3 / 29
相思相愛の主人と奴隷
3
しおりを挟む
あれから少しして、俺は都心にある高層マンションのエレベーター前まで辿り着き。
このボタンを押せば誓愛さんの部屋に行けるというところで、何故かボタンを押すことが怖くなって。
そのまま数分程マンションのエントランスで、うだうだと。
(あんな電話した後に…のこのこと部屋に行ってもいいのか? でも…嫉妬なんてしてないはずだから。きっとこんな時間に来るな邪魔だ!! とか言われるんじゃ…)
ああでもないこうでもないと悪いほうに考えて、くせのある自分の髪をわしゃわしゃと悩むように触れば。
「あの…大丈夫ですか? そんなに髪をわしゃわしゃしたら、変なくせがつきますよ?」
そう男だと思われる可愛い声が俺の耳に聞こえてくるので。
俺はその声の持ち主の方に体ごと向ければ、なんとそこには。
美しい黒髪を腰まできれいに伸ばした、女性のような男が居て。
大きく愛らしい蒼い目をぱちぱちとさせながら、獣の耳のような特徴的なくせ毛をゆらして、こちらに手を差し出していたので。
「なっ.…俺は大丈夫だから、気にすんじゃねぇよだけど、ありがとうな…」
「あら、そうですか? 本当に大丈夫なんですか? そんな風には見えないのですが」
「本当大丈夫だって!!」
「…わかりました。大丈夫なんですね、ならその…エレベーター乗らないのでしたら、少し階段の方に行っていただいてもよろしいでしょうか?」
黒髪の美しい男はそう言って、おだやかで愛らしい微笑みを見せながら。
『乗れないから、どいて』と。
そう告げてはいないが、態度はそいうものだったので。
「あっ…悪い、邪魔してたな」
「いえいえ、お気になさらずにですよ。ですがあなたがどいてくれて、誓愛叔父様との約束に遅れなくてすみました」
「えっ…誓愛叔父様だとっ…? それってどいう意味だよ」
男の発言に驚いた俺はそう言いながら、メソアメリカ系の民族的文様の入ったTシャツの首元を右手で掴めば。
「ちょっと!! 何をなさるのですか? この服はテスカトルさんに買っていただいたものなんですよ!! そんなに強く握らないでくださいませ」
「なっ…!! そう怒るなよ、はなしてやるから…お前誓愛さんの何だよ?」
俺は問い詰めるかのように言いながら、掴んでいた手をはなして。
相手の動きを伺えば…。
「もう、何ですか貴方。私は雪白です…姫氏原誓愛叔父様の甥っ子です」
「えっ!? マジで、お前があの人の甥っ子!! 全然雰囲気ちがいすぎ!! というかまじで白雪姫みたいじゃんか、お前」
「ちょっとやめてくださいよ、雪白は白雪姫ではありません!! まあ…鏡と名の付く方には好かれておりますが」
誓愛さんの甥っ子と自称する雪白はそう文句を言いながらも、俺が押さずにいたエレベーターのボタンをぽちっと押すので。
「わりぃ…名前と見た目でそう思って、嫌だったら謝るぜ。あと…その…俺もお前について言っても良いか?」
「別に謝罪はいりませんよ、そして着いてきたいのでしたら…どうぞご勝手にです。きっと誓愛叔父様は気にしませんので」
雪白はそうニコニコと笑いながら言って、チーンと音をならして到着したエレベーターの中に入って行くので。
俺も彼に続くようにエレベーターに乗って。
誓愛さんの自宅へと向かい。
彼の元に続く黒い扉を、俺はゆっくりと恐る恐る開けた。
このボタンを押せば誓愛さんの部屋に行けるというところで、何故かボタンを押すことが怖くなって。
そのまま数分程マンションのエントランスで、うだうだと。
(あんな電話した後に…のこのこと部屋に行ってもいいのか? でも…嫉妬なんてしてないはずだから。きっとこんな時間に来るな邪魔だ!! とか言われるんじゃ…)
ああでもないこうでもないと悪いほうに考えて、くせのある自分の髪をわしゃわしゃと悩むように触れば。
「あの…大丈夫ですか? そんなに髪をわしゃわしゃしたら、変なくせがつきますよ?」
そう男だと思われる可愛い声が俺の耳に聞こえてくるので。
俺はその声の持ち主の方に体ごと向ければ、なんとそこには。
美しい黒髪を腰まできれいに伸ばした、女性のような男が居て。
大きく愛らしい蒼い目をぱちぱちとさせながら、獣の耳のような特徴的なくせ毛をゆらして、こちらに手を差し出していたので。
「なっ.…俺は大丈夫だから、気にすんじゃねぇよだけど、ありがとうな…」
「あら、そうですか? 本当に大丈夫なんですか? そんな風には見えないのですが」
「本当大丈夫だって!!」
「…わかりました。大丈夫なんですね、ならその…エレベーター乗らないのでしたら、少し階段の方に行っていただいてもよろしいでしょうか?」
黒髪の美しい男はそう言って、おだやかで愛らしい微笑みを見せながら。
『乗れないから、どいて』と。
そう告げてはいないが、態度はそいうものだったので。
「あっ…悪い、邪魔してたな」
「いえいえ、お気になさらずにですよ。ですがあなたがどいてくれて、誓愛叔父様との約束に遅れなくてすみました」
「えっ…誓愛叔父様だとっ…? それってどいう意味だよ」
男の発言に驚いた俺はそう言いながら、メソアメリカ系の民族的文様の入ったTシャツの首元を右手で掴めば。
「ちょっと!! 何をなさるのですか? この服はテスカトルさんに買っていただいたものなんですよ!! そんなに強く握らないでくださいませ」
「なっ…!! そう怒るなよ、はなしてやるから…お前誓愛さんの何だよ?」
俺は問い詰めるかのように言いながら、掴んでいた手をはなして。
相手の動きを伺えば…。
「もう、何ですか貴方。私は雪白です…姫氏原誓愛叔父様の甥っ子です」
「えっ!? マジで、お前があの人の甥っ子!! 全然雰囲気ちがいすぎ!! というかまじで白雪姫みたいじゃんか、お前」
「ちょっとやめてくださいよ、雪白は白雪姫ではありません!! まあ…鏡と名の付く方には好かれておりますが」
誓愛さんの甥っ子と自称する雪白はそう文句を言いながらも、俺が押さずにいたエレベーターのボタンをぽちっと押すので。
「わりぃ…名前と見た目でそう思って、嫌だったら謝るぜ。あと…その…俺もお前について言っても良いか?」
「別に謝罪はいりませんよ、そして着いてきたいのでしたら…どうぞご勝手にです。きっと誓愛叔父様は気にしませんので」
雪白はそうニコニコと笑いながら言って、チーンと音をならして到着したエレベーターの中に入って行くので。
俺も彼に続くようにエレベーターに乗って。
誓愛さんの自宅へと向かい。
彼の元に続く黒い扉を、俺はゆっくりと恐る恐る開けた。
0
お気に入りに追加
34
あなたにおすすめの小説
【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!
溺愛前提のちょっといじわるなタイプの短編集
あかさたな!
BL
全話独立したお話です。
溺愛前提のラブラブ感と
ちょっぴりいじわるをしちゃうスパイスを加えた短編集になっております。
いきなりオトナな内容に入るので、ご注意を!
【片思いしていた相手の数年越しに知った裏の顔】【モテ男に徐々に心を開いていく恋愛初心者】【久しぶりの夜は燃える】【伝説の狼男と恋に落ちる】【ヤンキーを喰う生徒会長】【犬の躾に抜かりがないご主人様】【取引先の年下に屈服するリーマン】【優秀な弟子に可愛がられる師匠】【ケンカの後の夜は甘い】【好きな子を守りたい故に】【マンネリを打ち明けると進み出す】【キスだけじゃあ我慢できない】【マッサージという名目だけど】【尿道攻めというやつ】【ミニスカといえば】【ステージで新人に喰われる】
------------------
【2021/10/29を持って、こちらの短編集を完結致します。
同シリーズの[完結済み・年上が溺愛される短編集]
等もあるので、詳しくはプロフィールをご覧いただけると幸いです。
ありがとうございました。
引き続き応援いただけると幸いです。】
アダルトショップでオナホになった俺
ミヒロ
BL
初めて同士の長年の交際をしていた彼氏と喧嘩別れした弘樹。
覚えてしまった快楽に負け、彼女へのプレゼントというていで、と自分を慰める為にアダルトショップに行ったものの。
バイブやローションの品定めしていた弘樹自身が客や後には店員にオナホになる話し。
※表紙イラスト as-AIart- 様(素敵なイラストありがとうございます!)
獣人の里の仕置き小屋
真木
恋愛
ある狼獣人の里には、仕置き小屋というところがある。
獣人は愛情深く、その執着ゆえに伴侶が逃げ出すとき、獣人の夫が伴侶に仕置きをするところだ。
今夜もまた一人、里から出ようとして仕置き小屋に連れられてきた少女がいた。
仕置き小屋にあるものを見て、彼女は……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる