ちっちゃい仲間とのんびりスケッチライフ!

ミドリノミコト

文字の大きさ
上 下
87 / 91
第三章 アカデミー別対抗戦 準備編

しおりを挟む



 「そう言えばライたちもチーム戦に出るの?」
 
 ふと、疑問を浮かべたリッカがライとミイへ尋ねる。パーティに所属しているということはもしかしたらリッカたちと同じように上位5パーティに入っているかもしれないと思ったのだ。ライもミイもアカデミーの副会長をしているティアラと一緒のパーティであるということは実力も申し分ないのであろう。そう推測できるからこその発言だった。
 リッカの考えが当たっているのか、ライたちはそろって縦にうんうんと頷いてる。

 「オレらもしっかり上位5パーティに入ってるからね!リッカたちとは仲間でいてライバルだよ~!」
 「早々に当たらない、と思う。……でも、当たったら、負けない。」
 「へぇ、同じアカデミー同士でも当たることあるんだ?」
 「まあ、本選の最初の方は当たらないと思うよ~?でも、勝ち上がれば上がるほど、同じアカデミーのパーティが残っていれば当たりやすくはなるよね!基本トーナメント方式なんだもん。本選って。」
 「それって個人戦も?」
 「そうそう。だから、同じ人と当たらないとも限らないんだよ~。」

 一度予選(選手選抜戦)で当たった相手で同じように本選へ行った者と本選の準決勝やその辺でもう一度当たることは多くはないが少なからずある。もちろん、他のアカデミーの生徒の実力も関係してくるが個人戦もチーム戦も無くはないのである。
 ふうん、と一つ相槌を打ち、そう言えばとリッカはもう一度疑問をぶつける。

 「そう言えばライとミイは何科に所属してるの?」
 「オレらはどっちも武闘家ファイター科なんだ~!ファング家は古くから武道の教えが言い伝えられてるんだよ?だからこう見えても超近距離専門のアタッカーなんだ~。」
 「ミイ、も……戦闘は苦手……でも、頑張る。」

 武闘家ファイターは簡単に言うなれば超近距離で攻撃を叩きこむアタッカーの役割を担っている。剣や斧などの武器を必要とせず、両手に付けた特殊グローブで戦うのだ。かなりの技術が求められるのと同時に、身体強化の魔法含め攻撃の際にうまく魔力を乗せて攻撃することで高威力の魔力弾を直接叩き込むことになるので、攻撃後の回避能力も求められる。大体、師となる者の元につき、修行をして身に着けていく技術であるため、普通の戦闘役職よりも数自体はそういないが、いればアタッカーとしては大変優秀な働きをするのだ。
 ライとミイという武闘家ファイターが二人、そして何科かは分からないが実力者であるティアラに加えて二人いる5人パーティ……これはもしも本選で当たったとすれば中々厄介なパーティかもしれない。いくらリッカ達のパーティの方が成績がいいとはいえ、パーティ同士で戦ったことなどないのだ。人数の差や、アタッカーの不在などどのように影響を及ぼすかは分からない。

 「へぇ……あんまり当たりたくない感じだね。」
 「なんで?オレは当たってみたいな~!」
 「だって当たったら厄介そうなんだもん。」
 「オレとしてはリッカが連れてる従魔もなかなか厄介だと思うけどね~。見たところ、姿は小さいけど結構強い従魔な気もするよ?リッカ達のパーティが三人でもこんなに成績がいいのって少なからずあの子たちも関係してるでしょ?」
 「……長距離、中距離、近距離、従魔だけで補える……でしょ?」
 「……そこは、本番まで秘密だよ。簡単に教えちゃったらノアに怒られちゃうし。」

 リッカがそう返すと、ライとミイは不満そうな顔をしながらもそれ以上追及してくることはなかった。白虎たちが神獣であることがバレているかと思いきや気づいてはいないようである。おそらく、神獣とは気づいていないが本能的に白虎たちが脅威だということには気づいているのだろう。中々に、侮れない。ノアを言い訳に話を逸らすことしかできないが、やらないよりはましだとリッカは言葉にする。だが、戦っているところを見ればまた追及されるであろうことは容易に想像ができた。
 面倒ごとを嫌うリッカは今ここで神獣や聖獣と契約していると知られて騒がれることをよしとしないだろう。いや、ライとミイはリッカに興味深々であるからそこまで騒がれないだろうが、それでもだ。敢えてばらすようなことはせずとも自然に伝わるときまで待つのがいい。その証拠に、と言うべきかリッカの思いを組んでか否か神獣たちもフェリも口を開かない。リッカに話しかけることで、ライとミイの能力が高ければそれは鳴き声でなく言葉として届いてしまうからだ。
 
 「さて、そろそろ各学年の座学授業も終わるし、解散と行こうか。」
 「私たちがこうして集っていては、騒ぎになりかねません。ライもミイも、そろそろ行きますよ。」
 
 タイミングよくノアとティアラがそう言ってくれてほっとする。リッカが頷くのと同時にライとミイの二人は不満そうな声を上げたが、比較的素直に解散を了承してくれたようだった。なんだか拍子抜けしてしまうが、以前何かあったのだろう。深くは追及しないでおく。リッカとライとミイが三人で話し始めた同じくらいに、こちらを放置して同じく何か話をし始めたノアとティアラの会話の方に混ざっていたタイチへ目を受けると彼も何か得るものがあったのか、満足そうな表情を浮かべていた。
 そうこうしているうちに続々と他の生徒が増え始める。若干遠目に見られているような気もして、なるほど、これは早く解散した方がいいと感じる。立ち上がってティアラの方へ向かったライとミイはまだ座っているリッカの方へ向き直り、にこにこと笑みを浮かべながら手を振った。

 「じゃあ、また会いに来るね~!」
 「リッカ、またね。」
 「こら、いるのはリッカさんだけではないでしょう?すみません会長。タイチさんも、また。」

 ティアラの言葉にノアは軽く手を振り、タイチは小さく頭を下げる。こうして、久々の再会の時間は終わりを迎えたのだった。

 
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

学園の聖女様はわたしを悪役令嬢にしたいようです

はくら(仮名)
ファンタジー
※本作は別ペンネームで『小説家になろう』にて掲載しています。 とある国のお話。 ※ 不定期更新。 本文は三人称文体です。 同作者の他作品との関連性はありません。 推敲せずに投稿しているので、おかしな箇所が多々あるかもしれません。 比較的短めに完結させる予定です。 ※

悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。

向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。 それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない! しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。 ……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。 魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。 木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ! ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分

かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。 前世の分も幸せに暮らします! 平成30年3月26日完結しました。 番外編、書くかもです。 5月9日、番外編追加しました。 小説家になろう様でも公開してます。 エブリスタ様でも公開してます。

冤罪で山に追放された令嬢ですが、逞しく生きてます

里見知美
ファンタジー
王太子に呪いをかけたと断罪され、神の山と恐れられるセントポリオンに追放された公爵令嬢エリザベス。その姿は老婆のように皺だらけで、魔女のように醜い顔をしているという。 だが実は、誰にも言えない理由があり…。 ※もともとなろう様でも投稿していた作品ですが、手を加えちょっと長めの話になりました。作者としては抑えた内容になってるつもりですが、流血ありなので、ちょっとエグいかも。恋愛かファンタジーか迷ったんですがひとまず、ファンタジーにしてあります。 全28話で完結。

転生することになりました。~神様が色々教えてくれます~

柴ちゃん
ファンタジー
突然、神様に転生する?と、聞かれた私が異世界でほのぼのすごす予定だった物語。 想像と、違ったんだけど?神様! 寿命で亡くなった長島深雪は、神様のサーヤにより、異世界に行く事になった。 神様がくれた、フェンリルのスズナとともに、異世界で妖精と契約をしたり、王子に保護されたりしています。そんななか、誘拐されるなどの危険があったりもしますが、大変なことも多いなか学校にも行き始めました❗ もふもふキュートな仲間も増え、毎日楽しく過ごしてます。 とにかくのんびりほのぼのを目指して頑張ります❗ いくぞ、「【【オー❗】】」 誤字脱字がある場合は教えてもらえるとありがたいです。 「~紹介」は、更新中ですので、たまに確認してみてください。 コメントをくれた方にはお返事します。 こんな内容をいれて欲しいなどのコメントでもOKです。 2日に1回更新しています。(予定によって変更あり) 小説家になろうの方にもこの作品を投稿しています。進みはこちらの方がはやめです。 少しでも良いと思ってくださった方、エールよろしくお願いします。_(._.)_

【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革

うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。 優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。 家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。 主人公は、魔法・知識チートは持っていません。 加筆修正しました。 お手に取って頂けたら嬉しいです。

一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?

たまご
ファンタジー
 アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。  最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。  だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。  女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。  猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!! 「私はスローライフ希望なんですけど……」  この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。  表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。

だらだら生きるテイマーのお話

めぇ
ファンタジー
自堕落・・・もとい楽して生きたい一人のテイマーのお話。目指すのはスローライフ!

処理中です...