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晴れの日にこんにちは

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ふと目が醒めると、見慣れた朝日が目に入ってきた。

そう、それはいつもと変わらず、よくある住宅街の隙間から見えるそれで…。

俺は朧気な頭であたりを見渡しながら、今日も変わらない自室を唯々眺め。


「…俺はいつここに帰ってきたんだ?」と、疑問に思いながら小さく呟く。


だが、そんなことを呟いたからといって、今自分がここに居るということには、変わらず。

俺はもやもやとした気持ち悪い感覚を、胸に抱きながら学校に行くために…。

昨日と同じように、服を着替え。

知らぬ間に置いてあった学生カバンを右手で持ち、隣の部屋に居る俺の兄貴でもある時雨に。


「おはよう、俺先に行くわ」と声をかけながら。


「おう、じゃあな…聖弥。気をつけていけよ」という兄貴の言葉を全く聞かずに。


そそくさと、自宅から飛び出して。


「待ってろよ由也っ…朝一で昨日の事について、問い詰めてやる」と大きく言いながら。


あの後一体俺に何をしたのかを聞き出すために、革靴をカツカツと鳴らす勢いで、


いつもの通学路を駆け出した瞬間━。


道の真ん中に、9の目と9の角をあしらった不気味な仮面を身につけた黒髪の双子がいて。

俺はどこをどう見たって怪しいその双子を驚いた目で見つめながら。


「なっ…!! なんだよアレっ…!?」と、大きく呟きつつ。


風でゆらゆらと揺れる黒い尻尾のように結ばれた二人の長い髪を、じっと見ていた。


「ねぇイヴァン?あの人、今僕たちを見ているのかな?」


「ええっ…!? 何をいっているのザハール?あの人が僕たちを見ている訳ないでしょう?だって僕たち××なんだよ」


「ああっ…そっか、そうだよね。見える訳ないよね、僕たちが見えちゃうのは××だけだもんね」


俺の呟いた言葉を、どうやらその双子は聞いていたようで、可愛らしい少年の声でクスクスと笑いながら、

お互いの手と手を合わせてこちらに鋭い視線を向けてくるので。

俺はなんだよこの野郎というかのように。


「何笑ってんだよ この化け物双子」と怒鳴るように言い放てば。


「人間の癖に…化け物だって…酷いね。酷いよねザハール…父様が聞いていたら、即死させられてたよね、この人」


「うんそうだね…でも仕方がないよ。人間ってそいうモノだから」


黒髪の双子はそう口々に呟きながら、つけている仮面をゆっくりとはずして…。

青と赤の瞳をもつザハールは、優しく俺に笑いかけ。

青と紫の瞳をもつイヴァンは、逆に怒った顔を俺に見せてきたので。


「…オッドアイに黒髪だとっ…!! まさかお前たちはっ…」と。


俺はそう呟いたと同時に、


  ーー目の前が真っ暗になり…。


そして、ガンガンと割れるかのような頭痛に襲われながら、ぐるぐると回るような浮遊感に包まれていくのを感じながら。



 
 ふと気がつけば、そこは…。





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