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相思相愛の主人と奴隷
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あれから少しして、俺は都心にある高層マンションのエレベーター前まで辿り着き。
このボタンを押せば誓愛さんの部屋に行けるというところで、何故かボタンを押すことが怖くなって。
そのまま数分程マンションのエントランスで、うだうだと。
(あんな電話した後に…のこのこと部屋に行ってもいいのか? でも…嫉妬なんてしてないはずだから。きっとこんな時間に来るな邪魔だ!! とか言われるんじゃ…)
ああでもないこうでもないと悪いほうに考えて、くせのある自分の髪をわしゃわしゃと悩むように触れば。
「あの…大丈夫ですか? そんなに髪をわしゃわしゃしたら、変なくせがつきますよ?」
そう男だと思われる可愛い声が俺の耳に聞こえてくるので。
俺はその声の持ち主の方に体ごと向ければ、なんとそこには。
美しい黒髪を腰まできれいに伸ばした、女性のような男が居て。
大きく愛らしい蒼い目をぱちぱちとさせながら、獣の耳のような特徴的なくせ毛をゆらして、こちらに手を差し出していたので。
「なっ.…俺は大丈夫だから、気にすんじゃねぇよだけど、ありがとうな…」
「あら、そうですか? 本当に大丈夫なんですか? そんな風には見えないのですが」
「本当大丈夫だって!!」
「…わかりました。大丈夫なんですね、ならその…エレベーター乗らないのでしたら、少し階段の方に行っていただいてもよろしいでしょうか?」
黒髪の美しい男はそう言って、おだやかで愛らしい微笑みを見せながら。
『乗れないから、どいて』と。
そう告げてはいないが、態度はそいうものだったので。
「あっ…悪い、邪魔してたな」
「いえいえ、お気になさらずにですよ。ですがあなたがどいてくれて、誓愛叔父様との約束に遅れなくてすみました」
「えっ…誓愛叔父様だとっ…? それってどいう意味だよ」
男の発言に驚いた俺はそう言いながら、メソアメリカ系の民族的文様の入ったTシャツの首元を右手で掴めば。
「ちょっと!! 何をなさるのですか? この服はテスカトルさんに買っていただいたものなんですよ!! そんなに強く握らないでくださいませ」
「なっ…!! そう怒るなよ、はなしてやるから…お前誓愛さんの何だよ?」
俺は問い詰めるかのように言いながら、掴んでいた手をはなして。
相手の動きを伺えば…。
「もう、何ですか貴方。私は雪白です…姫氏原誓愛叔父様の甥っ子です」
「えっ!? マジで、お前があの人の甥っ子!! 全然雰囲気ちがいすぎ!! というかまじで白雪姫みたいじゃんか、お前」
「ちょっとやめてくださいよ、雪白は白雪姫ではありません!! まあ…鏡と名の付く方には好かれておりますが」
誓愛さんの甥っ子と自称する雪白はそう文句を言いながらも、俺が押さずにいたエレベーターのボタンをぽちっと押すので。
「わりぃ…名前と見た目でそう思って、嫌だったら謝るぜ。あと…その…俺もお前について言っても良いか?」
「別に謝罪はいりませんよ、そして着いてきたいのでしたら…どうぞご勝手にです。きっと誓愛叔父様は気にしませんので」
雪白はそうニコニコと笑いながら言って、チーンと音をならして到着したエレベーターの中に入って行くので。
俺も彼に続くようにエレベーターに乗って。
誓愛さんの自宅へと向かい。
彼の元に続く黒い扉を、俺はゆっくりと恐る恐る開けた。
このボタンを押せば誓愛さんの部屋に行けるというところで、何故かボタンを押すことが怖くなって。
そのまま数分程マンションのエントランスで、うだうだと。
(あんな電話した後に…のこのこと部屋に行ってもいいのか? でも…嫉妬なんてしてないはずだから。きっとこんな時間に来るな邪魔だ!! とか言われるんじゃ…)
ああでもないこうでもないと悪いほうに考えて、くせのある自分の髪をわしゃわしゃと悩むように触れば。
「あの…大丈夫ですか? そんなに髪をわしゃわしゃしたら、変なくせがつきますよ?」
そう男だと思われる可愛い声が俺の耳に聞こえてくるので。
俺はその声の持ち主の方に体ごと向ければ、なんとそこには。
美しい黒髪を腰まできれいに伸ばした、女性のような男が居て。
大きく愛らしい蒼い目をぱちぱちとさせながら、獣の耳のような特徴的なくせ毛をゆらして、こちらに手を差し出していたので。
「なっ.…俺は大丈夫だから、気にすんじゃねぇよだけど、ありがとうな…」
「あら、そうですか? 本当に大丈夫なんですか? そんな風には見えないのですが」
「本当大丈夫だって!!」
「…わかりました。大丈夫なんですね、ならその…エレベーター乗らないのでしたら、少し階段の方に行っていただいてもよろしいでしょうか?」
黒髪の美しい男はそう言って、おだやかで愛らしい微笑みを見せながら。
『乗れないから、どいて』と。
そう告げてはいないが、態度はそいうものだったので。
「あっ…悪い、邪魔してたな」
「いえいえ、お気になさらずにですよ。ですがあなたがどいてくれて、誓愛叔父様との約束に遅れなくてすみました」
「えっ…誓愛叔父様だとっ…? それってどいう意味だよ」
男の発言に驚いた俺はそう言いながら、メソアメリカ系の民族的文様の入ったTシャツの首元を右手で掴めば。
「ちょっと!! 何をなさるのですか? この服はテスカトルさんに買っていただいたものなんですよ!! そんなに強く握らないでくださいませ」
「なっ…!! そう怒るなよ、はなしてやるから…お前誓愛さんの何だよ?」
俺は問い詰めるかのように言いながら、掴んでいた手をはなして。
相手の動きを伺えば…。
「もう、何ですか貴方。私は雪白です…姫氏原誓愛叔父様の甥っ子です」
「えっ!? マジで、お前があの人の甥っ子!! 全然雰囲気ちがいすぎ!! というかまじで白雪姫みたいじゃんか、お前」
「ちょっとやめてくださいよ、雪白は白雪姫ではありません!! まあ…鏡と名の付く方には好かれておりますが」
誓愛さんの甥っ子と自称する雪白はそう文句を言いながらも、俺が押さずにいたエレベーターのボタンをぽちっと押すので。
「わりぃ…名前と見た目でそう思って、嫌だったら謝るぜ。あと…その…俺もお前について言っても良いか?」
「別に謝罪はいりませんよ、そして着いてきたいのでしたら…どうぞご勝手にです。きっと誓愛叔父様は気にしませんので」
雪白はそうニコニコと笑いながら言って、チーンと音をならして到着したエレベーターの中に入って行くので。
俺も彼に続くようにエレベーターに乗って。
誓愛さんの自宅へと向かい。
彼の元に続く黒い扉を、俺はゆっくりと恐る恐る開けた。
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