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支配の騎士と夜空
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しおりを挟む「…楓っ…ごめん。…君を俺はっ…本当にっ…」
「隆虎さんっー!!」
そんな会話にならない言葉を、俺は泣きすがるように叫びながら。
俺の中で、ドクドクとはじけるように放たれる、生暖かい液体をこの身で感じながら…。
ーーこの背徳的な行為に、俺はゾクゾクとした興奮と、
彼に支配されることに対して、言い知れぬ喜びを感じて。
知らぬ間に、俺も勢いよく股間から白い液体を、コポコポと吐き出していたので。
「隆虎さんっ…!!俺もっ…すき…」と、そう呟こうとしたら…。
目の前が、突如真っ白になり。
ーー気がつけば、俺一人だけに、なって居たので…。
俺は一体何があったのかわからないまま、
薄暗い世界で輝くプラネタリウムの星を、不安そうに見つめながら。
自分の体を抱きしめかのように、触れると。
そこには、柔かな布の触感があって…。
(俺はいつの間に服を着たのだろうか、いやいつの間に着せられたのだろうか…)とそう思いながら。
ズキズキと痛む腰を抑え、ふらふらとしたぎこちない歩みで。
この霊廟のように静まり返ったプラネタリウムから、俺は逃げだし、
エントランスの方へ、ゆっくりと歩きながら…。
受付だと思われる場所に置いてある電話に、静かに手をかけようとしたら…。
なんとそこには。
一本の割れたウィスキーのボトルと、
中身の入った何処かの貴族が使っていたようなショットグラスが、置いてあったので。
俺はそれを見て、思わず泣きそうになった。
ーー何故ならそれは、隆虎さんが俺のバーで、
一番好きだと言っていた銘柄のウィスキーだったからだ。
「隆虎さんっ…なんでこんなことをっ…ほんとうに酷い、酷いよっ…こんなのっ…」
俺はそう苦しみもがくように言いながら、隣にあるショットグラスに手をかけて。
彼と過ごしたバーでの思い出を、思い返すかのようにその中身を飲み干せば。
喉を焼けるようなウィスキーの味わいが、口いっぱいにひろがって…。
この酷い有様な自分に、ぴったりな味だと、
ふとそう思いながら…。
エントラスの入り口から少しずつ差し込む朝日を、
ぼんやりと見つめて、
俺を心配しているであろう姉に、静かに電話をかけつつ。
こう、小さく呟いた。
「夜明け前に、ウィスキーを」
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