17 / 17
ヤバいかも
しおりを挟む
◇朋美side◇
結局、明け方まで香菜と二人で喋り通して、電池が切れたように寝たのだろう。最後の記憶は曖昧だ。
――ピロン。ピロン。
「んん……香菜? なんか鳴ってる……」
「スゥー……スゥー……」
寝てる……よね。今、何時なのだろう。
――ピロン。
あれ? これって、私のスマホの通知音?
寝ぼけつつもスマホを手に取り、画面を開く。
AM10:31
十時半、もうこんな時間なんだ……といっても、六時くらいまで起きてたから、まだ四時間ちょっとしか寝てないや。
メッセージあり 中西 徹くん
「何だろう? 明日の予定なのですが……? 明日! デート! そうだ、これもう明日の話だよ、急展開すぎるよ!」
と、大きな声で一人騒いでから、香菜がまだ寝ている事を思い出し、慌てて息を潜める。
香菜は……一瞬寝息が聞こえなくなったので起きたかと思ったけど、二秒くらいで再び寝息を立て始めた。
熟睡継続だ。良かった。
安心してスマホに目をやると『もし宜しければ、明治神宮のアイススケートに行きませんか?』と表示されている。
加えて『経験が無いので、おかしな部分があった場合には率直に申して下さい。直ぐに訂正しますので』とも書いてある。
「ぐっ……!」
危なく吹き出すところだった。
なぜ敬語に? ってツッコミは昨日から何度か入れた記憶があるけど、これまた丁寧すぎるでしょ。
仕事じゃないんだから。と思いつつ、ニヤける私。
初めての恋愛に失敗して以来、男の人なんて全員見栄っ張りで、経験人数が多ければ多いほど良いと思ってるような遊び人ばかりで、女性の事をアクセサリーか何かと勘違いしてる奴しか居ないと考えてたけど……文面だけでこんなに初心さが伝わってくる事ある?
明治神宮のアイススケートも、きっと何かを参考にして選んでくれたんだろうなって、伝わってくる。
私が運動好きな事も考慮してくれたのかも知れない。
徹くん本人は『僕はあまり運動得意じゃないんだよね』って言ってたのに、凄く私優先で考えてくれたんだね。
どうしよう。なんだか、泣きそう。
▶️アイススケート楽しそう!
▶️予定考えてくれてありがとう!
▶️(クマネコヤマトの楽しみスタンプ)
はぁ、全く、私って奴は……。
まだ付き合ってもない人の優しさで、こんなに心が温かくなるなんて。こんなんだからすぐに騙されるんだよ。
雑誌にも書いていた。実際もそうだった。
男の人は付き合うまでは優しくしてくれるけど、付き合い始めると豹変する人が多い、と。
でも、そんな男の人ばかりじゃない事も知っている。
だって、別れないで一緒に日々を過ごしている人達も世の中には沢山居るんだから。
徹くんとなら……。
はぁ、私、まだ一回遊んだだけなのに、こんなに徹くんの事を……ちょっと、ヤバいかも。
結局、明け方まで香菜と二人で喋り通して、電池が切れたように寝たのだろう。最後の記憶は曖昧だ。
――ピロン。ピロン。
「んん……香菜? なんか鳴ってる……」
「スゥー……スゥー……」
寝てる……よね。今、何時なのだろう。
――ピロン。
あれ? これって、私のスマホの通知音?
寝ぼけつつもスマホを手に取り、画面を開く。
AM10:31
十時半、もうこんな時間なんだ……といっても、六時くらいまで起きてたから、まだ四時間ちょっとしか寝てないや。
メッセージあり 中西 徹くん
「何だろう? 明日の予定なのですが……? 明日! デート! そうだ、これもう明日の話だよ、急展開すぎるよ!」
と、大きな声で一人騒いでから、香菜がまだ寝ている事を思い出し、慌てて息を潜める。
香菜は……一瞬寝息が聞こえなくなったので起きたかと思ったけど、二秒くらいで再び寝息を立て始めた。
熟睡継続だ。良かった。
安心してスマホに目をやると『もし宜しければ、明治神宮のアイススケートに行きませんか?』と表示されている。
加えて『経験が無いので、おかしな部分があった場合には率直に申して下さい。直ぐに訂正しますので』とも書いてある。
「ぐっ……!」
危なく吹き出すところだった。
なぜ敬語に? ってツッコミは昨日から何度か入れた記憶があるけど、これまた丁寧すぎるでしょ。
仕事じゃないんだから。と思いつつ、ニヤける私。
初めての恋愛に失敗して以来、男の人なんて全員見栄っ張りで、経験人数が多ければ多いほど良いと思ってるような遊び人ばかりで、女性の事をアクセサリーか何かと勘違いしてる奴しか居ないと考えてたけど……文面だけでこんなに初心さが伝わってくる事ある?
明治神宮のアイススケートも、きっと何かを参考にして選んでくれたんだろうなって、伝わってくる。
私が運動好きな事も考慮してくれたのかも知れない。
徹くん本人は『僕はあまり運動得意じゃないんだよね』って言ってたのに、凄く私優先で考えてくれたんだね。
どうしよう。なんだか、泣きそう。
▶️アイススケート楽しそう!
▶️予定考えてくれてありがとう!
▶️(クマネコヤマトの楽しみスタンプ)
はぁ、全く、私って奴は……。
まだ付き合ってもない人の優しさで、こんなに心が温かくなるなんて。こんなんだからすぐに騙されるんだよ。
雑誌にも書いていた。実際もそうだった。
男の人は付き合うまでは優しくしてくれるけど、付き合い始めると豹変する人が多い、と。
でも、そんな男の人ばかりじゃない事も知っている。
だって、別れないで一緒に日々を過ごしている人達も世の中には沢山居るんだから。
徹くんとなら……。
はぁ、私、まだ一回遊んだだけなのに、こんなに徹くんの事を……ちょっと、ヤバいかも。
0
お気に入りに追加
2
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。


サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

働かなくていいなんて最高!貴族夫人の自由気ままな生活
ゆる
恋愛
前世では、仕事に追われる日々を送り、恋愛とは無縁のまま亡くなった私。
「今度こそ、のんびり優雅に暮らしたい!」
そう願って転生した先は、なんと貴族令嬢!
そして迎えた結婚式――そこで前世の記憶が蘇る。
「ちょっと待って、前世で恋人もできなかった私が結婚!?!??」
しかも相手は名門貴族の旦那様。
「君は何もしなくていい。すべて自由に過ごせばいい」と言われ、夢の“働かなくていい貴族夫人ライフ”を満喫するつもりだったのに――。
◆メイドの待遇改善を提案したら、旦那様が即採用!
◆夫の仕事を手伝ったら、持ち前の簿記と珠算スキルで屋敷の経理が超効率化!
◆商人たちに簿記を教えていたら、商業界で話題になりギルドの顧問に!?
「あれ? なんで私、働いてるの!?!??」
そんな中、旦那様から突然の告白――
「実は、君を妻にしたのは政略結婚のためではない。ずっと、君を想い続けていた」
えっ、旦那様、まさかの溺愛系でした!?
「自由を与えることでそばにいてもらう」つもりだった旦那様と、
「働かない貴族夫人」になりたかったはずの私。
お互いの本当の気持ちに気づいたとき、
気づけば 最強夫婦 になっていました――!
のんびり暮らすつもりが、商業界のキーパーソンになってしまった貴族夫人の、成長と溺愛の物語!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる