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中学
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タナカはおやつの買い物帰りに歩道橋を歩く。
「いっち、匿って」
「逃げんな!」
叫び声に何だと前を見れば階段を登ったばかりのアゲハとその後を追いかけている犬飼とカラス。
「逃げるんじゃねぇ」
犬飼の叫びに、カラスは周囲にいた人に借りたものを返してもらうため追いかけているんです。と話をしてからこっちに来ている。
「いっち。あいつらが僕のことを虐めるんだよ」
「えーっと」
「田中の後ろに隠れんじゃねぇぞ。この腹黒陰気野郎」
「警察官を目指す男の言葉とは思えない暴言だ」
カラスに対してうるせぇと叫ぶがアゲハからは目を放していない。
「な、なんだよ。僕が何したって言うんだよ」
「その話をするために声をかけたのに、話をする前から逃げるんじゃねぇよ」
「だからこういうタイプと相性悪いんだよなぁ。色々と計画している間に察しがよすぎて逃げられる」
「冷静に分析すんな」
「う、うるさい」
迫ってくる二人にタナカを突き飛ばして走り出す。
そこまでは良かった。
けど、カラスが叫ぶ。
「ポチ!オオカミさんが」
二人が駆け出してすぐにこちらへと走ってくる。
だが距離は足りない。
思った以上にアゲハの力が強かったからか、それとも自分の体幹がなかったからか。
もしくはアゲハは狙って突き飛ばしたかはわからない。
だが歩道橋から落ちる。
落ちる。
理解する。
青空が広がる。
「オオカミさん」
声に視界を動かしてカラスの顔を探す。
ようやく見つけた顔に、笑みを浮かべる
「ごめん」
地面に脚が当たり、背中を打ち付ける。
息が止まる。
息をしなければと口を動かす。
「ごほっ」
息ができずに、血がこぼれ落ちる。
内臓がやられたのかと苦笑する。
「オオカミさん」
「ここから降りようとするなぁ」
「落ちて転がれば」
歩道橋から飛び降りようとしているカラスが目に映る。
駄目だろ。
俺はこんなに苦しくて、痛いんだから。
カラスにまでこんな思いさせたくない。
車の音がする。
なんで?
「あぁ」
俺死ぬんだ。
真っ青な顔をした運転手が見える。
あぁ。ごめんなさい。
次に目を覚したらベッドの上だった。
奇跡的に半身不随とかそういうの避けれたらしいが。
骨折やヒビが入っていたりで、全治一ヶ月だそうだ。
後車に轢かれずにすんだが無理やり動かそうとした結果頭を道路に打ち付けて気を失ったらしい。
内蔵は多少の傷はあったらしいが寝ている間に完治した程度のものだったらしい。
あそこから落とされて、この程度なのは奇跡だと言われた。
目を覚したとき、何故か中学生男子がいて嬉しそうに笑って言っていた。
寝起きのときからいた気がする。
「僕達恋人同士だから、今回の一件チャラだよね」
「誰が、恋人?」
「僕といっちだよ」
「いや。告白された覚えもないし、恋人になった覚えもないんだけど?」
「だってうんって」
「お前さ。どこのどいつかわかんねぇけど寝起きで物言われてもわかんねぇの」
「どこのどいつって従兄弟だよ。あげはだよ」
「知らねぇな」
というか何故か思い出そうとすると霞がかかって思い出せない。
でも、大切な人いたはずなんだ。
目の前で大泣きをしている彼でないこともわかる。
とりあえずこいつになんかされた結果今ここにいるのだけは何故か覚えている。
ともかく、俺はあの人に会いたい。
学校に行きたい。
従兄弟は泣いて出ていってしまったが特に興味はない。
おじさんとおばさんが謝罪しに来てくれた。
そんなことより学校に行ってあの人と会話したい。
「いっち、匿って」
「逃げんな!」
叫び声に何だと前を見れば階段を登ったばかりのアゲハとその後を追いかけている犬飼とカラス。
「逃げるんじゃねぇ」
犬飼の叫びに、カラスは周囲にいた人に借りたものを返してもらうため追いかけているんです。と話をしてからこっちに来ている。
「いっち。あいつらが僕のことを虐めるんだよ」
「えーっと」
「田中の後ろに隠れんじゃねぇぞ。この腹黒陰気野郎」
「警察官を目指す男の言葉とは思えない暴言だ」
カラスに対してうるせぇと叫ぶがアゲハからは目を放していない。
「な、なんだよ。僕が何したって言うんだよ」
「その話をするために声をかけたのに、話をする前から逃げるんじゃねぇよ」
「だからこういうタイプと相性悪いんだよなぁ。色々と計画している間に察しがよすぎて逃げられる」
「冷静に分析すんな」
「う、うるさい」
迫ってくる二人にタナカを突き飛ばして走り出す。
そこまでは良かった。
けど、カラスが叫ぶ。
「ポチ!オオカミさんが」
二人が駆け出してすぐにこちらへと走ってくる。
だが距離は足りない。
思った以上にアゲハの力が強かったからか、それとも自分の体幹がなかったからか。
もしくはアゲハは狙って突き飛ばしたかはわからない。
だが歩道橋から落ちる。
落ちる。
理解する。
青空が広がる。
「オオカミさん」
声に視界を動かしてカラスの顔を探す。
ようやく見つけた顔に、笑みを浮かべる
「ごめん」
地面に脚が当たり、背中を打ち付ける。
息が止まる。
息をしなければと口を動かす。
「ごほっ」
息ができずに、血がこぼれ落ちる。
内臓がやられたのかと苦笑する。
「オオカミさん」
「ここから降りようとするなぁ」
「落ちて転がれば」
歩道橋から飛び降りようとしているカラスが目に映る。
駄目だろ。
俺はこんなに苦しくて、痛いんだから。
カラスにまでこんな思いさせたくない。
車の音がする。
なんで?
「あぁ」
俺死ぬんだ。
真っ青な顔をした運転手が見える。
あぁ。ごめんなさい。
次に目を覚したらベッドの上だった。
奇跡的に半身不随とかそういうの避けれたらしいが。
骨折やヒビが入っていたりで、全治一ヶ月だそうだ。
後車に轢かれずにすんだが無理やり動かそうとした結果頭を道路に打ち付けて気を失ったらしい。
内蔵は多少の傷はあったらしいが寝ている間に完治した程度のものだったらしい。
あそこから落とされて、この程度なのは奇跡だと言われた。
目を覚したとき、何故か中学生男子がいて嬉しそうに笑って言っていた。
寝起きのときからいた気がする。
「僕達恋人同士だから、今回の一件チャラだよね」
「誰が、恋人?」
「僕といっちだよ」
「いや。告白された覚えもないし、恋人になった覚えもないんだけど?」
「だってうんって」
「お前さ。どこのどいつかわかんねぇけど寝起きで物言われてもわかんねぇの」
「どこのどいつって従兄弟だよ。あげはだよ」
「知らねぇな」
というか何故か思い出そうとすると霞がかかって思い出せない。
でも、大切な人いたはずなんだ。
目の前で大泣きをしている彼でないこともわかる。
とりあえずこいつになんかされた結果今ここにいるのだけは何故か覚えている。
ともかく、俺はあの人に会いたい。
学校に行きたい。
従兄弟は泣いて出ていってしまったが特に興味はない。
おじさんとおばさんが謝罪しに来てくれた。
そんなことより学校に行ってあの人と会話したい。
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