1 / 22
支配の騎士と夜空
01
しおりを挟む落ち着いた音楽が流れるレコードと、ダークブラウンで統一したバーカウンター。
棚には姉さんが揃えた、色とりどりのリキュールと、ワインとウィスキー。
バーテンダーとしては、まだまだ未熟な俺にとって、身に余るほどのものたちばかりで。
店に来るたび、もっと早く、一人前のバーテンダーにならなくてはと思ってしまう。
何故なら、今の俺はバーテンダーとしての実力よりも、この見た目の方が人気で、
俺としては、不甲斐ないことに尽きないのだが…。
どうやら、思わず触りたくなる砂茶色のボブヘアーと愛くるしいこげ茶の瞳が、
堪らなく魅力的な可愛いバーテンダーとして、何故か人気が出てしまったので。
…ほんと、どうしてこうなってしまったのかと、小一時間程考えたくなるが、
どうせ考えても、埒が開かないことなので。
自分の未熟さ故に、こうなってしまったんだなと思いながら。
一つ、ため息をつくと。
チリーンと、店の扉が開く音が聞こえたので…。
俺は音と共にゆっくりと開く黒の扉を、見つめながら見覚えのある人物に思わず、
とびっきりの笑顔を浮かべて。
「今日も、きてくださったんですね。隆虎さん」と、
そう隆虎さんと呼ばれた人物に、笑顔を見せながら話かければ、
俺の見せたとびっきりの笑顔のお返しと言わんばかりに、優しい笑顔を見せて。
「まあね。楓の入れてくれるお酒を、今日も飲みたいたからね」と返してくるので。
俺はそんな隆虎さんの嬉しそうな顔を見て、
ついつい嬉しくなる。
(だって、隆虎さんは数少ない俺の入れたお酒を楽しんでくれる常連客の一人で、
クセのある焦げ茶色のミディアムヘアーに、キリッとした茶色の瞳、
ワイシャツとジーパンという、ラフな服装なのに何故か品があって、男の俺でもクラクラするほどの、
優しいけど何処か言い知れぬ怪しい魅力を持った人で…)
(ああ、ほんとこんなカッコいい人が、うちの常連客になってくれるとは、夢にも思わなかったな)と。
そう心の中で思いながら、
カウンター席へゆっくりと腰掛ける隆虎さんに、俺は水とおしぼりを手渡した。
すると、
「ありがとう楓」と隆虎さんはそう優しい声音で言いながら、
おしぼりを受け取って、長く男らしい指を一つ一つ拭き始めるので…。
俺はその行為を横目でじっと見ながら、こう彼に話しかける。
「隆虎さん、今日は何から飲まれますか?」
「そうだな…?今日はウィズ・バングかな」
「…ウィズ・バングですね。わかりました」
俺はそう注文した隆虎さんに笑顔で言い返しながら、心の中で。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
公開凌辱される話まとめ
たみしげ
BL
BLすけべ小説です。
・性奴隷を飼う街
元敵兵を性奴隷として飼っている街の話です。
・玩具でアナルを焦らされる話
猫じゃらし型の玩具を開発済アナルに挿れられて啼かされる話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる