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示すは棒
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出雲と並べられている人形を見ながら話す。
「あれが傀儡師のもう一人の相棒、傀儡人形だな」
「男人形少ないな」
出雲は扱いにくいからと告げる。
「男は三割、女が五割だな。未定が一割。男女のない人形もあるが、殆どどちらかに寄せて作ってある。見た目で性能がわかって扱いやすいという理由だ。人形にも名前にちなんだ意味と能力を持っていることが多い」
「うちにいるクロは?」
「あれは若干言葉遊びもあるが、黒法師は、坊主だな。技能は夜に紛れる隠密タイプの戦闘人形だ。一応男なんで力もあるから後ろから締め付けもできる。家の守衛を主にしているから重宝している」
「通りで夜にいつの間にかいると思ったよ」
あれたまに怖いんだよと溜息。
「でも人形の中で一番気に入ってなかったか?」
「強そうなのに、優しい。後他に男人形見てないから」
「あれ私が操っているんだが」
「それでもクロはクロだろ?」
不思議そうな八雲に、そうかと笑みを返す。
ちなみに出雲の技師としては人形制作に振られているので、人形が扱う武器や道具は外注している。
一応人形制作の括りなので作れなくもないが、作るよりは専門が確かだと理解している。
「出雲って何歳から傀儡師に関わってるの?」
「産まれたときから」
「え?」
「うちは本部に家がある特殊な家業を持つ家でな。だから産まれたときから傀儡は当たり前に側にあった。本格的に技術を覚えたのは物心つき始めた頃に。技師に関しては、九歳ぐらいの頃に整備を覚えて、技師に興味を持ったな。そこからは独学だったから好きなときに設計図を書いてと言う感じだ」
この国に産まれた以上は傀儡に関わることが当たり前なのだと言われ、納得はできないが理解はした。
ふとこちらに近づいてくる若い店員。
またかとそちらを見れば、明るい緑の瞳が目に入る。
その目には敵意や欲望などは見えない。
「来たなら店員に言って呼んでもらってよ」
「そろそろ来るとわかっていただろう。それぐらい理解しろ」
軽々と答える出雲にある意味ふてぶてしいと思ってしまう。
「異国人と来たと言われて驚いたこっちの身にもなってよ」
楽しそうに笑っている彼はこちらに頭を下げてくる。
「お初にお目にかかります。異国人様。私この傀儡館支部の店主、カイと申します。以後お見知りおきを」
「あ、はい。えっと」
「八雲と呼んでいる。理解しろ。八雲。それは私の実弟で、愚弟だ」
緑の瞳を見つめて、微笑む表情にやっぱりと思う。
「とりあえず裏行こうか」
裏へ来い。
と言われているようにも聞こえて出雲を見る。
「八雲。とりあえずお前はご飯を買って食べてきなさい」
その言葉にカイが懐から銀貨を数十枚取り出して出雲に渡している。
それを笈から取り出した財布に入れると渡す。
「少し商談してくる。退屈になるだろう」
「戻ってきたら店員に言えば案内してくれるようしておくね」
「出雲はなに食べたい?」
「私はいいから好きなの買ってきなさい」
「肉饅頭と蒸した物と蒸した甘栗がおすすめ。辛いものとかなら野菜とお肉を辛い調味料で味付けして小麦粉の皮で巻いたものとかもおすすめ」
その言葉に口の中によだれが溢れ、行ってくると店から出ていく。
「あれが傀儡師のもう一人の相棒、傀儡人形だな」
「男人形少ないな」
出雲は扱いにくいからと告げる。
「男は三割、女が五割だな。未定が一割。男女のない人形もあるが、殆どどちらかに寄せて作ってある。見た目で性能がわかって扱いやすいという理由だ。人形にも名前にちなんだ意味と能力を持っていることが多い」
「うちにいるクロは?」
「あれは若干言葉遊びもあるが、黒法師は、坊主だな。技能は夜に紛れる隠密タイプの戦闘人形だ。一応男なんで力もあるから後ろから締め付けもできる。家の守衛を主にしているから重宝している」
「通りで夜にいつの間にかいると思ったよ」
あれたまに怖いんだよと溜息。
「でも人形の中で一番気に入ってなかったか?」
「強そうなのに、優しい。後他に男人形見てないから」
「あれ私が操っているんだが」
「それでもクロはクロだろ?」
不思議そうな八雲に、そうかと笑みを返す。
ちなみに出雲の技師としては人形制作に振られているので、人形が扱う武器や道具は外注している。
一応人形制作の括りなので作れなくもないが、作るよりは専門が確かだと理解している。
「出雲って何歳から傀儡師に関わってるの?」
「産まれたときから」
「え?」
「うちは本部に家がある特殊な家業を持つ家でな。だから産まれたときから傀儡は当たり前に側にあった。本格的に技術を覚えたのは物心つき始めた頃に。技師に関しては、九歳ぐらいの頃に整備を覚えて、技師に興味を持ったな。そこからは独学だったから好きなときに設計図を書いてと言う感じだ」
この国に産まれた以上は傀儡に関わることが当たり前なのだと言われ、納得はできないが理解はした。
ふとこちらに近づいてくる若い店員。
またかとそちらを見れば、明るい緑の瞳が目に入る。
その目には敵意や欲望などは見えない。
「来たなら店員に言って呼んでもらってよ」
「そろそろ来るとわかっていただろう。それぐらい理解しろ」
軽々と答える出雲にある意味ふてぶてしいと思ってしまう。
「異国人と来たと言われて驚いたこっちの身にもなってよ」
楽しそうに笑っている彼はこちらに頭を下げてくる。
「お初にお目にかかります。異国人様。私この傀儡館支部の店主、カイと申します。以後お見知りおきを」
「あ、はい。えっと」
「八雲と呼んでいる。理解しろ。八雲。それは私の実弟で、愚弟だ」
緑の瞳を見つめて、微笑む表情にやっぱりと思う。
「とりあえず裏行こうか」
裏へ来い。
と言われているようにも聞こえて出雲を見る。
「八雲。とりあえずお前はご飯を買って食べてきなさい」
その言葉にカイが懐から銀貨を数十枚取り出して出雲に渡している。
それを笈から取り出した財布に入れると渡す。
「少し商談してくる。退屈になるだろう」
「戻ってきたら店員に言えば案内してくれるようしておくね」
「出雲はなに食べたい?」
「私はいいから好きなの買ってきなさい」
「肉饅頭と蒸した物と蒸した甘栗がおすすめ。辛いものとかなら野菜とお肉を辛い調味料で味付けして小麦粉の皮で巻いたものとかもおすすめ」
その言葉に口の中によだれが溢れ、行ってくると店から出ていく。
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