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お菓子のお金は自分の小遣いから出す。
小遣いと言うのも、お城に行き、子供たちの相手をして、精霊に歌を歌っただけ。
だが養父様も養母様もそんな姿に、偉いわねぇと少なくないお金をくれる。
お城にいたときもここに来てからも殆ど使うことがないので困っていた。
サンムーンが貯めた小遣いを見て呆れるほどの金額だった。
子供たちに何かしたいと思い、ならお金を貯めて孤児院にいる子供たちのおやつ代にしようとなった。
時々自分でも使うけど。
一か所ではなく、あらゆる孤児院に持っていくことにしているが、その辺の見極めはサンムーンたちと協力している。
もちろん。それ以外でも一緒に遊んだり手伝いをしたり。
子どもたちが好きなのか?とよく聞かれるが、お城にいたときにお世話になった使用人、リザベスの子どもたちが可愛かったのが大きい。
リザベスは当時はボロボロのヒョロヒョロだった自分を甲斐甲斐しく護ったり、介護してくれたり、話し相手になってくれたのを見れば何かしたいと考えた。
人族を嫌う理由のあった彼女はそれでも母親のように愛情を持って接してくれた。
あれがなければ子供たちと関わろうとは到底思えなかった。
また使用用途を聞いたときにだったらと色々提案してくれたのは彼女。
また竜人国で生活できる程度の躾も、花嫁修業も彼女がしてくれた。
今もお城で働いているそうだが、彼女も仕事があって、あまり会えていない。
でも会っても未だに頭が上がらない三人の母のうちの一人。
何か返そうとしたが、子供たちが元気に育ってくれるだけで十分だと言われてしまった。
子供たちに何かしたいという気持ちもそれがあるからだろう。
お菓子屋も事前に調べてあり、孤児院の先生にも好みは聞いて、お願いしてある。
たまにお菓子よりお肉とか食材、お金を言われるので、そのときは養母様や養父様に相談している。
お菓子屋にはお金も先に支払っており、受け取るだけ。
用意周到だと言うかもしれないが初っ端に養父様や旦那様がやらかしてくれた。
全ての手配をしてくれて、自分の小遣いを超えたお菓子の質と量。
これでどうだと満足そうな二人の顔に、こんなの自分のしたかったことじゃない。と養母様とリザベスに泣きついてしまった。
泣きついたのは反省している。
泣くのではなくしっかりと伝えて辞めて貰えればよかったのに。
養父様と旦那様ではなく養母様とリザベスが力を借してくれて二人を黙らせてくれた。
ただこのことに関して、二人はしばらく養母様たちに対して戦々恐々としていたが何故かはわからない。
そして色々と計画して初っ端の足りない部分などを補いつつ二度目を行った。
今となっては一度目に手伝ってもらってよかったとも考えるようになったが、それでもまだ感謝できるほど納得できない。
それがいつの間にか不定期ではあるが今尚行われている。
お菓子屋でおまけだと飴をもらう。
飴はここに来た当初に一番最初にもらったもので、一番好きなお菓子。
胃袋の影響で食べれなかった自分へくれた甘味。
一杯食べたいが前にリザベスに怒られた。
飴は喉が痛いとき以外には一日一個だけと約束しており、後で食べようとお礼を言いながら受け取る。
後で手伝ってくれる、使用人にもあげようとポケットに入れる。
お菓子を積み込むのを手伝う。
木箱を二個軽々と積み込んでいる店主たちの姿を見て、手に持つ紙袋を見下ろす。
非力さを感じる。
「あ、いたいた。アレク」
声に振り返ればリザベスの息子の一人、ルーカスが来る。
「!」
先日サンムーンの部下の一人、父親に貰ったいう木剣を腰に差している。
嬉しくてポケットに入れて所持していた飴を一つ手に取り渡す。
「ありがと。今日、母ちゃんから手伝ってこいって言われたから来たんだ。孤児院に待ち伏せも良かったけど、とりあえず積み込み手伝うよ」
そう言って木箱を持ち上げて積み込む。
見習ってと木箱を持とうとするが持ち上がらない。
ルークスが肩を叩き、無理すんなと同情の笑み。
木箱を横から持っていく。
しょんぼり肩を落としていじける。
年下に負けた。
種族差だとわかっていても落ち込む。
「おや。アレク様じゃないかい」
声に顔を上げれば、マルシェのおばちゃん。
たまにサンムーンと買い食いするときに話しかけてくれる竜人族の一人。
「いじけてどうしたんだい?」
木箱を示して、持ち上げているルーカスを示す。
「あー。そりゃあ人のあんたには難しいって」
同情の眼差しに更にいじけそうになる。
背後に野菜を販売するマルシェのおじさんがやってくる。
おじさんは二百はありそうな身長と筋肉質なためサンムーンより大きい。
色んなお菓子屋やお店を紹介してもらい、大変助かっている。
「おや。どうしたんだ」
「商工会の奴らが今日来ると聞きつけた。持っていけ。売れ残りだ」
無口だがとても優しい。
大男のおじさんが抱えている木箱の中には溢れんばかりの野菜と果物。
そしてソーセージなんかの加工肉。
慌ててお金を取り出そうとするがお爺さんに止められる。
「孤児院にでも配ってしまいましょう」
その言葉に、しばし眺めてから頷く。
小遣いと言うのも、お城に行き、子供たちの相手をして、精霊に歌を歌っただけ。
だが養父様も養母様もそんな姿に、偉いわねぇと少なくないお金をくれる。
お城にいたときもここに来てからも殆ど使うことがないので困っていた。
サンムーンが貯めた小遣いを見て呆れるほどの金額だった。
子供たちに何かしたいと思い、ならお金を貯めて孤児院にいる子供たちのおやつ代にしようとなった。
時々自分でも使うけど。
一か所ではなく、あらゆる孤児院に持っていくことにしているが、その辺の見極めはサンムーンたちと協力している。
もちろん。それ以外でも一緒に遊んだり手伝いをしたり。
子どもたちが好きなのか?とよく聞かれるが、お城にいたときにお世話になった使用人、リザベスの子どもたちが可愛かったのが大きい。
リザベスは当時はボロボロのヒョロヒョロだった自分を甲斐甲斐しく護ったり、介護してくれたり、話し相手になってくれたのを見れば何かしたいと考えた。
人族を嫌う理由のあった彼女はそれでも母親のように愛情を持って接してくれた。
あれがなければ子供たちと関わろうとは到底思えなかった。
また使用用途を聞いたときにだったらと色々提案してくれたのは彼女。
また竜人国で生活できる程度の躾も、花嫁修業も彼女がしてくれた。
今もお城で働いているそうだが、彼女も仕事があって、あまり会えていない。
でも会っても未だに頭が上がらない三人の母のうちの一人。
何か返そうとしたが、子供たちが元気に育ってくれるだけで十分だと言われてしまった。
子供たちに何かしたいという気持ちもそれがあるからだろう。
お菓子屋も事前に調べてあり、孤児院の先生にも好みは聞いて、お願いしてある。
たまにお菓子よりお肉とか食材、お金を言われるので、そのときは養母様や養父様に相談している。
お菓子屋にはお金も先に支払っており、受け取るだけ。
用意周到だと言うかもしれないが初っ端に養父様や旦那様がやらかしてくれた。
全ての手配をしてくれて、自分の小遣いを超えたお菓子の質と量。
これでどうだと満足そうな二人の顔に、こんなの自分のしたかったことじゃない。と養母様とリザベスに泣きついてしまった。
泣きついたのは反省している。
泣くのではなくしっかりと伝えて辞めて貰えればよかったのに。
養父様と旦那様ではなく養母様とリザベスが力を借してくれて二人を黙らせてくれた。
ただこのことに関して、二人はしばらく養母様たちに対して戦々恐々としていたが何故かはわからない。
そして色々と計画して初っ端の足りない部分などを補いつつ二度目を行った。
今となっては一度目に手伝ってもらってよかったとも考えるようになったが、それでもまだ感謝できるほど納得できない。
それがいつの間にか不定期ではあるが今尚行われている。
お菓子屋でおまけだと飴をもらう。
飴はここに来た当初に一番最初にもらったもので、一番好きなお菓子。
胃袋の影響で食べれなかった自分へくれた甘味。
一杯食べたいが前にリザベスに怒られた。
飴は喉が痛いとき以外には一日一個だけと約束しており、後で食べようとお礼を言いながら受け取る。
後で手伝ってくれる、使用人にもあげようとポケットに入れる。
お菓子を積み込むのを手伝う。
木箱を二個軽々と積み込んでいる店主たちの姿を見て、手に持つ紙袋を見下ろす。
非力さを感じる。
「あ、いたいた。アレク」
声に振り返ればリザベスの息子の一人、ルーカスが来る。
「!」
先日サンムーンの部下の一人、父親に貰ったいう木剣を腰に差している。
嬉しくてポケットに入れて所持していた飴を一つ手に取り渡す。
「ありがと。今日、母ちゃんから手伝ってこいって言われたから来たんだ。孤児院に待ち伏せも良かったけど、とりあえず積み込み手伝うよ」
そう言って木箱を持ち上げて積み込む。
見習ってと木箱を持とうとするが持ち上がらない。
ルークスが肩を叩き、無理すんなと同情の笑み。
木箱を横から持っていく。
しょんぼり肩を落としていじける。
年下に負けた。
種族差だとわかっていても落ち込む。
「おや。アレク様じゃないかい」
声に顔を上げれば、マルシェのおばちゃん。
たまにサンムーンと買い食いするときに話しかけてくれる竜人族の一人。
「いじけてどうしたんだい?」
木箱を示して、持ち上げているルーカスを示す。
「あー。そりゃあ人のあんたには難しいって」
同情の眼差しに更にいじけそうになる。
背後に野菜を販売するマルシェのおじさんがやってくる。
おじさんは二百はありそうな身長と筋肉質なためサンムーンより大きい。
色んなお菓子屋やお店を紹介してもらい、大変助かっている。
「おや。どうしたんだ」
「商工会の奴らが今日来ると聞きつけた。持っていけ。売れ残りだ」
無口だがとても優しい。
大男のおじさんが抱えている木箱の中には溢れんばかりの野菜と果物。
そしてソーセージなんかの加工肉。
慌ててお金を取り出そうとするがお爺さんに止められる。
「孤児院にでも配ってしまいましょう」
その言葉に、しばし眺めてから頷く。
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