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第三章私は貴方の…
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トントントンと、どこかで扉の音が聞こえる…。
私は微睡む意識の中で、その音がどこから聞こえるのだろうかと思い。
まだ醒めきらぬ頭で、部屋にかけた術をときながら先程からずっとなり続ける音を止めようと部屋の扉を開ければ、なんとそこにはランゼルト様が居て。
私は寝ぼけた目をこすりながら。
「ランゼルト様?どうかされたのですか」と言えば。
「どうかされた…だとっ…!!ふざけるなそれはお前の方だろうっ!!」
「…すみません…そうですね…ごめんなさいランゼルト様」
私はそうかなり怒った表情と声音で言うランゼルト様に、謝るように言いながら。
目から一筋の涙を流せば…。
「アキツシマ!?…そう謝らないでくれないか?…。
お前にそうされると…心が痛んで壊れそうになる」
とランゼルト様は私の涙を指で優しくぬぐいながら、そう心を抑えて言うので。
私はさらに泣きそうになったが、これ以上彼を苦しめる訳にはいかないと思い…。
「…分かりましたランゼルト様。アキツシマは…もう大丈夫ですので」と、
彼を安心させるように小さく笑えば。
ランゼルト様は私の体をぎゅっと強く抱きしめて、
「…大丈夫だと嘘つくのはやめろ…本当は酷く泣くぐらい辛いくせに、
何故この私に偽る?それとも偽らねばならぬ程私を信用できぬのか…?」
「いえっ…!!そんな事はありませんっ!!!」
「なら何故、私から逃げた?…何故だ、何故なのだ…アキツシマ」
ランゼルト様はそう強く言いながら、私の体をさらにぎゅっと抱きしめてくるので。
私は思わず本来だったら言うことすらない、心の底に隠した本音をわめくように。
「…それは、私が貴方の間に子供が欲しいと言ったからですっ…。
ごめんなさいランゼルト様っ…本当にごめんなさいっ…私はモノにすぎないのに、
貴方と同じように考えてしまったっ…だから私はそれが怖くてっ…。
棄てられたらどうしようと思ってっ…」と、
口から思いを溢れさせるように言えば。
「なっ…お前っ…そんな風に思っていたのか?」
とランゼルト 様はそう言って、私を抱きしめていた手をゆるめて、静かに手を離すので。
私はそんな彼の行動をみて、心がどんどん死んでいくような気持ちになりながら。
心の中で、
(もうダメだっ…もうダメだっ…私はもう…棄てられちゃう)と。
パニックを起こしたように、そう考えてしまい。
「そうですっ…そう思ってます…それがいけないことだと分かってます…。
ごめんなさいごめんなさい」
と私は壊れたロボットのように、何度も謝罪の言葉を繰り返せば。
私は微睡む意識の中で、その音がどこから聞こえるのだろうかと思い。
まだ醒めきらぬ頭で、部屋にかけた術をときながら先程からずっとなり続ける音を止めようと部屋の扉を開ければ、なんとそこにはランゼルト様が居て。
私は寝ぼけた目をこすりながら。
「ランゼルト様?どうかされたのですか」と言えば。
「どうかされた…だとっ…!!ふざけるなそれはお前の方だろうっ!!」
「…すみません…そうですね…ごめんなさいランゼルト様」
私はそうかなり怒った表情と声音で言うランゼルト様に、謝るように言いながら。
目から一筋の涙を流せば…。
「アキツシマ!?…そう謝らないでくれないか?…。
お前にそうされると…心が痛んで壊れそうになる」
とランゼルト様は私の涙を指で優しくぬぐいながら、そう心を抑えて言うので。
私はさらに泣きそうになったが、これ以上彼を苦しめる訳にはいかないと思い…。
「…分かりましたランゼルト様。アキツシマは…もう大丈夫ですので」と、
彼を安心させるように小さく笑えば。
ランゼルト様は私の体をぎゅっと強く抱きしめて、
「…大丈夫だと嘘つくのはやめろ…本当は酷く泣くぐらい辛いくせに、
何故この私に偽る?それとも偽らねばならぬ程私を信用できぬのか…?」
「いえっ…!!そんな事はありませんっ!!!」
「なら何故、私から逃げた?…何故だ、何故なのだ…アキツシマ」
ランゼルト様はそう強く言いながら、私の体をさらにぎゅっと抱きしめてくるので。
私は思わず本来だったら言うことすらない、心の底に隠した本音をわめくように。
「…それは、私が貴方の間に子供が欲しいと言ったからですっ…。
ごめんなさいランゼルト様っ…本当にごめんなさいっ…私はモノにすぎないのに、
貴方と同じように考えてしまったっ…だから私はそれが怖くてっ…。
棄てられたらどうしようと思ってっ…」と、
口から思いを溢れさせるように言えば。
「なっ…お前っ…そんな風に思っていたのか?」
とランゼルト 様はそう言って、私を抱きしめていた手をゆるめて、静かに手を離すので。
私はそんな彼の行動をみて、心がどんどん死んでいくような気持ちになりながら。
心の中で、
(もうダメだっ…もうダメだっ…私はもう…棄てられちゃう)と。
パニックを起こしたように、そう考えてしまい。
「そうですっ…そう思ってます…それがいけないことだと分かってます…。
ごめんなさいごめんなさい」
と私は壊れたロボットのように、何度も謝罪の言葉を繰り返せば。
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