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面蛸とおる

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第二章極夜の世界で温かな…

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私は、

「そうなのですね…分かりました。では今日はありのままの貴方に愛して貰えるのですね…。
ああいえ、もう愛していただきましたの間違いですね」

と温泉に入る前の出来事を脳裏に浮かべながら、そう嬉しく言えば。

「ああっ…そういう事になるな…だがまだ私のありのままの想いは、それだけでは終わらぬぞ」

とランゼルト様は意地悪く私に言うので。

「あらっ…そうなのですね…それはそれは楽しみです」

と私は無邪気にそう返して。

─ランゼルト様の身体がポカポカになるまで、炭酸温泉の中で。
何度も何度も口づけを繰り返し、そして…。

「そろそろ…出る頃合いだな」

とランゼルト様がそう言ったと同時に、私たちは温泉からゆっくりあがり。

来た道を戻るようにポカポカになった身体を、
湯冷めさせないように進みながら脱衣所に向かい、そこで館内着に着替えてから。

温泉施設のロビーのソファーでくつろぐように座って。

「はぁああ…とても良いお湯でした」

と私はそうランゼルト様の顔を見ながら言えば。

「…そうだな。実に良いお湯だった…。この身体がここまで温かくなるのは…初めてだ」

と私の唇を見ながらそう返してくるので。

私は、

(もうランゼルト様ったら、そういう視線はずるいです)

と心の中でぼやくように言いながら。

「そうなんですね…ではここにいるペンギンちゃん達に私からも感謝を送らねばなりませんね」

とそう言って、芸術と芸能の管理者として。

この施設にさらなる芸術的美しさを与えるために、どんな時でも枯れぬ美しい花を贈れば。

この施設で働いているペンギン達はとても喜び、
グァー!!グァー!!と鳴きながら私の元に近寄ってきてくれたので。

私はそんなペンギン達に微笑みを浮かべながら、隣にいるランゼルト様の手をぎゅっと握って。

「ほらランゼルト様…貴方の大切な民がみんな喜んでますよ」と言えば。
「ああそうだな…まるではしゃぐ子供のようだ」と優しくそう返してきたので。

私は思わず。

「ええそうですね…まるで子供のようです…。ほんといつか、私達の間にこの子達みたいな子が産まれたらどれだけ幸せなんでしょうか…」と、

しんみりとした顔つきで言ってしまい。

「アキツシマは私との間に子を望むのか…」

というランゼルト様のセリフで、ふと我に返りながら自分の言った言葉の重さに気づいて。

「いえ…その…あの…」と震えるように答えながら、彼の手を振りほどき。

逃げるように、走りさりながら。

この施設の中にある宿泊施設の部屋へと向かい。

ランゼルト様には開けられない術を使いながら部屋に鍵をかけて。

一人部屋のベットの上で…。

『何故いってしまったのだ…私は創られたモノなのに…どうして、何故、何故願った…』

と自問自答しながらポロポロと目から涙を流して。

愚かにも彼との間に子供願った自分を戒める為に、私は次の日になるまで眠ろうと思い、

涙で潤んだ目を閉じながら。


意識を夢の世界へと誘い、

まるで雪のように白い姫のように、私は深い眠りについた…。



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