1 / 5
人生の苦楽のようなブラックコーヒーに砂糖をおとせ
しおりを挟む
ブラウンで無個性に近いほどシンプルなテーブルと椅子が並ぶ、
都心の地下街にある少しだけ穴場の喫茶店の中で、
俺は小さく「どうしよう」と呟いて。
黒のビジネスバックから、緑のスマホケースに入れた愛用のスマホを取り出して。
この場所に、ここ最近ずっと話したくてたまらない…。
会社の同僚で、俺なんかより頭も見た目も良く。
ニッコリと笑えば、どんな相手もイチコロといえるかのような。
会社きっての黒髪好青年な川咲明に、
「話があるんだけど…今すぐ喫茶カティーピカに来れる?」と連絡すれば。
「話ですか…わかりました。
今そちらに向かいますね…というかその俺も#暗さん_あんさん__#とお話したかったので、
ベストタイミングですよ」と明はそう答えて、ぶつりと電話を切るので。
俺はツーツーと切れた電話の音を聞きながら、喫茶店のウェイターを呼んで。
ウェイターが「御注文は?」と優しく問いかける声と同時に、
スマフォをテーブルの上に置いて。
「アイスコーヒーを一つください」とそう言って、彼が来るまでの時間を。
冷たくて、ほろ苦い…。
人生の苦楽のような、暗い色のブラックコーヒーを。
俺は人生の苦楽に怯えるかのように、ちびちびとストローでゆっくりと半分程飲みほせば。
「すみません、お待たせしてしまって」
と明るくて、低い男らしい明の声が耳に聞こえてきたので。
「いや、そんなに待ってない…というか、むしろ急に呼んでこっちがごめんだよ」
俺はそう謝るように言いながら、
灰色系統のビジネススーツを身にまとった明の顔に視線を向ければ。
その視線にすぐ気がついた明は、
「暗さん、俺の顔に何かついてます…?」
と不思議そうな声音で聞いてくるので。
「いや、別に何にもついてないよ…というか、座りなよ!!流石にずっと立ってるのはね…」
「そ、そうですね。確かに、店員さんが困ってしまいますね…」
「だろ、だからこっち座りなよ」
俺はあわあわとした声を出しながら、俺と向き合う位置になるように明を座らせて。
「これ、メニューな」とそう無愛想に白色のメニュー表を渡せば。
そんなぶっきら棒な俺が、どこかおかしかったのか分からないが…。
「ちょっと暗さんっ…そんな風に、子供っぽくしなくてもいいですよ。ほんと暗さんは面白いな」とクスクスと笑ってメニューを受け取るので。
「子供っぽくなんかないから…というか…もう、そいう風に笑うなよ…」
「嗚呼、すみません…不快ですよね、ほんとごめんなさい気が利かなくて」
「えっ…あっ…その、違うんだ…。ほんと違うんだ…むしろ、
そいう風に笑われると…カッコ良すぎて、ドキドキするから」
「…それは、さらにすみませんですね」
明は俺の発言に顔を真っ赤にさせながら、照れたようにそう言ってから。
近くに来ていたウェイターに、アイスティーを一つくださいと注文するので。
(俺、うっかり何を言ってるんだよ馬鹿っ…)と心の中だけで、
反省するかのように言いながら。
残しておいたアイスコーヒーを、ストローで一気に飲みほして。
空いたグラスをテーブルの隅に追いやれば。
一連の行動をずっと見ていた明は、そんな俺に…。
都心の地下街にある少しだけ穴場の喫茶店の中で、
俺は小さく「どうしよう」と呟いて。
黒のビジネスバックから、緑のスマホケースに入れた愛用のスマホを取り出して。
この場所に、ここ最近ずっと話したくてたまらない…。
会社の同僚で、俺なんかより頭も見た目も良く。
ニッコリと笑えば、どんな相手もイチコロといえるかのような。
会社きっての黒髪好青年な川咲明に、
「話があるんだけど…今すぐ喫茶カティーピカに来れる?」と連絡すれば。
「話ですか…わかりました。
今そちらに向かいますね…というかその俺も#暗さん_あんさん__#とお話したかったので、
ベストタイミングですよ」と明はそう答えて、ぶつりと電話を切るので。
俺はツーツーと切れた電話の音を聞きながら、喫茶店のウェイターを呼んで。
ウェイターが「御注文は?」と優しく問いかける声と同時に、
スマフォをテーブルの上に置いて。
「アイスコーヒーを一つください」とそう言って、彼が来るまでの時間を。
冷たくて、ほろ苦い…。
人生の苦楽のような、暗い色のブラックコーヒーを。
俺は人生の苦楽に怯えるかのように、ちびちびとストローでゆっくりと半分程飲みほせば。
「すみません、お待たせしてしまって」
と明るくて、低い男らしい明の声が耳に聞こえてきたので。
「いや、そんなに待ってない…というか、むしろ急に呼んでこっちがごめんだよ」
俺はそう謝るように言いながら、
灰色系統のビジネススーツを身にまとった明の顔に視線を向ければ。
その視線にすぐ気がついた明は、
「暗さん、俺の顔に何かついてます…?」
と不思議そうな声音で聞いてくるので。
「いや、別に何にもついてないよ…というか、座りなよ!!流石にずっと立ってるのはね…」
「そ、そうですね。確かに、店員さんが困ってしまいますね…」
「だろ、だからこっち座りなよ」
俺はあわあわとした声を出しながら、俺と向き合う位置になるように明を座らせて。
「これ、メニューな」とそう無愛想に白色のメニュー表を渡せば。
そんなぶっきら棒な俺が、どこかおかしかったのか分からないが…。
「ちょっと暗さんっ…そんな風に、子供っぽくしなくてもいいですよ。ほんと暗さんは面白いな」とクスクスと笑ってメニューを受け取るので。
「子供っぽくなんかないから…というか…もう、そいう風に笑うなよ…」
「嗚呼、すみません…不快ですよね、ほんとごめんなさい気が利かなくて」
「えっ…あっ…その、違うんだ…。ほんと違うんだ…むしろ、
そいう風に笑われると…カッコ良すぎて、ドキドキするから」
「…それは、さらにすみませんですね」
明は俺の発言に顔を真っ赤にさせながら、照れたようにそう言ってから。
近くに来ていたウェイターに、アイスティーを一つくださいと注文するので。
(俺、うっかり何を言ってるんだよ馬鹿っ…)と心の中だけで、
反省するかのように言いながら。
残しておいたアイスコーヒーを、ストローで一気に飲みほして。
空いたグラスをテーブルの隅に追いやれば。
一連の行動をずっと見ていた明は、そんな俺に…。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
溺愛前提のちょっといじわるなタイプの短編集
あかさたな!
BL
全話独立したお話です。
溺愛前提のラブラブ感と
ちょっぴりいじわるをしちゃうスパイスを加えた短編集になっております。
いきなりオトナな内容に入るので、ご注意を!
【片思いしていた相手の数年越しに知った裏の顔】【モテ男に徐々に心を開いていく恋愛初心者】【久しぶりの夜は燃える】【伝説の狼男と恋に落ちる】【ヤンキーを喰う生徒会長】【犬の躾に抜かりがないご主人様】【取引先の年下に屈服するリーマン】【優秀な弟子に可愛がられる師匠】【ケンカの後の夜は甘い】【好きな子を守りたい故に】【マンネリを打ち明けると進み出す】【キスだけじゃあ我慢できない】【マッサージという名目だけど】【尿道攻めというやつ】【ミニスカといえば】【ステージで新人に喰われる】
------------------
【2021/10/29を持って、こちらの短編集を完結致します。
同シリーズの[完結済み・年上が溺愛される短編集]
等もあるので、詳しくはプロフィールをご覧いただけると幸いです。
ありがとうございました。
引き続き応援いただけると幸いです。】
首輪 〜性奴隷 律の調教〜
M
BL
※エロ、グロ、スカトロ、ショタ、モロ語、暴力的なセックス、たまに嘔吐など、かなりフェティッシュな内容です。
R18です。
ほとんどの話に男性同士の過激な性表現・暴力表現が含まれますのでご注意下さい。
孤児だった律は飯塚という資産家に拾われた。
幼い子供にしか興味を示さない飯塚は、律が美しい青年に成長するにつれて愛情を失い、性奴隷として調教し客に奉仕させて金儲けの道具として使い続ける。
それでも飯塚への一途な想いを捨てられずにいた律だったが、とうとう新しい飼い主に売り渡す日を告げられてしまう。
新しい飼い主として律の前に現れたのは、桐山という男だった。
潜入捜査でマフィアのドンの愛人になったのに、正体バレて溺愛監禁された話
あかさたな!
BL
潜入捜査官のユウジは
マフィアのボスの愛人まで潜入していた。
だがある日、それがボスにバレて、
執着監禁されちゃって、
幸せになっちゃう話
少し歪んだ愛だが、ルカという歳下に
メロメロに溺愛されちゃう。
そんなハッピー寄りなティーストです!
▶︎潜入捜査とかスパイとか設定がかなりゆるふわですが、
雰囲気だけ楽しんでいただけると幸いです!
_____
▶︎タイトルそのうち変えます
2022/05/16変更!
拘束(仮題名)→ 潜入捜査でマフィアのドンの愛人になったのに、正体バレて溺愛監禁された話
▶︎毎日18時更新頑張ります!一万字前後のお話に収める予定です
2022/05/24の更新は1日お休みします。すみません。
▶︎▶︎r18表現が含まれます※ ◀︎◀︎
_____
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる