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第1話怪しい森の噂
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それから暫くが経ち、俺は赤い丸が書かれた土曜日のカレンダーを。
教室ではなくて、剣術家が住んでいるような書院造でつくられた自室の中で見つめ…。
この日の為に、用意していた訳ではないが…。
祖父から受け継いだ形見の刀を、大事に布で包みながらこの後起きるであろう事を少しだけ頭の中で思い描いてから、一緒に行く紫士にスマートフォンで電話をかけると…。
「どうしたの…騎冬?何かあったのかな…」と、
とても優しくて落ち着きすぎた紫士の声が、耳に響いてきたので。
「何かあったって…もう、姫!! 今日は約束の日だって事、忘れてたのかよ…」
「いや、忘れてなんかないさ…。あとその件なんだけど、
どうやら雪白も一緒に行きたいみたい」
「姫雪白もですかっ…!! そうか…なら、俺いつもに増して全力で守ってみせるぜ!!」
俺はそう強く勇ましく紫士に言えば。
「騎冬そう勇まなくてもいいよ、
雪白は可愛いお姫様っぽい見た目だけど…意外と私より強いから」
「そうなのかっ…!!見た感じとってもふわふわしている天然さんで、
動物にめっちゃ好かれるお人形さんだから…その」
「騎冬…見た目なんかで、人の事を分かることなんてないよ…。君も私もそうだったようにね」
紫士は穏やかな声音で、天使が聖人に道を示すかのように囁くので。
「ああっ…ごめん、俺ってほんとダメだっ…。一番わかってるのに、自分で同じ事してた…」
「騎冬そう落ち込まないで、誰だって間違えるさ…でもこうやって気づけるだけ君は素晴らしいと思う。だから、落ち込まないで。私と一緒に行こう」
「姫…そうだな。うん、俺…姫と一緒に何処までも行くよ」
俺は天使の囁きに耳を貸す賢者のように、そう詩いながら電話を静かに切って。
大事に布で包んだ刀を持って、姫が待つであろう学校へ…。
俺は急ぎ足で向かう為に部屋から飛び出して、玄関の扉をいつもより速い速度で開けると…。
なんとそこには、スマホを片手に持っている紫士と、彼とは全く似つかない愛らしくて可愛らしい、御伽話から飛び出てきたような長い黒髪と青い目を持つ、彼の弟の姫士原雪白がいて…。
俺は絵に描いたようなお姫様な雪白の、けもの耳のようなくせ毛に今日も目を奪われて。
(いつか、ぴょこぴょこと動くのかな…)と心の中だけでそう呟けば。
「騎冬?雪白の髪に…気になるものがあるのかい?」
「えっ…あっ…!? そのっ…別に、何もないよ」
「…そう、なら良かった。てっきり雪白の髪に、何か、ついてるかと思ったよ」
紫士はそう言い放つように言いながら、雪白の方へと視線を向けるので。
(…俺、姫に失礼な事しちゃったな…。騎士として、なんたる行為だ)
と胸の中だけで反省しながら、雪白に謝るかのように。
「姫雪白、その…変な風に見てごめん」
「もう、なんですか三さん。私は別に何にも思ってませんよ…ほんと、
あと、兄さんはちょっと過敏なんですよ」
「なっ…悪いのか、誰よりも大事で、大切なものに対して、
過敏だと…。随分と言うようになったな雪白」
紫士は何処までも穏やかな声音で、俺たちにそう言う雪白にイラついたようなトゲのある言葉を吐くので。
「また、嫉妬ですか?ほんと、兄さん…。そいうのをなさると三さん困ってしまいますよ」
「えっ…いやその…俺は別に、こ、困らねぇよ」
「ほら、こんなに困ってますよ!!」
雪白は少し怒った声を出しながら、イラついてる紫士の腕をぐいぐいと引っ張り、恥ずかしがりの姫を騎士の元へ送り出す、お姉さん姫のような行動をするので。
「雪白っ…お前…ったく仕方がないな…」
「仕方がないのは兄さんの方ですよ、
まあでも。姫と騎士が隣に並ぶのはファンタジーっぽくて、とても素敵ですよね」
「…ファンタジーっぽいって、俺たちはただの学生だよ。
でもそいうのは夢があって俺は好きだ」
俺は見た目通りの発言をした雪白に笑ってそう言い返し、続けてこう何かに急ぐように言った。
「…ってことをしてる場合じゃなくてっ…!!
待ち合わせの所に早く行かないと!!さすがに、遅刻だけはしたくないぜ」
「そうだね。確かに、
あいつらの前でカッコ悪いところ見せたくないね…雪白もそう思うよね」
「…えっと、よくわからないですが急げってことですね兄さん。わかりました」
雪白はそうにこにこと無邪気な笑みをみせながら、全速力で学校に向かって走りだすので。
「ちょっと、姫雪白っ…!!これだからふわふわ天然は、困るんだよ!!」
と俺はそう泣き言をいうかのように叫びながら、雪白の後に続くように学校の前まで走り、
人影がある学校の校門前で、その足を止めて…。
ちらりと後ろを振り向けば、そこには少し息を乱した紫士が居て。
「ごめんね…雪白はこれだって思ったらすぐに行動する子だから、迷惑かけたね」と兄として俺に謝ってくるので。
「いやいや、姫が謝ることじゃないよ…むしろ、姫雪白のおかげで遅刻しなかったし、これもアリだっておもうぜ」
「そう言われたら、たしかにそうだね」
教室ではなくて、剣術家が住んでいるような書院造でつくられた自室の中で見つめ…。
この日の為に、用意していた訳ではないが…。
祖父から受け継いだ形見の刀を、大事に布で包みながらこの後起きるであろう事を少しだけ頭の中で思い描いてから、一緒に行く紫士にスマートフォンで電話をかけると…。
「どうしたの…騎冬?何かあったのかな…」と、
とても優しくて落ち着きすぎた紫士の声が、耳に響いてきたので。
「何かあったって…もう、姫!! 今日は約束の日だって事、忘れてたのかよ…」
「いや、忘れてなんかないさ…。あとその件なんだけど、
どうやら雪白も一緒に行きたいみたい」
「姫雪白もですかっ…!! そうか…なら、俺いつもに増して全力で守ってみせるぜ!!」
俺はそう強く勇ましく紫士に言えば。
「騎冬そう勇まなくてもいいよ、
雪白は可愛いお姫様っぽい見た目だけど…意外と私より強いから」
「そうなのかっ…!!見た感じとってもふわふわしている天然さんで、
動物にめっちゃ好かれるお人形さんだから…その」
「騎冬…見た目なんかで、人の事を分かることなんてないよ…。君も私もそうだったようにね」
紫士は穏やかな声音で、天使が聖人に道を示すかのように囁くので。
「ああっ…ごめん、俺ってほんとダメだっ…。一番わかってるのに、自分で同じ事してた…」
「騎冬そう落ち込まないで、誰だって間違えるさ…でもこうやって気づけるだけ君は素晴らしいと思う。だから、落ち込まないで。私と一緒に行こう」
「姫…そうだな。うん、俺…姫と一緒に何処までも行くよ」
俺は天使の囁きに耳を貸す賢者のように、そう詩いながら電話を静かに切って。
大事に布で包んだ刀を持って、姫が待つであろう学校へ…。
俺は急ぎ足で向かう為に部屋から飛び出して、玄関の扉をいつもより速い速度で開けると…。
なんとそこには、スマホを片手に持っている紫士と、彼とは全く似つかない愛らしくて可愛らしい、御伽話から飛び出てきたような長い黒髪と青い目を持つ、彼の弟の姫士原雪白がいて…。
俺は絵に描いたようなお姫様な雪白の、けもの耳のようなくせ毛に今日も目を奪われて。
(いつか、ぴょこぴょこと動くのかな…)と心の中だけでそう呟けば。
「騎冬?雪白の髪に…気になるものがあるのかい?」
「えっ…あっ…!? そのっ…別に、何もないよ」
「…そう、なら良かった。てっきり雪白の髪に、何か、ついてるかと思ったよ」
紫士はそう言い放つように言いながら、雪白の方へと視線を向けるので。
(…俺、姫に失礼な事しちゃったな…。騎士として、なんたる行為だ)
と胸の中だけで反省しながら、雪白に謝るかのように。
「姫雪白、その…変な風に見てごめん」
「もう、なんですか三さん。私は別に何にも思ってませんよ…ほんと、
あと、兄さんはちょっと過敏なんですよ」
「なっ…悪いのか、誰よりも大事で、大切なものに対して、
過敏だと…。随分と言うようになったな雪白」
紫士は何処までも穏やかな声音で、俺たちにそう言う雪白にイラついたようなトゲのある言葉を吐くので。
「また、嫉妬ですか?ほんと、兄さん…。そいうのをなさると三さん困ってしまいますよ」
「えっ…いやその…俺は別に、こ、困らねぇよ」
「ほら、こんなに困ってますよ!!」
雪白は少し怒った声を出しながら、イラついてる紫士の腕をぐいぐいと引っ張り、恥ずかしがりの姫を騎士の元へ送り出す、お姉さん姫のような行動をするので。
「雪白っ…お前…ったく仕方がないな…」
「仕方がないのは兄さんの方ですよ、
まあでも。姫と騎士が隣に並ぶのはファンタジーっぽくて、とても素敵ですよね」
「…ファンタジーっぽいって、俺たちはただの学生だよ。
でもそいうのは夢があって俺は好きだ」
俺は見た目通りの発言をした雪白に笑ってそう言い返し、続けてこう何かに急ぐように言った。
「…ってことをしてる場合じゃなくてっ…!!
待ち合わせの所に早く行かないと!!さすがに、遅刻だけはしたくないぜ」
「そうだね。確かに、
あいつらの前でカッコ悪いところ見せたくないね…雪白もそう思うよね」
「…えっと、よくわからないですが急げってことですね兄さん。わかりました」
雪白はそうにこにこと無邪気な笑みをみせながら、全速力で学校に向かって走りだすので。
「ちょっと、姫雪白っ…!!これだからふわふわ天然は、困るんだよ!!」
と俺はそう泣き言をいうかのように叫びながら、雪白の後に続くように学校の前まで走り、
人影がある学校の校門前で、その足を止めて…。
ちらりと後ろを振り向けば、そこには少し息を乱した紫士が居て。
「ごめんね…雪白はこれだって思ったらすぐに行動する子だから、迷惑かけたね」と兄として俺に謝ってくるので。
「いやいや、姫が謝ることじゃないよ…むしろ、姫雪白のおかげで遅刻しなかったし、これもアリだっておもうぜ」
「そう言われたら、たしかにそうだね」
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