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黒き眠り姫を起こすのは (健気受け)
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「アキ、謝らなくていい……。これも全て、あの人のせいだから……。気にするな」
「わかって、おります……でも……」
今にでも泣き出しそうなアキツシマに、ランゼルトは優しく宥めるかのような。 ──甘い口づけを、数回繰り返して『心配しなくても良い』と言葉ではなく態度で、そう彼に示すので。
「ラーニャ……っ……うん、もうわかりましたよ。本当に……」
「分かればいい、不安に思う事などないぞ。それに、こんなに見事な桜の前で、お前がポロポロと泣き出したら、駄目だろ? だから、笑ってくれないか」
「えっ……あっ……そうですね。私とした事が、過ぎ去った過去に囚われて、弱気になってしまいました……。ですが、今から元気もりもり、ご飯もぱくぱくです」と、
アキツシマは強く言いながら、ぎゅっと抱きしめているランゼルトを、振り解いて立ち上がり……。
──こう、アキダコ達に話しかける。
「アキダコちゃん達、少しだけ力を貸して? みんなで、素敵な贈り物を贈りましょう」
「おいおい、別に……。そんな事などしてくれなくても、いいのだが……」
「それでも、受け取ってくださいませ。じゃないと、嫌いになってしまいますよ?」
アキツシマは小悪魔的な笑みを浮かべてそう言いながら、一気に上空まで、飛び上がり……。
──天女のような舞を踊るように、くるりくるりと優美に踊り出せば……。
彼の眷属であるアキダコ達もそれに続いて、アキツシマの側で可愛く、踊り始めるので……。
それを見たランゼルトは、思わず。
「こんな……美しくて、素晴らしい舞を見たのは、初めてだ……。本当に凄すぎる」と、
『この世界で、最も美しくて芸術的なもの』を、この目で見た熱狂的なファンのように、大きな声を出して、楽し気に呟くので……。
「当然です、私はこの星の『芸術芸能を、管理している者』なんですから!!」
「そうだな……まさに、お前だから出来る技だな……。嗚呼本当に、こんなにも桜の見え方が変わるとは、すごく良い経験だよ……。有難う」と、
ランゼルトは幸せに満ち溢れた声音で、言いながら。
──この舞へのお礼として、生涯で一番の笑顔を、アキツシマ達へ贈ると……。
それを受け取ったアキツシマは、わぁっと歓喜の声をあげて。
「わかって、おります……でも……」
今にでも泣き出しそうなアキツシマに、ランゼルトは優しく宥めるかのような。 ──甘い口づけを、数回繰り返して『心配しなくても良い』と言葉ではなく態度で、そう彼に示すので。
「ラーニャ……っ……うん、もうわかりましたよ。本当に……」
「分かればいい、不安に思う事などないぞ。それに、こんなに見事な桜の前で、お前がポロポロと泣き出したら、駄目だろ? だから、笑ってくれないか」
「えっ……あっ……そうですね。私とした事が、過ぎ去った過去に囚われて、弱気になってしまいました……。ですが、今から元気もりもり、ご飯もぱくぱくです」と、
アキツシマは強く言いながら、ぎゅっと抱きしめているランゼルトを、振り解いて立ち上がり……。
──こう、アキダコ達に話しかける。
「アキダコちゃん達、少しだけ力を貸して? みんなで、素敵な贈り物を贈りましょう」
「おいおい、別に……。そんな事などしてくれなくても、いいのだが……」
「それでも、受け取ってくださいませ。じゃないと、嫌いになってしまいますよ?」
アキツシマは小悪魔的な笑みを浮かべてそう言いながら、一気に上空まで、飛び上がり……。
──天女のような舞を踊るように、くるりくるりと優美に踊り出せば……。
彼の眷属であるアキダコ達もそれに続いて、アキツシマの側で可愛く、踊り始めるので……。
それを見たランゼルトは、思わず。
「こんな……美しくて、素晴らしい舞を見たのは、初めてだ……。本当に凄すぎる」と、
『この世界で、最も美しくて芸術的なもの』を、この目で見た熱狂的なファンのように、大きな声を出して、楽し気に呟くので……。
「当然です、私はこの星の『芸術芸能を、管理している者』なんですから!!」
「そうだな……まさに、お前だから出来る技だな……。嗚呼本当に、こんなにも桜の見え方が変わるとは、すごく良い経験だよ……。有難う」と、
ランゼルトは幸せに満ち溢れた声音で、言いながら。
──この舞へのお礼として、生涯で一番の笑顔を、アキツシマ達へ贈ると……。
それを受け取ったアキツシマは、わぁっと歓喜の声をあげて。
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