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第五話 オーメの試練
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「騎冬っ…。ねぇ…騎冬っ…」
耳元でそう俺を呼ぶ紫士の声に俺はハッとした表情で目を開ければ。
そこには、心配そうに眉を逆はの字にした紫士がいて。
俺は、
(ここまで彼の顔がはっきり見えるという事は…あの煙はなくなったのか)
ということを頭の中で呟きながら。
「わりぃ…姫、ちょっと姫雪白の事を考えてた」
「雪白の事だと…。まあ確かに、それは考えるな…いや考えるのは当然だ」
「やっぱり、心配になるよな…。ここまで離れてると」
俺はそう言って、抱きしめていた手を離して。
紫士から少し離れると…。
「嗚呼だからこそ、私達はこの元凶である人物に、物申しに行かねばならないね」
と紫士は血のついたナイフを片手に持って、この血をつけたあの男に
言うかのように宣告するので。
俺はそんな紫士を見て、
(俺も姫達の為に頑張らないと、だって俺が騎士なんだから…)と、
自分を奮い立てさせて。
持ってきている形見の刀を、さらにぎゅっと強く握りしめて。
回廊の奥にかすかに見える髑髏に扉の前まで、俺達は走り。
そして、扉の前まで辿り着いたと同時に。
ナイフの柄と刀の柄で、扉を破壊するような勢いで扉を開ければ。
ーーなんと、そこには…。
大きな広間のような空間があいており、
そして床には真っ赤な絨毯のようなものが敷いてあったので。
「何だよこれ…。まるで、謁見の間みたいだ」と俺はそう言えば。
「そうだね。きっと、ここは謁見の間だと…思う。
でも、私達が知っているものよりここは…悪質で悪趣味だ。
だってほら、よく見てみて?床に敷いてあるこれは…本当は白色だよ」
紫士はそう冷ややかに言いながら、床に敷かれた絨毯の一部を指差して。
「ほら、ここだよ…。ここだけ白色だよね?」とさらに付け加えるので…。
「うげっ…本当だ、ここだけ白い…ってことは、
ここに敷いてある絨毯…全部血で染まってるって事かよ…」
「…そうなるね。ほんと、気持ちが悪くなりそうだよ。ここまでされるとね」
「だな…流石に、これは吐きそうだ」
俺は紫士の言葉にこう返しながら、絨毯が敷いてない床の部分だけを踏んで前に進み。
広間の中央にある謎の石像のところまで、辿り着いたところで…。
そこに置いてある石像を、じっと凝視するように見つめれば。
その石像は、どこか自分に似たような顔をしていたので。
俺は言い知れぬ気持ち悪さと、何故『自分にそっくりなのか』という謎に堪らず。
「あり得ない…なんで、俺と同じ顔なんだよっ…」と疑問交じりに言えば、
急ぎ足で、俺の側にまで来てくれた紫士が。
「えっ…騎冬には、この石像の顔が見えるの?」と言葉を返すので。
「はぁっ…どいう事だよ姫?こんなにはっきり見えるのに、姫には見えないのか?」
「そうだよ、残念だけど。私には…顔のない石像にしか見えないんだっ…!!」
そう紫士は申し訳なさそうに言いながら、自身の口元に手を置いて…。
何かの策を考えるような素振りを俺に見せるので。
俺はそんな姫を横目に、
(なんで、どうして…?どうして、
姫には見えないんだ…?あんなにはっきり俺の顔なのに…。何故なんだろう)と。
そんな疑問を、ひたすら頭の中だけで唱えれば。
ふと耳元に、何かがパラパラと落ちる音が聞こえてきて…。
俺は何事だ?と思いながら、かすかに音がする方へ視線を向けると。
どうやら、この音は石像の頭上付近から出ている様子だったので。
「上に何かあるのか?」とそう俺は小さく言いながら、刀を構えて。
ーーいつでも挑めるようにすれば。
ギロリと、天井あたりの暗闇から…金色の目が、突如現れ。
その目は俺を嘲笑うかのように、じっと見つめてから。
俺に飛びかかるように襲ってくるので。
俺は持っている刀で、その金色の目のような球体を叩けば。
耳元でそう俺を呼ぶ紫士の声に俺はハッとした表情で目を開ければ。
そこには、心配そうに眉を逆はの字にした紫士がいて。
俺は、
(ここまで彼の顔がはっきり見えるという事は…あの煙はなくなったのか)
ということを頭の中で呟きながら。
「わりぃ…姫、ちょっと姫雪白の事を考えてた」
「雪白の事だと…。まあ確かに、それは考えるな…いや考えるのは当然だ」
「やっぱり、心配になるよな…。ここまで離れてると」
俺はそう言って、抱きしめていた手を離して。
紫士から少し離れると…。
「嗚呼だからこそ、私達はこの元凶である人物に、物申しに行かねばならないね」
と紫士は血のついたナイフを片手に持って、この血をつけたあの男に
言うかのように宣告するので。
俺はそんな紫士を見て、
(俺も姫達の為に頑張らないと、だって俺が騎士なんだから…)と、
自分を奮い立てさせて。
持ってきている形見の刀を、さらにぎゅっと強く握りしめて。
回廊の奥にかすかに見える髑髏に扉の前まで、俺達は走り。
そして、扉の前まで辿り着いたと同時に。
ナイフの柄と刀の柄で、扉を破壊するような勢いで扉を開ければ。
ーーなんと、そこには…。
大きな広間のような空間があいており、
そして床には真っ赤な絨毯のようなものが敷いてあったので。
「何だよこれ…。まるで、謁見の間みたいだ」と俺はそう言えば。
「そうだね。きっと、ここは謁見の間だと…思う。
でも、私達が知っているものよりここは…悪質で悪趣味だ。
だってほら、よく見てみて?床に敷いてあるこれは…本当は白色だよ」
紫士はそう冷ややかに言いながら、床に敷かれた絨毯の一部を指差して。
「ほら、ここだよ…。ここだけ白色だよね?」とさらに付け加えるので…。
「うげっ…本当だ、ここだけ白い…ってことは、
ここに敷いてある絨毯…全部血で染まってるって事かよ…」
「…そうなるね。ほんと、気持ちが悪くなりそうだよ。ここまでされるとね」
「だな…流石に、これは吐きそうだ」
俺は紫士の言葉にこう返しながら、絨毯が敷いてない床の部分だけを踏んで前に進み。
広間の中央にある謎の石像のところまで、辿り着いたところで…。
そこに置いてある石像を、じっと凝視するように見つめれば。
その石像は、どこか自分に似たような顔をしていたので。
俺は言い知れぬ気持ち悪さと、何故『自分にそっくりなのか』という謎に堪らず。
「あり得ない…なんで、俺と同じ顔なんだよっ…」と疑問交じりに言えば、
急ぎ足で、俺の側にまで来てくれた紫士が。
「えっ…騎冬には、この石像の顔が見えるの?」と言葉を返すので。
「はぁっ…どいう事だよ姫?こんなにはっきり見えるのに、姫には見えないのか?」
「そうだよ、残念だけど。私には…顔のない石像にしか見えないんだっ…!!」
そう紫士は申し訳なさそうに言いながら、自身の口元に手を置いて…。
何かの策を考えるような素振りを俺に見せるので。
俺はそんな姫を横目に、
(なんで、どうして…?どうして、
姫には見えないんだ…?あんなにはっきり俺の顔なのに…。何故なんだろう)と。
そんな疑問を、ひたすら頭の中だけで唱えれば。
ふと耳元に、何かがパラパラと落ちる音が聞こえてきて…。
俺は何事だ?と思いながら、かすかに音がする方へ視線を向けると。
どうやら、この音は石像の頭上付近から出ている様子だったので。
「上に何かあるのか?」とそう俺は小さく言いながら、刀を構えて。
ーーいつでも挑めるようにすれば。
ギロリと、天井あたりの暗闇から…金色の目が、突如現れ。
その目は俺を嘲笑うかのように、じっと見つめてから。
俺に飛びかかるように襲ってくるので。
俺は持っている刀で、その金色の目のような球体を叩けば。
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