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じぇねしす!
第12話 個人レッスン(創世記ヨセフ編)
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「昨日はイスラエルことヤコブまで話したから次はヤコブの息子ヨセフの話ね」
「お願いします」
「カナンに住んでいたヤコブには十二人の息子がいたの。ヨセフは十一番目の息子。
イスラエルが歳をとってから出来た子なので可愛がられていたの。
でも十人のお兄さんはそれが気に入らない」
「まさか、殺そうとしたとか」
「殺そうとするんだけど、直接手を下すのはやめて穴に投げ入れたの」
「ヒドイ」
「その後、エジプトに行く商人がいたのでヨセフを売っぱらって、イスラエルには死んだと報告したの」
「やっぱりヒドイ。でも殺されるよりはマシか」
「エジプトに行ったヨセフは売られた先の家の奥さんに目を掛けられて、関係を迫られたの。
でもヨセフは真面目だったのできっぱりと断る。
そうしたら奥さんの恨みを買って乱暴されたと嘘をついてヨセフを監獄へ送るの」
「ヨセフさんもついてないね」
「ヨセフは監獄の中で他の囚人の夢占いをしたの。囚人の一人は夢占いの通りに釈放されたの。彼はファラオの給仕係だったので、釈放されたらヨセフを出してくれるように口添えしてもらう約束をしてたの」
「なるほど、これでヨセフも釈放と」
「実際は、給仕係の人はそのことをすっかり忘れていて二年経っているけど」
「ヒドイなぁ」
「ファラオが見た夢を解き明かせられる人はいないかと話をした時に、給仕係がヨセフのことを思い出したの。
で、ヨセフがファラオのもとに呼び出された。
夢占いでは、これから七年間は豊作になり、その後七年間飢饉になると出たの。
ヨセフは豊作のうちに食料を貯め込んでおいて飢饉に備えようと提案をしたら、宰相に抜擢されたの」
「大出世だね」
「飢饉はエジプトだけでなく世界的に起こって、食糧を備蓄していたエジプトだけが裕福だったの。
他の国からも食料を求めてエジプトへやってきたわ。
その中にカナンに住んでいたヨセフの兄弟もいたの」
「感動の再会だね。じゃなくて、殺そうとしていたお兄さん達にあったから復讐とか?」
「兄弟はヨセフに気がつかないの。
兄弟たちの話を聞くと、十二人兄弟で家に弟がいる。一人はもう死んだっていうの。この死んだ一人というのはヨセフのことね。
ヨセフは兄弟たちの言っていることが嘘だとして、にスパイ容疑をかけて牢屋へ放り込むの」
「まあ確かに、死んだと言っているヨセフが生きているんだから嘘ついているようなもんだね」
「スパイ容疑を晴らすには、兄弟たちの言っていることが正しいかどうか確認するため末の弟のベニヤミンを連れてこいというの。
ベニヤミンはヨセフの弟。他の兄弟は母親が違うのだけど、ベニヤミンだけは同じ母親。
ヨセフが穴に放り込まれたとき、ベニヤミンはまだ小さかったから家にいたの。
一人を残して兄弟たちはカナンへ戻ったの。食料もたくさん渡して。
今度はベニヤミンを連れてエジプトへ来た兄弟たち。
言った通りにベニヤミンを連れてきたので兄弟たちは全員釈放。
食料もいっぱい持たせたうえに、ベニヤミンの袋には銀の盃も入れておいたの」
「名乗らずにこっそり援助するんだ。カッコイイねヨセフさん」
「でも、これが実はヨセフの罠。
ベニヤミンの荷物をあらためさせて銀の盃が出てきたので泥棒だってことになって」
「前言撤回、ヒドイなヨセフさん」
「ベニヤミンは奴隷にして、ベニヤミン以外は帰っていいよ、ということにしたの。
でも、ベニヤミンはお父さんのお気に入り。ヨセフがいなくなり、ベニヤミンまでいなくなったらお父さんが悲しむだろうと。兄弟たちは自分たちが奴隷になっても構わないからベニヤミンを返してくれと言うの。
その誠意に打たれてヨセフは自分の正体を明かすの」
「じゃあ、自分をエジプトへ売った兄弟たちのことは許すんだ」
「そう。ヨセフがエジプトへ行ったのは神様の計画だったの。
飢饉が起きてもイスラエルの家族が生き延びるための。
だから、ヨセフは全然兄弟たちのことを恨んでいないと。
そうしてイスラエルの家族を全員エジプトへ招き寄せたの。
こうしてイスラエル人はエジプトの地で繁栄していったの」
「面白い話だね。
この話を聞いて大国主の話を思い出したよ」
「オオクニヌシ?」
「日本神話の大国主。スサノオの子孫。出雲大社に祀られている」
「どんなお話?」
「大国主は元の名前はオオナムチといって、兄弟の中で一番末っ子。上に八十神という八十柱の神様がいるんだ。あ、『柱』っていうのは神様を数える単位で、人間なら『人』のことね。一神教の宗教だと数えるまでもないかもしれないけど。
八十神が、因幡国のヤガミヒメに求婚に行くんだけど、オオナムチと結婚するって言ったもんだから、八十神はオオナムチのことを恨んで殺しちゃうんだ」
「あらあら、もう物語はお終い?」
「オオナムチの母親が高天原のカミムスビという神様に助けを求めたら生き返らせてくれたんだ。
でもまた殺されて生き返って。
このままだと何度も殺されるからって木国のオオヤビコのところへ行かせたんだ。
オオヤビコはスサノオのいる根の堅州国に行くようにアドバイス。
根の堅州国っていうのは黄泉の国の隣にある場所。オオナムチはそこに通じる穴に入って行ったんだ」
「ヨセフが穴に投げ込まれたようなものかしら」
「黄泉の国でオオナムチはスサノオの娘スセリビメに一目惚れ。スセリビメもオオナムチに一目惚れ。
スサノオにしてみれば娘にちょっかいを出しに来た男なので気に食わない。
泊まっていけと言ってヘビがいる部屋に泊めたり、ムカデとハチがいる部屋に泊めたりするけど、スセリビメの助けで難を逃れるんだ。
その後、スサノオの頭のシラミを取るように言われたけど、出てきたのはムカデ。これもスセリビメの助けでムカデを潰しているフリをしてやり過ごすんだ。
で、スサノオが眠っている隙に髪の毛を柱に縛って動けないようにしてスセリビメと駆け落ち。
スサノオの家を出るときに太刀と弓矢と琴を持って行ったんだ。
地上まであと少しというところでスサノオがやってきて「その太刀と弓矢で八十神を追い払え」と言うんだ。あとその時に大国主という名前を貰うんだ。
そうして、大国主として国造りを始めるんだ」
「弟がお兄さんたちのせいで別の場所にいって力を手に入れて、お兄さんたちより偉くなるのね。
確かにヨセフの話と似ている気がしなくもないわね」
「お願いします」
「カナンに住んでいたヤコブには十二人の息子がいたの。ヨセフは十一番目の息子。
イスラエルが歳をとってから出来た子なので可愛がられていたの。
でも十人のお兄さんはそれが気に入らない」
「まさか、殺そうとしたとか」
「殺そうとするんだけど、直接手を下すのはやめて穴に投げ入れたの」
「ヒドイ」
「その後、エジプトに行く商人がいたのでヨセフを売っぱらって、イスラエルには死んだと報告したの」
「やっぱりヒドイ。でも殺されるよりはマシか」
「エジプトに行ったヨセフは売られた先の家の奥さんに目を掛けられて、関係を迫られたの。
でもヨセフは真面目だったのできっぱりと断る。
そうしたら奥さんの恨みを買って乱暴されたと嘘をついてヨセフを監獄へ送るの」
「ヨセフさんもついてないね」
「ヨセフは監獄の中で他の囚人の夢占いをしたの。囚人の一人は夢占いの通りに釈放されたの。彼はファラオの給仕係だったので、釈放されたらヨセフを出してくれるように口添えしてもらう約束をしてたの」
「なるほど、これでヨセフも釈放と」
「実際は、給仕係の人はそのことをすっかり忘れていて二年経っているけど」
「ヒドイなぁ」
「ファラオが見た夢を解き明かせられる人はいないかと話をした時に、給仕係がヨセフのことを思い出したの。
で、ヨセフがファラオのもとに呼び出された。
夢占いでは、これから七年間は豊作になり、その後七年間飢饉になると出たの。
ヨセフは豊作のうちに食料を貯め込んでおいて飢饉に備えようと提案をしたら、宰相に抜擢されたの」
「大出世だね」
「飢饉はエジプトだけでなく世界的に起こって、食糧を備蓄していたエジプトだけが裕福だったの。
他の国からも食料を求めてエジプトへやってきたわ。
その中にカナンに住んでいたヨセフの兄弟もいたの」
「感動の再会だね。じゃなくて、殺そうとしていたお兄さん達にあったから復讐とか?」
「兄弟はヨセフに気がつかないの。
兄弟たちの話を聞くと、十二人兄弟で家に弟がいる。一人はもう死んだっていうの。この死んだ一人というのはヨセフのことね。
ヨセフは兄弟たちの言っていることが嘘だとして、にスパイ容疑をかけて牢屋へ放り込むの」
「まあ確かに、死んだと言っているヨセフが生きているんだから嘘ついているようなもんだね」
「スパイ容疑を晴らすには、兄弟たちの言っていることが正しいかどうか確認するため末の弟のベニヤミンを連れてこいというの。
ベニヤミンはヨセフの弟。他の兄弟は母親が違うのだけど、ベニヤミンだけは同じ母親。
ヨセフが穴に放り込まれたとき、ベニヤミンはまだ小さかったから家にいたの。
一人を残して兄弟たちはカナンへ戻ったの。食料もたくさん渡して。
今度はベニヤミンを連れてエジプトへ来た兄弟たち。
言った通りにベニヤミンを連れてきたので兄弟たちは全員釈放。
食料もいっぱい持たせたうえに、ベニヤミンの袋には銀の盃も入れておいたの」
「名乗らずにこっそり援助するんだ。カッコイイねヨセフさん」
「でも、これが実はヨセフの罠。
ベニヤミンの荷物をあらためさせて銀の盃が出てきたので泥棒だってことになって」
「前言撤回、ヒドイなヨセフさん」
「ベニヤミンは奴隷にして、ベニヤミン以外は帰っていいよ、ということにしたの。
でも、ベニヤミンはお父さんのお気に入り。ヨセフがいなくなり、ベニヤミンまでいなくなったらお父さんが悲しむだろうと。兄弟たちは自分たちが奴隷になっても構わないからベニヤミンを返してくれと言うの。
その誠意に打たれてヨセフは自分の正体を明かすの」
「じゃあ、自分をエジプトへ売った兄弟たちのことは許すんだ」
「そう。ヨセフがエジプトへ行ったのは神様の計画だったの。
飢饉が起きてもイスラエルの家族が生き延びるための。
だから、ヨセフは全然兄弟たちのことを恨んでいないと。
そうしてイスラエルの家族を全員エジプトへ招き寄せたの。
こうしてイスラエル人はエジプトの地で繁栄していったの」
「面白い話だね。
この話を聞いて大国主の話を思い出したよ」
「オオクニヌシ?」
「日本神話の大国主。スサノオの子孫。出雲大社に祀られている」
「どんなお話?」
「大国主は元の名前はオオナムチといって、兄弟の中で一番末っ子。上に八十神という八十柱の神様がいるんだ。あ、『柱』っていうのは神様を数える単位で、人間なら『人』のことね。一神教の宗教だと数えるまでもないかもしれないけど。
八十神が、因幡国のヤガミヒメに求婚に行くんだけど、オオナムチと結婚するって言ったもんだから、八十神はオオナムチのことを恨んで殺しちゃうんだ」
「あらあら、もう物語はお終い?」
「オオナムチの母親が高天原のカミムスビという神様に助けを求めたら生き返らせてくれたんだ。
でもまた殺されて生き返って。
このままだと何度も殺されるからって木国のオオヤビコのところへ行かせたんだ。
オオヤビコはスサノオのいる根の堅州国に行くようにアドバイス。
根の堅州国っていうのは黄泉の国の隣にある場所。オオナムチはそこに通じる穴に入って行ったんだ」
「ヨセフが穴に投げ込まれたようなものかしら」
「黄泉の国でオオナムチはスサノオの娘スセリビメに一目惚れ。スセリビメもオオナムチに一目惚れ。
スサノオにしてみれば娘にちょっかいを出しに来た男なので気に食わない。
泊まっていけと言ってヘビがいる部屋に泊めたり、ムカデとハチがいる部屋に泊めたりするけど、スセリビメの助けで難を逃れるんだ。
その後、スサノオの頭のシラミを取るように言われたけど、出てきたのはムカデ。これもスセリビメの助けでムカデを潰しているフリをしてやり過ごすんだ。
で、スサノオが眠っている隙に髪の毛を柱に縛って動けないようにしてスセリビメと駆け落ち。
スサノオの家を出るときに太刀と弓矢と琴を持って行ったんだ。
地上まであと少しというところでスサノオがやってきて「その太刀と弓矢で八十神を追い払え」と言うんだ。あとその時に大国主という名前を貰うんだ。
そうして、大国主として国造りを始めるんだ」
「弟がお兄さんたちのせいで別の場所にいって力を手に入れて、お兄さんたちより偉くなるのね。
確かにヨセフの話と似ている気がしなくもないわね」
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