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交流会
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山神は食器の片付けを眷属に任せて食糧庫に向かう。
風神は渡した籠にいくつか入れていくが、途中で悩み止まる。
「あ、あれは!」
目ざとく見つけられた編み籠を示す。
舌打ちしながら籠を下ろす。
試作品で、無くなっても問題ない食料。
だがこらえが作ってくれた一品。
「嫁と木霊が作った干し芋だ。酒のつまみに合う」
「分けてくれ」
酒と言われて嬉しそうにする。
神の大半が酒好きだ。
風神も節制はしているがそれでも飲む方だ。
「少し残しておけよ。一応分けてはいるが。後、味についても聞きたいから、教えてくれ」
嬉しそうに籠へと入れていく。
こらえはいろんな人に話を聞きたいと言っていた。
海神にでも送ろうかと思っていたが、折角なので分けることにする。
「こんなもんかなぁ」
少ない量。
山神の視線に気づいてか笑う。
「まぁ、今度送ってもらうからこんなもんかなぁ。って」
「そうか」
外に出て、明るい日差しの中でじっと顔を見つめてくる風神。
「やっぱ薄くなってるな」
「己にはわからんな」
思わず頬に触れる。
ふと、触ったマフラーにこらえを思い出して笑みを零す。
「今度森の、連れてくるよ。あいつ詳しいだろう」
「そんな理由で連れて来ずとも、会合で見てるだろ」
「一応な。なんだかんだであいつが一番気にしているからな薄くなったのなら肩の荷降りるだろう」
それもそうか。
あれが気にする必要もないのにと苦笑する。
「あれも、あれの弟分ぐらいの胆力があれば良いと思うがなぁ」
「弟分はないからな!あんなん八つ当たりだからな」
「そうなのか」
庭を通ってこらえを探す。
時間もそろそろ経つので焼き芋ができていても良いだろう。
ついでに干物のことも伝えておくことにする。
「それに嫁同士でも会話させたいんだよ。ほら。結局此処って引きこもるしかないだろ?つまんねぇじゃん。お前以外は会わせたこともあるけど、他の紹介させたらきっと喜ぶと思うんだよ」
「ほう」
確かにこらえに木霊以外の友人を増やすのもいいかもしれない。
もっとたくさんの感情を見せてくれるかもしれない。
「後山のと浮気しているんじゃないかと疑われているので誤解をときたいです!」
本音が漏れていると突っ込む。
「お前に触るのできねぇのによ。何よりお前と恋仲とかぜってぇ、無理」
「同じく」
即答してから思わず想像して、お互いげんなりしてしまう。
「お前にも嫁ができたと伝えてもあまり信用してくれないからな」
「会わせろとは言われないのか?」
「あわせれないから疑い深くなってんの!」
納得したと頷く。
見た目のせいだとは問題点が現状自分なので口にはしないでおく。
神の加護があっても発狂しやすい者はいるのだ。
流石に友神の嫁まで発狂させるなど恐怖でしかない。
だから彼らの嫁には一度も会ったことはないし会うことはない。
「しかしお前の嫁ってすげぇな」
「何がだ」
むすりと風神を睨む。
「お前見て発狂しない」
「あぁ」
確かにと納得する。
「何者なんだろうな」
「こらえは、こらえ、だ」
「そうか」
「はい。呼びましたか?」
背後から声をかけられた二人は飛び退く。
驚いたのだろうこらえは手を伸ばしたまま固まっている。
「あ、すまぬ」
少し寂しげな表情に変わったことに山神は一目散に近づく。
「驚いてしまったのだ。反射的に、な」
「いえ。こちらこそ背後から声をかけてしまって申し訳ありません」
こらえの手を掴みながら告げれば、優しく微笑んでくる。
「それよりどうした?」
「お芋が焼けましたのでお声をかけに。家の中を通っていましたらお声がしたので」
「それで背後から現れたのか」
風神は久しぶりに驚いたと苦笑する。
「それで、僕を呼びましたか?」
案内しながら聞かれる。
どう説明しようか悩む。
「お前さ、山の見て、平気な理由ってわかるか?」
「えっと、山神様のは、お顔のお怪我が原因なんですよね」
「まぁな」
「ですと、怪我で発狂する理由は流石にわかりませんね」
申し訳ないと頭を下げる。
ただの怪我に発狂しないのは何故か、と問われてもこらえが答えを知るわけはない。
「そうか」
風神は、だよなと笑う。
些細な会話行いながら木霊と合流し、焼き芋をいくつか回収するとまたなと消えていく。
「山神様」
「賑やかすぎたか?」
「良いお友達で羨ましいです」
返答する前に木霊が自分がいると割り込んで来る。
あれをいい友と称するこらえこそいい子だと思う。
風神は渡した籠にいくつか入れていくが、途中で悩み止まる。
「あ、あれは!」
目ざとく見つけられた編み籠を示す。
舌打ちしながら籠を下ろす。
試作品で、無くなっても問題ない食料。
だがこらえが作ってくれた一品。
「嫁と木霊が作った干し芋だ。酒のつまみに合う」
「分けてくれ」
酒と言われて嬉しそうにする。
神の大半が酒好きだ。
風神も節制はしているがそれでも飲む方だ。
「少し残しておけよ。一応分けてはいるが。後、味についても聞きたいから、教えてくれ」
嬉しそうに籠へと入れていく。
こらえはいろんな人に話を聞きたいと言っていた。
海神にでも送ろうかと思っていたが、折角なので分けることにする。
「こんなもんかなぁ」
少ない量。
山神の視線に気づいてか笑う。
「まぁ、今度送ってもらうからこんなもんかなぁ。って」
「そうか」
外に出て、明るい日差しの中でじっと顔を見つめてくる風神。
「やっぱ薄くなってるな」
「己にはわからんな」
思わず頬に触れる。
ふと、触ったマフラーにこらえを思い出して笑みを零す。
「今度森の、連れてくるよ。あいつ詳しいだろう」
「そんな理由で連れて来ずとも、会合で見てるだろ」
「一応な。なんだかんだであいつが一番気にしているからな薄くなったのなら肩の荷降りるだろう」
それもそうか。
あれが気にする必要もないのにと苦笑する。
「あれも、あれの弟分ぐらいの胆力があれば良いと思うがなぁ」
「弟分はないからな!あんなん八つ当たりだからな」
「そうなのか」
庭を通ってこらえを探す。
時間もそろそろ経つので焼き芋ができていても良いだろう。
ついでに干物のことも伝えておくことにする。
「それに嫁同士でも会話させたいんだよ。ほら。結局此処って引きこもるしかないだろ?つまんねぇじゃん。お前以外は会わせたこともあるけど、他の紹介させたらきっと喜ぶと思うんだよ」
「ほう」
確かにこらえに木霊以外の友人を増やすのもいいかもしれない。
もっとたくさんの感情を見せてくれるかもしれない。
「後山のと浮気しているんじゃないかと疑われているので誤解をときたいです!」
本音が漏れていると突っ込む。
「お前に触るのできねぇのによ。何よりお前と恋仲とかぜってぇ、無理」
「同じく」
即答してから思わず想像して、お互いげんなりしてしまう。
「お前にも嫁ができたと伝えてもあまり信用してくれないからな」
「会わせろとは言われないのか?」
「あわせれないから疑い深くなってんの!」
納得したと頷く。
見た目のせいだとは問題点が現状自分なので口にはしないでおく。
神の加護があっても発狂しやすい者はいるのだ。
流石に友神の嫁まで発狂させるなど恐怖でしかない。
だから彼らの嫁には一度も会ったことはないし会うことはない。
「しかしお前の嫁ってすげぇな」
「何がだ」
むすりと風神を睨む。
「お前見て発狂しない」
「あぁ」
確かにと納得する。
「何者なんだろうな」
「こらえは、こらえ、だ」
「そうか」
「はい。呼びましたか?」
背後から声をかけられた二人は飛び退く。
驚いたのだろうこらえは手を伸ばしたまま固まっている。
「あ、すまぬ」
少し寂しげな表情に変わったことに山神は一目散に近づく。
「驚いてしまったのだ。反射的に、な」
「いえ。こちらこそ背後から声をかけてしまって申し訳ありません」
こらえの手を掴みながら告げれば、優しく微笑んでくる。
「それよりどうした?」
「お芋が焼けましたのでお声をかけに。家の中を通っていましたらお声がしたので」
「それで背後から現れたのか」
風神は久しぶりに驚いたと苦笑する。
「それで、僕を呼びましたか?」
案内しながら聞かれる。
どう説明しようか悩む。
「お前さ、山の見て、平気な理由ってわかるか?」
「えっと、山神様のは、お顔のお怪我が原因なんですよね」
「まぁな」
「ですと、怪我で発狂する理由は流石にわかりませんね」
申し訳ないと頭を下げる。
ただの怪我に発狂しないのは何故か、と問われてもこらえが答えを知るわけはない。
「そうか」
風神は、だよなと笑う。
些細な会話行いながら木霊と合流し、焼き芋をいくつか回収するとまたなと消えていく。
「山神様」
「賑やかすぎたか?」
「良いお友達で羨ましいです」
返答する前に木霊が自分がいると割り込んで来る。
あれをいい友と称するこらえこそいい子だと思う。
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