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しおりを挟むなんて、最悪な朝なんだろうか。
目覚めと同時にそう考えつく程、身体全体が鉛のように重く…。
ベッドから起き上がろうと、無理やり体を動かせば…。
頭が割れるような痛みが私を襲い、その殴られるような痛みのせいで、思うように手足すら動かせなかった…。
まさに、危機的状態と言っていい出来事に…。
私は、思わず笑いたくなったが…。
笑った所で、この不愉快な出来事は解決しないので。
唯々痛む頭と、重い身体を起こしながら…。
昨夜の事を思い出せば…。
(確か、職務の帰りに…。突如現れた管理者ジリルミストに、意味もなく。喧嘩を吹っかけられて…)
(私はわざわざ喧嘩をかうのも、鬱陶しいと考え)
その時は、確か奴を無視して、歩き出そうと後ろを向いたら…。
ーーいつの間にやら銃を片手に持っていた、ジリルミストに撃たれ…。
左手に鋭い痛みを感じたような、感覚があったので。
「…嗚呼、なるほど。私はあいつに左手を撃たれたのだな」と私はそう呟き。
閉じていた紫と赤の瞳を開きながら、昨日の出来事についての怒りを露わに出すように。
低い声で、
「そうか、そうだったか」
「…全く興味の湧かない、ジリルミストとの出来事のせいで。すっかり記憶から抹消していたな…」
と言い放ちながら…。
心の中で、
(まあどうせ…。その怪我もその時に、魔術ですぐに治したのだろうと、考えながら…)
ふと、一つの疑問が頭に浮かんだ。
ーーそう、それは。
私は傷は治したが、血まで、戻したかという疑問で…。
正直にいえば、昨日の記憶がすっかり無くなってしまっているので…。
なんとも、言い難い状態だが…。
どう考えても、この朝の大惨事は。
血を大量に流したせいによる血液不足。
「なるほど…。今の私は血を流しすぎて、血が足りない状態なのだな…」と、
自分で自分を診察しながら…。
いうことがあまり効かない右手を無理やり動かし。
おでこに手を当てて、額に汗をかいているのか、それともかいてないのかを確認すれば…。
どうやら冷や汗だけは、まだでていないということが分かったので。不幸中の幸いと思いながら…。
重いため息を、つこうとした時。
コンコンコンと、優しく叩くノックの音と、
「ランゼルト様 アキツシマです。本日の職務のことで、お話がありまして…」という。
今もっとも逢いたくて、逢いたくない。愛しきアキツシマの可愛らしい声が、聞こえてきたので…。
私は思わず心の中で、
『なんてことだ…。この最悪な状態の時に、アキツシマが来てしまうなんて…』と呟き。
鈍く重い体を無理やり動かし、ベットから勢いよく立ち上がりながら…。
彼の元へと早く行かねばと思い、
ふらつく足で一歩前へと、歩みを進め…。
ーーふと、自分の格好はちゃんとしているのか?
身なりは、どうなっているのか?
という、不安に襲われたので…。
私は思わず、近くにあった鏡に視線を向け。
自分の姿がどうなっているのかを、確認すると…。
嗚呼、そこには…。
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