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支配の騎士と夜空

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「…そうですね。だいぶ時間も遅くなってきましたし、

あんまり遅くなると、俺途中で寝ちゃいそうです」と、少し眠気を感じたように目をこすりながら言えば。


「それは、それはいけないな…。君が寝てしまわないうちに、


今すぐにでも見ないといけないな」と隆虎さんは答え。


俺をプラネタリウムへと、連れて行ってくれたので。

俺は唯々目の前に広がるドーム状の天井と、黒色の布で覆われた座席を横目に見ながら。

プラネタリウムの機械がある一番前まで進み、


そして、


ピタリとある席の前で止まった隆虎さんを、俺はじっと見つめながら彼に続くかのように、

そこの近くで止まると…。


なんとそこには、


黒色ではなく赤い『まるでこの席だけ特別というかのように、

素材も違う高級な席が』一つ置かれていたので…。


俺はその一つだけ違う席を見て、思わずこう呟く。


「ここだけ、なんで違うんだろう」


「うん?ああ…。これはね、この席だけが、特別だからだよ」


「ええっ…、そうなんですか!?」


「ああ、そうさ。

この席はこのプラネタリウムを作った人物がもっとも大切にしていた一人息子のフラントっていう、

泣き虫で怖がりだけど⋮星を見るのが大好きな子のために、用意した席なんだ」


隆虎さんはそう言いながら、赤い席の隣にゆっくりと腰を下ろすので、

俺は「そうだったんですね」とそう返しながら、赤い席を避けて座ろうと、一歩前に足を出したら、

それをみた隆虎さんに、こう言われた。


「おいおい楓?君の席はその赤い席だぞ」


「へぇっ!?…俺がこの席に座るんですか?」


「そうだよ。ここに座るのは君だよ楓」


「でも、この席って、このプラネタリウムを作った方の息子さんのための席だって、

隆虎さん言ってましたよね。それなのに、俺なんかが座っていいんですか?」


そう思わず俺は言いながら、


『まさか、ここに座れ』と言われるとは思っていなかったので。


とても困惑した表情を浮かべながら、隆虎さんの顔を見れば…。

いつもとはありえないぐらい、真剣な表情をしながら。


「…楓、確かにこの席はフラントのものだ。でも心優しいフラント君なら、

きっと君が座っても許してくれるよ。だから、お願いだから君はここに座るんだ。良いね」


と笑っているけど、どこか泣きそうな顔を見せながらそう言うので、

俺はもうその言葉に、従うことしか出来なくて…。


「わかりました」とそう返せば。

「うん良い子だ。じゃあ星を見よう、きっと見れば心が踊るよ」

そう隆虎さんは笑って言って、パチりと指を鳴らすと。

あたりの照明は全て落ち、天井にたくさんの星々が浮かび上がってくるので…。

俺はどうしてそうなったのかが、わからず。


驚いた顔をしながら


「今のって魔法ですか?」と問いかければ。


隆虎さんは不思議そうな顔をしながら、



「そうだけど…。もしかして楓は、魔法を知らないのか?」




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