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幼い神様
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森神が嫁と遊びに来ている。
着物の絵付けをしてくれると言う。
嬉しくて、つい口にする。
「オレ、山神に関することがいい」
こらえや山神も新調するらしく模様について話し合う。
「なるほど。お揃いもいいですね」
話を聞いていたかと思うような返答にこらえを見る。
「僕や山神様と似通った絵柄になるということですよ。そういう絵柄になっていますので」
「あ、それいいね!ポチ」
どうでしょうね。と言わんばかりに耳と尻尾が動く。
「ポチ、っと」
トウジが告げて、不満げに尻尾を叩きつけたポチに気づき言い直す。
「仲が良いそちらの眷属の絵を入れてもいいですね」
「いいね!いいね」
きゃっきゃと楽しくなってはしゃぐ。
ポチもそれを聞いてのそりと近づいてくる。
「ポチは嫌いですか?」
こらえが眷属に聞き、当然だと言わんばかりに頷く。
そして木霊を見る。
「なんだよ。もっとかっこいい名前って。犬はポチだろ!」
「そういえばそうですね」
トウジも頷き、眷属はさらに不機嫌。
「ですがポチというのは遠い海の向こうの言語でもある聞きますよ」
「そう、なの?」
眷属も驚いたようにこらえを見る。
「小さいと意味もありますが、あくまでも一説です。ある種類が定まっていない犬のことや模様を持つ犬をブチと呼んでいたそうですが、聞き間違えてポチになったそうです」
「そうなんだ」
「僕としては神子様の小さな友だちであるという意味の印、というのも素敵かと思いますよ」
それはそれでいいかもしれないと思い始めている眷属。
「こうやって乗せられるのだよ」
「木霊の名前はどうしてサカシバなんだ」
森神が木霊を見る。
「僕が前に住んでた地域で榊は特別神に近しい植物だったんですよね。榊という名も神事のときしか呼べず、それ以外はサカシバと呼んでいました。見て呟いたのを聞いた父がサカシバって名前か。いいな。となりました」
「結構安直な名前だな」
「意味は後ほど父や姉とつけましたが、基本そんなものですよ」
知っていたのかと木霊を見れば頷く。
「私は逆に近い名前だったのですんなり受け入れました。変な名前をつけられて、呼ばれなくなるのは嫌でした」
呼ばれなくなると聞いた瞬間、眷属は不安そうに幼子を見る。
「なんだよ。あ、じゃあ、ポッテリーヌとか、タマはどうだ?え?ポチでいいの?」
ポッテリーヌと言われた瞬間の眷属の拒絶した顔にこらえは必死に笑いを耐える。
そんなこらえに木霊は珍しく溜め息をこぼす。
着物の絵付けをしてくれると言う。
嬉しくて、つい口にする。
「オレ、山神に関することがいい」
こらえや山神も新調するらしく模様について話し合う。
「なるほど。お揃いもいいですね」
話を聞いていたかと思うような返答にこらえを見る。
「僕や山神様と似通った絵柄になるということですよ。そういう絵柄になっていますので」
「あ、それいいね!ポチ」
どうでしょうね。と言わんばかりに耳と尻尾が動く。
「ポチ、っと」
トウジが告げて、不満げに尻尾を叩きつけたポチに気づき言い直す。
「仲が良いそちらの眷属の絵を入れてもいいですね」
「いいね!いいね」
きゃっきゃと楽しくなってはしゃぐ。
ポチもそれを聞いてのそりと近づいてくる。
「ポチは嫌いですか?」
こらえが眷属に聞き、当然だと言わんばかりに頷く。
そして木霊を見る。
「なんだよ。もっとかっこいい名前って。犬はポチだろ!」
「そういえばそうですね」
トウジも頷き、眷属はさらに不機嫌。
「ですがポチというのは遠い海の向こうの言語でもある聞きますよ」
「そう、なの?」
眷属も驚いたようにこらえを見る。
「小さいと意味もありますが、あくまでも一説です。ある種類が定まっていない犬のことや模様を持つ犬をブチと呼んでいたそうですが、聞き間違えてポチになったそうです」
「そうなんだ」
「僕としては神子様の小さな友だちであるという意味の印、というのも素敵かと思いますよ」
それはそれでいいかもしれないと思い始めている眷属。
「こうやって乗せられるのだよ」
「木霊の名前はどうしてサカシバなんだ」
森神が木霊を見る。
「僕が前に住んでた地域で榊は特別神に近しい植物だったんですよね。榊という名も神事のときしか呼べず、それ以外はサカシバと呼んでいました。見て呟いたのを聞いた父がサカシバって名前か。いいな。となりました」
「結構安直な名前だな」
「意味は後ほど父や姉とつけましたが、基本そんなものですよ」
知っていたのかと木霊を見れば頷く。
「私は逆に近い名前だったのですんなり受け入れました。変な名前をつけられて、呼ばれなくなるのは嫌でした」
呼ばれなくなると聞いた瞬間、眷属は不安そうに幼子を見る。
「なんだよ。あ、じゃあ、ポッテリーヌとか、タマはどうだ?え?ポチでいいの?」
ポッテリーヌと言われた瞬間の眷属の拒絶した顔にこらえは必死に笑いを耐える。
そんなこらえに木霊は珍しく溜め息をこぼす。
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