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黒き眠り姫を起こすのは(強気受け)

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 ──これが最後のトドメだと、言わんばかりに。

「お前、アイツにまた嘘つかれたんだな。ほんと可哀想に……倫理観0のイカれサイコだし、適当なことを言って信じさせて……遊んでますわ。マジで、人格破綻者の考えは、分からないな。好きな奴にこんなこと、出来るなんて」

 ──そう、唯一の心の拠り所で。

『お前たちみたいな、何気ない素振りや何気ない言葉で、悪意を振りかざす愚か共に』

 どんな時でも俺の事を、心の底から大事に思ってくれている目線や、仕草で。

──誰よりも俺の事を考えて、行動してくれるあの人の事を……。

 ここまで侮辱されて、我慢なんか、出来る訳もなく。

「ふざけんじゃねぇよ。お前ら如きがあの人を悪く言うな、身の程を弁えろ。人格破綻者なのは、ここに居るお前とお前。ほんと、自己紹介ありがとうございますね……。ちゃんと私、覚えておきますので」と怒りで訳が分からないまま、心の底に隠していた、憤怒の思いを口から吐き捨てて……。

 ──そのまま、振り返ることもなく。

バーCowardから飛び出して、依頼主との待ち合わせ時間まで……。

 アール・ヌーヴォー様式がとてもお洒落で、落ち着ける。

街に一つしかない図書館に、俺は急足で向かい……。

 ──その施設にしかない、この世界に今まであったとされている音楽や、書籍などを。どんなキーワードでも、探し出せるデーターベースに。

『鏡の男がみた夢は愛の夢、眠り姫を起こすのは、気高き……』と打ち込めば。

 検索中と……数分でたあとに、白いページと『該当する結果はありません』という。
ある意味『死刑宣告』のような検索結果に、心がさらに不安で一杯一杯になって……。

 ふと脳裏で『どうして、アレクセイはこの歌を知っている……』と、そう言ってくれたのか、
そして、エリックとセシュの方が正しくて……。

 ──誰よりも俺の事を愛してくれるあの人が、間違っているのだろうか……。

 嗚呼一体、どっちが真実なんだろう。

 それを彼に聞きたくて、どうしても聞きたくて……仕方がないけど。
『君が僕に逢いたいって連絡を、夜まで我慢できたら……』というお願いを、俺は何があっても、破りたくなくて……。

 ──不安で、今にでも押し潰されそうになりながらも、彼と約束した時間まで……。

  今の俺に与えられた責務を、果たす為に。

問題を抱えた依頼主を、問題を抱えている俺が、今日も調査し助けるのだ。

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