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相思相愛の主人と奴隷
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「隆虎おい離せよ!! 強引すぎるぞ! 服が伸びるじゃんか」
「キャンキャン喚くなよ。メソメソうじうじの次は犬みたいにわんわんすんな。良いから着いてこいよ。このバーテンダー様がここでお悩みを聞いてやるからな」
「上からきやがって、誰が言うかよ」
「ふーん言わなくて辛くないなら、そうすれば」
俺の返答に隆虎はあっそう、なら帰れば良いのにというニュアンスが含んだ声を出しながら、俺をダークブラウンの色合いがとてもクールでカッコいい。6人程座れるカウンター席に座らせるので。
「…お前俺の事心配してくれてたのか?」
「そうだ、といえばお前は話すのか?」
「…ああもう、なんだよそいう風な態度。そんな風にされたら俺泣きそう…」
隆虎の言葉を聞いて俺は目から涙をぽろぽろと零すので。
そんな俺の様子を見た隆虎は、ぶっきらぼうな仕草をしながら、キンキンに冷えたグラスに水と氷を入れて、そっと俺に手渡してくれるので。
「ありがとうっ…すげぇつめたいけど」
「うるせぇ、冷たい水でも飲んで少しぐらいは落ち着けよ、あともう泣くんじゃねぇよ。お前が泣くと誓愛にまた絞められるからな」
「誓愛さんは、そんな事しねぇよ…俺ごときがメソメソしてるぐらいで、そんな事なんかっ…ねぇよ」
「そう思っているのはお前だけだっての!! 全く俺はお前が泣くのが嫌いなんだよ。だってもれなく誓愛に暴れられて店も大荒れだからな」
隆虎はそう『面倒ごとに俺を巻き込むなよ』と文句をいうかのように、ここには居ない誓愛さんへの苦情を口から吐き出すので。
「隆虎!! お前さっきから誓愛さんの悪口ばっかだぞ!! そんなに言うなよ、次言ったら怒るからな」
「はいはい、わかったって。本当にイヤになるぐらい誓愛の事好きなんだなお前。だから…大人しくこのカクテ
ル飲んで、言いたいこと吐き出せよ」
隆虎は兄貴のような笑みを浮かべて、ウィスキーベースのカクテルロブロイをカウンターに置くので。
俺はその琥珀色の液体をこくりと一口飲み干して。
「わかった…話すよ。俺その…誓愛さんに本当に愛されてるのかわかんなくて、ウリとかしてさ、わざと嫉妬させようと色々と知らない奴とエッチしたり、誓愛さんの部下とキスしたりしてたんだけど…。昨日誓愛さんの甥っ子の雪白君への態度を見て、なんであんなに俺とは違うんだよって思ってさ…。俺も美しくて性別も越える程の容姿があればよかったのにと思ったら、知らぬ間にここまで来てたんだよ」
「なるほどね…。雪白君と逢ったのか、それはなんというかそう思うのはわかるぜ。でもな昌風、お前は知らないと思うが。秋津志摩君に出会ったらもっとすごい事になるぜ」
「なっ…なんだと、というか秋津志摩って誰だよ。俺がしらねぇやつのこと言われても困る」
「ああわりぃ、秋津志摩君はな…誓愛の可愛い息子で。見た目は雪白と同じぐらい美しくて愛らしくて、芸術系がものすごい子でさ。ちょうど今俺のバーに入ってきた子みたいな感じで…」
隆虎はそう説明するように言いながら、カランコロンと音を鳴らして入ってくる白のカッターシャツに緑のネクタイでおしゃれに決めた黒髪の青年をじっと見るので。
「おい、どうした隆虎?」と俺は青年をじっと見つめる隆虎に言いながら、くるりと振り返れば。
「父様、貴方様のお探しの方は…やはりこちらにいらっしゃいましたよ」
「ああ、ありがとう秋津志摩。本当にお前はお父さん思いでいい子だ。大好きだぞ愛してる」
「もう父様ったら、恥ずかしい事をこんな所でおっしゃらないでくださいよ。ですが秋津志摩はその…ランゼルト様だけを愛しておりますので」
「なんだとっ…ちょっと酷くないアキ君、お父さんショックで寝込んじゃいそう!!」
そう誓愛さんは親ばかまるだしの顔で、デレデレと隣にいる。くせのある黒髪を肩まで伸ばした、雪白と瓜二つといってもいいぐらいの容姿の青年に話かけるので。
「誓愛さん、その子なに? やっぱり…そいうこの方が好きなんだ!!」
と強く叫ぶように言えば。
「ああ好きだよ。家族としてな…だって俺の姉さんが残した大切な子供なんだから」
「えっ…それってどいうこと?」
「どいう事って? 言った意味のままなんだけな、こいつは俺の姉さんの子供、昔起きた大惨事の中で生き残った大切な家族、それを家族として好きなのは当然だろう? それに秋津志摩には恋人が居るんだよ」
誓愛はそうため息を吐きながら、額に手を押さえると。
「はい、なのでいらぬ心配はなさらずにですよ。というかむしろされない方が貴方の命が安全になります。なんというかその、私を愛してくださっている方、ヤンデレでツンデレさんなので」
そう穏やかな笑みを見せながら、秋津志摩は笑って言うので。
一瞬でもこの子に嫉妬した俺がバカなのではと思って、少し安堵したように。
ふぅと一呼吸置けば。
「なんだ…どうした?もしかして秋津志摩に嫉妬したのか?」
「うるせぇっ…嫉妬なんかしてねぇよ!!」
「ふーん、でも雪白には嫉妬したろ?」
「……」
「キャンキャン喚くなよ。メソメソうじうじの次は犬みたいにわんわんすんな。良いから着いてこいよ。このバーテンダー様がここでお悩みを聞いてやるからな」
「上からきやがって、誰が言うかよ」
「ふーん言わなくて辛くないなら、そうすれば」
俺の返答に隆虎はあっそう、なら帰れば良いのにというニュアンスが含んだ声を出しながら、俺をダークブラウンの色合いがとてもクールでカッコいい。6人程座れるカウンター席に座らせるので。
「…お前俺の事心配してくれてたのか?」
「そうだ、といえばお前は話すのか?」
「…ああもう、なんだよそいう風な態度。そんな風にされたら俺泣きそう…」
隆虎の言葉を聞いて俺は目から涙をぽろぽろと零すので。
そんな俺の様子を見た隆虎は、ぶっきらぼうな仕草をしながら、キンキンに冷えたグラスに水と氷を入れて、そっと俺に手渡してくれるので。
「ありがとうっ…すげぇつめたいけど」
「うるせぇ、冷たい水でも飲んで少しぐらいは落ち着けよ、あともう泣くんじゃねぇよ。お前が泣くと誓愛にまた絞められるからな」
「誓愛さんは、そんな事しねぇよ…俺ごときがメソメソしてるぐらいで、そんな事なんかっ…ねぇよ」
「そう思っているのはお前だけだっての!! 全く俺はお前が泣くのが嫌いなんだよ。だってもれなく誓愛に暴れられて店も大荒れだからな」
隆虎はそう『面倒ごとに俺を巻き込むなよ』と文句をいうかのように、ここには居ない誓愛さんへの苦情を口から吐き出すので。
「隆虎!! お前さっきから誓愛さんの悪口ばっかだぞ!! そんなに言うなよ、次言ったら怒るからな」
「はいはい、わかったって。本当にイヤになるぐらい誓愛の事好きなんだなお前。だから…大人しくこのカクテ
ル飲んで、言いたいこと吐き出せよ」
隆虎は兄貴のような笑みを浮かべて、ウィスキーベースのカクテルロブロイをカウンターに置くので。
俺はその琥珀色の液体をこくりと一口飲み干して。
「わかった…話すよ。俺その…誓愛さんに本当に愛されてるのかわかんなくて、ウリとかしてさ、わざと嫉妬させようと色々と知らない奴とエッチしたり、誓愛さんの部下とキスしたりしてたんだけど…。昨日誓愛さんの甥っ子の雪白君への態度を見て、なんであんなに俺とは違うんだよって思ってさ…。俺も美しくて性別も越える程の容姿があればよかったのにと思ったら、知らぬ間にここまで来てたんだよ」
「なるほどね…。雪白君と逢ったのか、それはなんというかそう思うのはわかるぜ。でもな昌風、お前は知らないと思うが。秋津志摩君に出会ったらもっとすごい事になるぜ」
「なっ…なんだと、というか秋津志摩って誰だよ。俺がしらねぇやつのこと言われても困る」
「ああわりぃ、秋津志摩君はな…誓愛の可愛い息子で。見た目は雪白と同じぐらい美しくて愛らしくて、芸術系がものすごい子でさ。ちょうど今俺のバーに入ってきた子みたいな感じで…」
隆虎はそう説明するように言いながら、カランコロンと音を鳴らして入ってくる白のカッターシャツに緑のネクタイでおしゃれに決めた黒髪の青年をじっと見るので。
「おい、どうした隆虎?」と俺は青年をじっと見つめる隆虎に言いながら、くるりと振り返れば。
「父様、貴方様のお探しの方は…やはりこちらにいらっしゃいましたよ」
「ああ、ありがとう秋津志摩。本当にお前はお父さん思いでいい子だ。大好きだぞ愛してる」
「もう父様ったら、恥ずかしい事をこんな所でおっしゃらないでくださいよ。ですが秋津志摩はその…ランゼルト様だけを愛しておりますので」
「なんだとっ…ちょっと酷くないアキ君、お父さんショックで寝込んじゃいそう!!」
そう誓愛さんは親ばかまるだしの顔で、デレデレと隣にいる。くせのある黒髪を肩まで伸ばした、雪白と瓜二つといってもいいぐらいの容姿の青年に話かけるので。
「誓愛さん、その子なに? やっぱり…そいうこの方が好きなんだ!!」
と強く叫ぶように言えば。
「ああ好きだよ。家族としてな…だって俺の姉さんが残した大切な子供なんだから」
「えっ…それってどいうこと?」
「どいう事って? 言った意味のままなんだけな、こいつは俺の姉さんの子供、昔起きた大惨事の中で生き残った大切な家族、それを家族として好きなのは当然だろう? それに秋津志摩には恋人が居るんだよ」
誓愛はそうため息を吐きながら、額に手を押さえると。
「はい、なのでいらぬ心配はなさらずにですよ。というかむしろされない方が貴方の命が安全になります。なんというかその、私を愛してくださっている方、ヤンデレでツンデレさんなので」
そう穏やかな笑みを見せながら、秋津志摩は笑って言うので。
一瞬でもこの子に嫉妬した俺がバカなのではと思って、少し安堵したように。
ふぅと一呼吸置けば。
「なんだ…どうした?もしかして秋津志摩に嫉妬したのか?」
「うるせぇっ…嫉妬なんかしてねぇよ!!」
「ふーん、でも雪白には嫉妬したろ?」
「……」
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