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充実感
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スイゼリアを出た僕らはゲームセンターや様々な娯楽を合体させた施設【サウンド・ワン】に行くことにした。
香菜ちゃんの分は涼太が、朋美ちゃんの分は僕が料金を払い、一日遊び放題のチケットを購入した。
男性が女性に奢るのが当たり前。っていう風潮には疑問があったけど、いざ初めてやってみると案外悪い気分はしないと知った。金欠の時は無理だけどね。
で、三人の運動神経の良いこと。
バスケットボール、テニス、サッカー、バッティングセンターなどなど、用意されている全てのゲームをやった中で、僕が唯一勝てたのはパターゴルフだけだった。
朋美ちゃんに格好良いところを見せられなかったのは情けないけれど、盛り上がったので良しとしよう。
時間が経つと共に初対面での緊張も無くなり、お互い自然に接することが出来た。涼太と香菜ちゃんが陰ながら盛り上げてくれてるってのも凄く大きいけど。
もうこんな時間か。初めて閉店近くまで遊んだよ。
第一印象。少なくとも次回に期待を持てるくらいには良かったんじゃないかと思う。自惚れ過ぎかな?
連絡先も交換出来たし。
「楽しかったね!」
「うん! あんなに動いたの、久しぶりだよ!」
「ほんと、疲れたけど楽しかったな! 正直、朋美ちゃんと徹がここまで打ち解けるとは思わなかったけど」
「うんうん。仲良くなることは良いことだ! 徹くんと朋美が仲良くなれば、涼太を連れてかれる回数も減るしね」
「それ、半分本音入ってない?」
「半分じゃないですぅ。全部本音ですぅ」
「くぅ。モテる男は辛いぜ」
「はいはい」
「良いねぇ。香菜と涼太くんも幸せそうで。私もとっても嬉しいです、はい」
解散する前に言わなきゃ。
でも、どうやって言えば良いんだろう。
初めて会った日に次回のお誘いとかしたら失礼?
マナー違反?
気持ち悪いと思われる?
「じゃ、俺は香菜と朋美ちゃん送って帰るから。徹は一人寂しく家に帰れよ」
朋美ちゃん、今日は香菜ちゃん家に泊まるって言ってたもんな。今日の感想戦でもするのだろう。
「いつも一人なんですが? どうせ僕は寂しい奴ですよ」
「ははは! 悪い悪い、気を付けてな」
「うん。やっぱ僕も一緒に送ろうか?」
「徹ん家ちょっと方向違うから、終電無くなるじゃん。ちゃんと送るから心配するなって。香菜も居るしさ」
「うんうん。大丈夫だよ。家に着いたら『無事に着いたよ』ってメッセージも送るからさ、朋美が。楽しみに待ってて」
「私が、ね。ふふ。じゃあ、香菜の家に着いたらメッセージ送りますね」
「あ、うん! お願い、します!」
「ふふ。何で敬語? じゃあ、またね」
「うん! 朋美ちゃん、またね!」
やった! またねって言って貰えた! 嬉しい!
女の子に『またね』って言って貰えたの、人生で初めてかも知れない! 流石にそんな訳無いか。でも嬉しい!
「ああ、私達には挨拶も無いってさ」
「それな。徹って奴は、これだから徹なんだよ」
二人のニヤけた顔を見て、自分の顔と耳が赤くなるのが分かった。『またね』って言われただけなのに、嬉しすぎて周りが見えてなかった。子犬か、僕は。
「二人も、またね」
「くくく。またな、徹」
「またね、徹くん」
三人が手を振りながら遠くに消えていく。
またねって、実質次回のお誘いみたいなものだよね?
違うか。何言ってんだ僕は。そんな訳あるか。
後でメッセージが来た時、勇気を出して言おう。
また一緒に遊びましょう。
良ければ次は二人で。って。
は? 次は二人で?
無理無理無理! 緊張死するつもりか!
馬鹿か僕は! 想像の中だけイケメンかよ!
こうして僕は、自問自答しながら家路についた。
香菜ちゃんの分は涼太が、朋美ちゃんの分は僕が料金を払い、一日遊び放題のチケットを購入した。
男性が女性に奢るのが当たり前。っていう風潮には疑問があったけど、いざ初めてやってみると案外悪い気分はしないと知った。金欠の時は無理だけどね。
で、三人の運動神経の良いこと。
バスケットボール、テニス、サッカー、バッティングセンターなどなど、用意されている全てのゲームをやった中で、僕が唯一勝てたのはパターゴルフだけだった。
朋美ちゃんに格好良いところを見せられなかったのは情けないけれど、盛り上がったので良しとしよう。
時間が経つと共に初対面での緊張も無くなり、お互い自然に接することが出来た。涼太と香菜ちゃんが陰ながら盛り上げてくれてるってのも凄く大きいけど。
もうこんな時間か。初めて閉店近くまで遊んだよ。
第一印象。少なくとも次回に期待を持てるくらいには良かったんじゃないかと思う。自惚れ過ぎかな?
連絡先も交換出来たし。
「楽しかったね!」
「うん! あんなに動いたの、久しぶりだよ!」
「ほんと、疲れたけど楽しかったな! 正直、朋美ちゃんと徹がここまで打ち解けるとは思わなかったけど」
「うんうん。仲良くなることは良いことだ! 徹くんと朋美が仲良くなれば、涼太を連れてかれる回数も減るしね」
「それ、半分本音入ってない?」
「半分じゃないですぅ。全部本音ですぅ」
「くぅ。モテる男は辛いぜ」
「はいはい」
「良いねぇ。香菜と涼太くんも幸せそうで。私もとっても嬉しいです、はい」
解散する前に言わなきゃ。
でも、どうやって言えば良いんだろう。
初めて会った日に次回のお誘いとかしたら失礼?
マナー違反?
気持ち悪いと思われる?
「じゃ、俺は香菜と朋美ちゃん送って帰るから。徹は一人寂しく家に帰れよ」
朋美ちゃん、今日は香菜ちゃん家に泊まるって言ってたもんな。今日の感想戦でもするのだろう。
「いつも一人なんですが? どうせ僕は寂しい奴ですよ」
「ははは! 悪い悪い、気を付けてな」
「うん。やっぱ僕も一緒に送ろうか?」
「徹ん家ちょっと方向違うから、終電無くなるじゃん。ちゃんと送るから心配するなって。香菜も居るしさ」
「うんうん。大丈夫だよ。家に着いたら『無事に着いたよ』ってメッセージも送るからさ、朋美が。楽しみに待ってて」
「私が、ね。ふふ。じゃあ、香菜の家に着いたらメッセージ送りますね」
「あ、うん! お願い、します!」
「ふふ。何で敬語? じゃあ、またね」
「うん! 朋美ちゃん、またね!」
やった! またねって言って貰えた! 嬉しい!
女の子に『またね』って言って貰えたの、人生で初めてかも知れない! 流石にそんな訳無いか。でも嬉しい!
「ああ、私達には挨拶も無いってさ」
「それな。徹って奴は、これだから徹なんだよ」
二人のニヤけた顔を見て、自分の顔と耳が赤くなるのが分かった。『またね』って言われただけなのに、嬉しすぎて周りが見えてなかった。子犬か、僕は。
「二人も、またね」
「くくく。またな、徹」
「またね、徹くん」
三人が手を振りながら遠くに消えていく。
またねって、実質次回のお誘いみたいなものだよね?
違うか。何言ってんだ僕は。そんな訳あるか。
後でメッセージが来た時、勇気を出して言おう。
また一緒に遊びましょう。
良ければ次は二人で。って。
は? 次は二人で?
無理無理無理! 緊張死するつもりか!
馬鹿か僕は! 想像の中だけイケメンかよ!
こうして僕は、自問自答しながら家路についた。
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