の舞台はペリシテ軍と戦っているイスラエル王国。
話の主人公は、神様に選ばれた羊飼いの少年ダビデ。
ペリシテ軍には三メートルもの大男ゴリアテという強い男がいた。
ゴリアテは一対一の勝負をしようとイスラエル軍に言ったけど、誰も怖がって一騎打ちをしようとしない。
そこへ、お兄さんたちに食料を持ってきたダビデが登場。自分が一騎打ちをやるという。
ダビデは防具を身につけず、羊飼いの杖と石投げだけで闘うという。
グルグルと回した石投げから放たれた石がゴリアテの頭に命中。
ゴリアテは倒れて、ダビデに首を取られることに。
人形のセリフ自体は喋っているが、同時に高橋さんが手話で子供たちに伝えている。
手が一所懸命に動く姿を見て、僕は昔見たチャップリンの無声映画を思い出した。
聖書由来の話とはいえ、教訓めいたものでなく冒険活劇っぽいので子供たちの受けもよかったようだ。
背の低い子が大男を倒す話なので、牛若丸と弁慶を思い浮かべる。
弁慶はその後牛若丸の家来になるけど、ゴリアテは首を切られちゃうという違いはあるけど。
片付けをするあいだも子供たちが寄ってきて脚にまとまりつく。
特にエロガキがよくお尻を触りにきた。
そしていよいよ帰る時間。
エロガキが脚に抱きついて離れない。
帰っちゃイヤだと言っているのだろうか。
引き剥がして右手を振った。
エロガキも右手を振った。
手話でも別れの挨拶は一緒なのだろうか?
エロガキは泣きそうになっている。
僕はしゃがみ込み、エロガキの頭をポンポンと叩き「また来るからね」と言った。
エロガキは右手でピースサインを作ったあと、左右の手の人差し指を立てて胸の前まで寄せてきた。
人差し指が僕とエロガキを表していて、それがまた会うということなのかな?
言葉は通じなくても何となく心が通じた気がした。
その後、エロガキは両手をパンと叩き、右手でピースサインを作ったあと、右手でOKサインを作り、最後に右手を敬礼するように目の上に当てた。
言葉は通じなくても、僕にはそれが意味することがハッキリ分かった。
パン・ツー・丸・見え!
エロガキの視線はしゃがんだ股間の中心に向かっていた。
スカートの間から覗くパンツ。
立ち上がってスカートの前面を手で押さえる。
「このエロガキ!」
右の拳を振り上げたけど、エロガキは走り去ってしまった。
ふぅ、まあいいや。
たぶんあの状況だったら僕もイブキさんのパンツを見てしまっていただろう。
僕も石を投げられない。
解散するとき、アンナさんは左手の甲を右手でチョップした。
「……ありがとう」
やっぱり、口より先に手が出るみたい。
そんなこんなで一日が過ぎた。
楽しかったな。また来たいな。
でも、次があるんだろうか?
明日は約束の七日目。
いよいよ元の身体に戻る日だ。
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