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支配の騎士と夜空
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しおりを挟む「…楓?」
「えっ、あっ、はい何ですか、隆虎さん」
「…こいうのは初めて?」
「な、なんで初めてだと…。お、思うんです?」
隆虎さんの意地悪な声で「初めて?」と問われたので、
俺は図星だとバレないように、
そう言おうと思ったが逆にどもり過ぎて、
『初めてです』と言っているような言葉を、紡いでしまったので…。
「おいおい、そこまでどもるなよ…。別に初めてが悪いってことないし、むしろ初めてなら、
ちゃんとエスコートしてやるから」
と俺の手をぎゅっと握りながら、腰に手を回してからて、
続けて「素直にそう言え楓、いいな」と命令するかのような口調で、言われてしまったので…。
俺は絶対的な支配者に従う奴隷のように、
何故だが分からないが、その言葉に従わなければならないと考え。
気がつけば口から「俺、初めてなんです」という言葉を、吐き出していた…。
そんな俺の言葉を聞いた隆虎さんは「よしいい子だ」と、笑みを見せながら言って、
俺をプラネタリウムの入り口までエスコートしてから、入り口の扉をゆっくり開けるので。
俺はそれを唯々じっと見つめると、なんとそこには…。
薄暗く広がる大きなエントランスと、暗くてよく見えないのだが、
とても可愛らしい熊と星の絵が沢山描かれている壁が広がっており、床には赤の絨毯が轢かれていたので…。
俺は、子供の部屋のような可愛らしい雰囲気のする内装を見て、
まさか、
外から見たら蔦だらけのボロボロの廃墟が、
ここまで綺麗で可愛い室内だったなんて…と、そう思いながら。
「すごーい。中はこんなに綺麗…」と呟けば、
「少し待て、今から灯りをつけるから。明るくなればさらに良いぞ」と隆虎さんは、そう返してくるので、
俺は「本当ですか」と、嬉しく笑ってそう返した。
そんな俺の言葉を聞いた隆虎さんは、部屋の明かりをつけて。
壁に描かれた絵を見ながら、
「どうだ、素敵だろう」と、何かを思い出すかのように言うので。
俺は明かりがついた部屋を、くるくると見渡しながら。
「そうですね…。この壁の絵、まるで絵本に出てくる熊みたいです」と素直な感想を言えば。
いつのまにか俺の側にきていた隆虎さんに、頭を思いっきり撫でられ、
いい子いい子と、そう言うかのように、撫でられたので…。
「もう、隆虎さん俺は子供じゃないですっ!!」と、むくれた顔をしながらそう言えば。
「はははっ!!良いじゃないか。俺からしたらまだまだ楓は、子供だぞ」と返されたので。
「なっ…。もう俺が年下だからって、からかうのはよしてくださいよ」とそう言い返したら。
「ええー、なんだよ?俺は、事実を言ったまでなんだけどね」と不服そうに言いながら続けて、
「まあ、そんなことは置いといて、そろそろ星を見ないか?」と、
話を変えるように、隆虎さんはそう言ってきたので…。
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