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(凄いです。これが鳥さん達がいつも見ている光景なんですね…。あと今日の夜空も綺麗で、なんだか私ってある意味ラッキー?)と思って、この出来事をふわふわとした気持ちで、体験していると。
テスカトルは丁度良い場所を見つけたのかは分からないが、上空から地上へと。人ではない者だから出来る動きで降りて、抱きかかえていた雪白を優しく地に降ろし…。
二人は、メソアメリカにある古代文明の神殿のような場所の入り口の前で。
「…さっきの言葉は忘れろ、良いな。あと、さっさと行くぞ雪白。それともここで死にたいのか?」
「えっ…ちょっとそう脅さないでくださいよ、すぐに行きますから」
雪白は追いかけるように歩いて、石造りで造られた神殿の特徴的な壁画をじっと見つめながら。
(なんかこの壁画、マヤ・アステカの生贄の祭壇みたいな雰囲気がありますね…。というかここ、日本なのになんで…遠く離れた場所の遺跡が在るのかな? まさか…私、知らぬ間に新しく出来たテーマパークに迷い込んでしまったのでは? きっとそうだ、だからテスカトルさんに獣耳と尻尾があるんだ!! あれはゲストを楽しませるように着けてるヤツですね)
そう考えて、明らかに見てヤバそうな雰囲気がしている神殿の中に。
アトラクションを並ぶ感覚で、雪白は入って行けば。
神殿の中には何かの儀式を図にした壁画が、天井までびっしりと描かれており…。中央には石で造られた何処か恐ろしくもある石像が、一つだけ置いてあるので。雪白は『此れは何でしょうか?』という感じにふらふらと、その石像の近くにまで歩いて行くのを。
「おいおい、勝手に歩くな。お前は死にたいのか?」
と強く言い放つテスカトルに止められて…。
そのまま彼に引っ張られるように、壁画で彩られた通路を10分程歩き。
━━この神殿の最深部のような場所に、辿り着いたところで。
「今日はここで、休め。じゃないと…お前は俺の半身でもある俺の兄に無惨に殺されるだろう」
「えっ…そんな…。嘘ですよね?」
「嘘ではない、だが…お前がここで大人しく眠って居れば。お前は生き残るだろう…。良い匂いを嗅がせてくれたお礼に、この俺が一晩だけ護ってやるから」
「テスカトルさん…ありがとうございます。本当にありがとうございます。あと、私の動物に好かれる不思議な匂いを好きになってくださって本当に本当に、ありがとうございます」
雪白はそう微笑んで、心からの感謝を告げれば。
「ああ好きだぞ、獣を惑わす香りもお前自身もな」
「へぇっ…それって、まさか!?」
「ああ、そのまさかだ。お前の血肉は、とても美味しそうだからな」
テスカトルは丁度良い場所を見つけたのかは分からないが、上空から地上へと。人ではない者だから出来る動きで降りて、抱きかかえていた雪白を優しく地に降ろし…。
二人は、メソアメリカにある古代文明の神殿のような場所の入り口の前で。
「…さっきの言葉は忘れろ、良いな。あと、さっさと行くぞ雪白。それともここで死にたいのか?」
「えっ…ちょっとそう脅さないでくださいよ、すぐに行きますから」
雪白は追いかけるように歩いて、石造りで造られた神殿の特徴的な壁画をじっと見つめながら。
(なんかこの壁画、マヤ・アステカの生贄の祭壇みたいな雰囲気がありますね…。というかここ、日本なのになんで…遠く離れた場所の遺跡が在るのかな? まさか…私、知らぬ間に新しく出来たテーマパークに迷い込んでしまったのでは? きっとそうだ、だからテスカトルさんに獣耳と尻尾があるんだ!! あれはゲストを楽しませるように着けてるヤツですね)
そう考えて、明らかに見てヤバそうな雰囲気がしている神殿の中に。
アトラクションを並ぶ感覚で、雪白は入って行けば。
神殿の中には何かの儀式を図にした壁画が、天井までびっしりと描かれており…。中央には石で造られた何処か恐ろしくもある石像が、一つだけ置いてあるので。雪白は『此れは何でしょうか?』という感じにふらふらと、その石像の近くにまで歩いて行くのを。
「おいおい、勝手に歩くな。お前は死にたいのか?」
と強く言い放つテスカトルに止められて…。
そのまま彼に引っ張られるように、壁画で彩られた通路を10分程歩き。
━━この神殿の最深部のような場所に、辿り着いたところで。
「今日はここで、休め。じゃないと…お前は俺の半身でもある俺の兄に無惨に殺されるだろう」
「えっ…そんな…。嘘ですよね?」
「嘘ではない、だが…お前がここで大人しく眠って居れば。お前は生き残るだろう…。良い匂いを嗅がせてくれたお礼に、この俺が一晩だけ護ってやるから」
「テスカトルさん…ありがとうございます。本当にありがとうございます。あと、私の動物に好かれる不思議な匂いを好きになってくださって本当に本当に、ありがとうございます」
雪白はそう微笑んで、心からの感謝を告げれば。
「ああ好きだぞ、獣を惑わす香りもお前自身もな」
「へぇっ…それって、まさか!?」
「ああ、そのまさかだ。お前の血肉は、とても美味しそうだからな」
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