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白蛇

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祓の神には友神が居る。
一人は川神とその嫁の子、予言の神。
もう一人は森神の弟子、雨神。
予言の神に関しては昔から人見知り神見知りするので、付き合いが長くともあまり喋ってもらえない。

雨神は賢く優しい森神とその嫁に育てられたというのに控えめに言って空回りしている気がする。

「ちーっす。嫁さーん。お土産どうぞ」
差し出すきのこをモリヒトが受け取る前に慌てて奪う。
「お。祓いの。やっほー」
「やっほーじゃねぇよ。何度言えばわかるんだ。この馬鹿。このキノコは人が手にすりゃあかぶれるキノコだろうが。かごに入れてもってこい」
「師匠が煎じて飲めばいいって言ってたぞ」
そうじゃないと呻く。
「あのさ。雨の神なのに、なんで薬草とか積んでくるんだよ」
「俺、将来薬師になりたいからな」
楽しそうに笑い、祓の神は、中へと招く。
その記憶力では一生無理だろうなぁと考えながらキノコを眷属に託し、モリヒトも一緒に部屋へと案内する。
「そういや。祓の神のご両親元気?」
「相変わらずいちゃついてた」
「仲よさげでいいなぁ」
楽しそうに告げる。
だが父に会いたいとは思わないらしい。

まぁ、自分も祓の神の力がなければ黒く染まる神に近づきたいとは思わない。
ただし、父としては別だ。
それに父の怪我としてみる穢れはこらえ・・・のかっこいいの影響を受けて大好きである。
だから穢れに対しては特に問題なく接することができる。

「連絡入れとけば迎えてくれると思うよ。人招くの好きだから」
「師匠に聞いてみようっと」
鼻歌交じりに告げる。

部屋の戸を開ければ既に予言の神が果実水を飲んでいる。
「お。予言の。久しぶり」
「んっ。ひさ」
相変わらずの予言の神。
「っていうか雨の。お前呼び出すのはいいけどさ。なんで僕の家なんだよ」
モリヒトが隣に控えるのを見てから雨神を見る。
「俺んち、散らかってるから」
いい笑顔に思わず叫ぶ。
「片付けろ!むしろ眷属使え!」
「眷属か。眷属あんまり好きじゃないんだよな。それに嫁さんいないし」
彼の家には眷属がいない。
今のところ問題は起きていない。
前までは嫁がいたので眷属が居たが、先日その嫁が急死した。
それから眷属は姿を消している。

雨神が訪ねてきて死んだとだけ伝えたときには、何もできずに、温かいご飯を出すしかできなかった。
珍しく感情のない顔に、ご飯を食べるたびに感情が戻り、涙が溢れて流れていた。

姉さんと慕っていたモリヒトも心から冥福を祈っていた。

「あのなぁ」
「大神のところで育ったら、わかるよ」
自分と予言の神は神と嫁の両親に育てられたからそれは流石にわからない。
だからとりあえず、父と同じように眷属を自慢することにする。
「僕は好きだけどな。気が利くし。モリヒトのお世話も自らやってくれるし。何より」
隣室に居ただろう眷属が、反応したのがわかる。
モリヒトは申し訳無さそうにしているが普通に嫁なら当たり前に眷族の手助けを受けるものである。
「こと兄ちゃんのぽっちゃんが可愛いかった」
「詞の神か。あったことないんだよな。強い力の持ち主だって話だし。話変わるけどいい加減、他の神を兄ちゃんっていう敬称つけるの辞めたほうがいいぞ。つけたらだめって話だろ?」
薬師を目指す割にこの雨神の力は天候操作に関しては父の友人が一人、森神よりも強い。
とはいえ他にも知識を持つ森神や山神等に比べればまだ成長途上だろう。
自分ももう少し、後千人ぐらい信仰が増えれば父と同等になれるだろう。

だから雨神になったのは必然といえば必然であり、しかし成長した当初は落ち込んでいたのを知っている。

「大神にはちゃんと私生活なら許可するって言われたから公では言わない。それに様はつけてない」
「そうなの?」
「それでなんで呼び出したんだ?」
世間話を一旦止めて、要件を聞く。
もし急ぎであれば大変である。
「あぁ。そうだった。祭り行こうか」
笑顔で告げられ、予言の神が逃げだぞうとするが、雨神に確保される。

流石に力が強いだけある。
同時に拒否権はないらしい。


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